ブランド初となるフルサイズSUV=Q9






Q9のボディサイズは全長が5310mm、全幅が2010mm、全高が1810mmで、ホイールベースは3140mmである。Q8のスリーサイズは4995×1995×1705mm、ホイールベース2995mmで、充分大柄に見えるQ8よりふた回りほどビッグだ。しかし何ごとにも余裕があるアメリカで見ると、物理的に大きいと感じるより先に存在感の強さが印象に残る。そう感じる理由のひとつは、グリルを強調したフロントマスクとふくよかに張り出した前後のフェンダーの効果かもしれない。


ちなみに撮影車はハイパフォーマンス仕様の「SQ9」だった。ドイツ本国でQ9の市場導入時に設定されるのは最高出力220kW(299ps)、最大トルク630Nmを発生する3.0L V6ディーゼルターボ。アメリカに導入されているSQ9は最高出力591hp、最大トルク599lb-ft(約800Nm)を発生する4.0L V8ツインターボガソリンエンジンを搭載する。SQ9は23インチサイズのタイヤ&ホイールや4本出しのテールパイプを備えるなど、よりスポーティな仕立てだ。


リヤは横一文字のライトストリップで上下を分割し、その下側に独立したライトを設けるピストルのようなシルエットのコンビネーションランプを採用。すでにQ3やA6でおなじみの、アウディの最新デザインを反復した格好だ。超薄型ガラスにより三次元の曲面を実現したアウターデジタルOLEDパネルは世界初採用だそう。
フロントのライトはSUVファミリーのだいぶ下の弟分であるQ3と同様、ボンネットフード側にターンシグナル兼用のデイタイムランニングライトを置き、フロントバンパーサイド部にデジタルマトリクスLEDヘッドライトを配置するレイアウト。フロント、リヤともにダイナミックターンシグナルと連動して、路面にターンシグナルを投影する技術を取り入れている。





インテリアはアウディの最新デザイン言語にのっとっている。すなわち、カーブしたパネルに大型のディスプレイを配置した構成。ドライバーの目の前は12.3インチのアウディ・バーチャルコクピット、センターは14.5インチMMIタッチディスプレイ、助手席側に12.3インチのパッセンジャーディスプレイを備える。
ステアリングホイール左右のレバーはQ3で導入された新ユニットによう。右レバーにP/N/R/Dを切り換えるシフター、左レバーにウインカーとワイパー、ハイビーム/パッシング機能が割り当てられているように見えた。
ドアは自動ドア。そして極上の2列目シート

30分ほど乗車体験した2列目は独立シートだった。シートの素材やカラー、形状がラグジュアリーだし、座り心地は申し分ない。足元、頭上を含めてスペースは余裕たっぷりである。頭上はアウディ史上最大の面積(1.5m2)を誇るパノラミックサンルーフを備えているため、2列目乗車時は開放感あふれる移動を体験できる。ルーフは透明度を切り替え可能なうえ、色が変化する演出が施されており、移動時間を飽きさせない。

乗車体験後にリヤバンパー側から床下をのぞき込んだところ、SQ9はエアサスペンションを装備していることがわかった。当然、ダンパーは電子制御の減衰力可変式だろう(後輪操舵システムも見えた)。乗り味は快適至極のひと言に尽きる。どこかにつかまって体を支えたくなるような不快な揺れはないし、内臓に響くような強い入力もない。フラッドライド感が強く、丘陵地帯のアップダウンが激しく曲がりくねった道を走っているときでも穏やかな気分でいられた。



バックドアを開けると、ラゲッジスペースが現れる。3列シート車では、3列シートを使うと「これだけ?」と涙目になりそうなほどミニマムなラゲッジスペースが現れてがく然とすることがあるが、さすがは全長が5310mmもあるQ3、長いボンネットフードでスポーティなシルエットを実現しつつ、3列目シートを立てた状態でも充分なラゲッジスペースを確保している。3列目を倒すと巨大な空間が出現するのだが、シートを倒すのも、元に戻すのも、ラゲッジルーム右側面にあるスイッチを押すだけでいい。3列目シートは電動で倒れ、電動で元に戻る。

Q9自慢の機能のひとつだとして、アウディ初採用となる自動ドアの開閉を見せてもらった。前後左右4枚のドアはそれぞれ個別にリモコンキーほか複数の方法で操作が可能。ドアが開いたときに軌跡上に人がいるなど障害物を検知した場合は、ぶつからないよう自動で停止。人が移動して軌跡上に人がいなくなると、動きを再開して最後まで開く。そのスマートな動きに感心した。
アウディによれば数字の「9」を初めて冠したQ9は単なる「移動空間」ではなく、「移動する居住空間」とのこと。短い時間ではあったが2列目シート(つまり特等席)で移動を体験したところ、Q9の室内は居住空間と呼ぶにふさわしい快適さを実現しているように感じた。とても上質で居心地がいい。Q9はアウディがクルマづくりにおいて掲げる「技術による先進」をホスピタリティに特化した形で具現化したフラッグシップSUVだ。
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