連載
自衛隊新戦力図鑑アメリカ海軍のミサイル・フリゲート構想
日本の護衛艦がアメリカ海軍に採用される? 2026年9月1日、アメリカ海軍協会のニュースサイトが、韓国の忠南級、トルコのイスタンブール級、そして日本の「もがみ型輸出型」(新型FFM)の3艦種を、アメリカ海軍が新型フリゲートの設計案として検討していると報じた(フリゲートは駆逐艦より小型の航洋軍艦のこと)。
アメリカ海軍のフリゲート計画は当初、2020年に次期ミサイル・フリゲート「FFG(X)」として、既存の欧州艦ベースのコンステレーション級が計画されたが、度重なる建造遅延と建造費高騰により、2025年11月に建造中2隻を除いて計画中止となる。

続いて、沿岸警備隊で使用されているレジェンド級カッター(大型警備艦)をベースとする次期フリゲート「FF(X)」へと舵を切ったが、計画名からもわかるとおり艦対空ミサイルを運用することができず、戦闘能力はかなり限定的だ(近接防御用艦対空ミサイルのみ搭載)。もがみ型を含む今回の3艦種検討からは、一定の戦闘能力を有する“ミサイル”フリゲートを海軍が求めていることが窺える。

迷走を続けるアメリカ海軍の艦艇開発
新型FFMは海上自衛隊での配備に加えて、昨年8月オーストラリア海軍での採用が決定し、戦後初の大型戦闘艦輸出と話題になった。アメリカ海軍でも採用となれば、それ以上の“成果”と言えるが、日本側の反応は冷めている。なぜか? アメリカ海軍の艦艇整備計画の迷走が理由だ。
アメリカ海軍は、前述のコンステレーション級に加え、それ以前の沿海域戦闘艦(フリーダム級/インディペンデンス級)、ズムウォルト級駆逐艦でも失敗を繰り返している。これらに共通するのは、事前設計の詰めの甘さと、過大かつ後付けの性能要求だ。
まず、沿海域戦闘艦は、冷戦終結後の小規模・対テロ紛争時代に対応した小回りの利く沿海域運用艦として計画されたが、小さな艦に多様な戦闘能力を要求した結果、建造費の高騰や、装備パッケージの開発失敗が発生。対中国へと脅威が変化した2010年代に調達打ち切りとなった。

未来の駆逐艦として2011年に建造が開始されたズムウォルト級駆逐艦は、ステルス性を追求した革新的な外観に、先進的能力を組み合わせた強力な戦闘艦として計画された。しかし、搭載されるはずの複数の新技術の開発に難航。代表的なものが155mm先進砲システムと、専用のLRLAP(長射程陸上攻撃弾)であり、本来は主兵装となるべき武器が、完成しないまま撤去が決まるという醜態を晒した。最終的に高額な建造費を食いつぶした失敗作として3隻で計画中止となった。

コンステレーション級ミサイル・フリゲートは、対中国海軍を想定した航洋型戦闘艦として2022年から建造が開始された。前述したように、欧州で実績がある「FREMM(欧州多用途フリゲート)」をベースとすることで開発費や納期の短縮を図ったが、過大な性能要求により設計はたびたび見直され、既存艦との共通性は当初の85%から15%未満まで低下。建造費も高騰したため、中止となっている。
まさに「死屍累々」というべき状況であり、アメリカ会計監査院が艦艇調達プロセスの構造的欠陥を指摘するほどだ。加えてアメリカは造船産業そのものの衰退もあり、「アメリカ海軍での採用」は、とんでもない「貧乏くじ」となる可能性が高いのである。
