4代目DJ型デミオ/マツダ2の魅力は“走り”にあり

デミオおよびマツダ2の魅力は、各ディメンションや設計がもたらす“走りの良さ”だ。その代わり、室内空間や快適性に関してはライバルに対して一歩譲る。

マツダ2は2014年に4代目デミオとして登場し、2019年7月に車名が変更されたマツダのベーシックコンパクトカーだ。車名がマツダ2へと変わっても基本構造は変わっていないため、4代目デミオとマツダ2は同じクルマと言ってよいだろう。

ボディサイズはコンパクトカーとして標準的な全長4m強、全幅は1700mm以下だ。しかし、後席は同じクラスのライバルに対してやや狭いうえ、ルーフ形状が車両後端へ向かうにつれて傾斜しているため後席のヘッドクリアランスもやや狭い。

そのうえ、ハイブリッドモデルの設定がないため燃費性能で他社のライバルに劣っており、電動パーキングブレーキ非搭載など細かな使い勝手の面でも同世代のライバル車に対して後塵を拝する。

デミオおよびマツダ2は、ファミリー向けコンパクトカーとして見ると特筆点のないクルマかもしれない。しかし“走りの良さ”に着目すれば、200万円前後の新車価格でこれほど贅沢なコンパクトカーは世界中を探しても見つからない。

搭載されるエンジン排気量は1.3〜1.5L でありスペックも平均的だが、ライバルが3気筒エンジンを採用していくなか、マツダ2はチープな車内振動につながる一次偶力が発生しない4気筒エンジンを搭載。オートマチックトランスミッションは効率を重視したCVTではなく、耐久性が高いうえダイレクトな加速感が得られるトルコン式の6速ATだ。

最大トルク200Nmオーバーの分厚い中間トルクを発揮するディーゼルエンジンモデルも用意されるうえ、6速MTが幅広いグレードに設定されている点もデミオおよびマツダ2の大きな魅力となる。

内外装はスポーティな装いに仕立てられ、アクセルペダルはクラスで唯一オルガン式を採用しており、足の動きとペダルの軌跡が一致することで長距離運転時でも疲れにくい。

デミオおよびマツダ2は、非常に稀有なディメンションを備えたクルマであり、コンパクトカーで気持ちよく走りたい人にとって、これ以上ない理想的なクルマと言えるだろう。

2026年8月末の生産終了が報じられてからは、とくに6速MTモデルに注文が殺到した。こうした経緯がなによりマツダ2の特徴と魅力を物語っている。

マツダ2の中古相場は、過走行車の70万円〜未使用車の260万円まで

マツダ2の2026年9月現在の中古車相場は、走行距離5万km以下のガソリンモデルが100万円〜、ディーゼルモデルは120万円〜だ。トランスミッションはCVTではなく、ATおよびMTであるため過走行気味の個体でも比較的安心して選べる。言い換えれば、過走行車の安価な個体はすぐに売れてしまうということだ。

生産終了したばかりの2026年9月現在、デミオおよびマツダ2の中古車相場に大きな変化はなさそうだ。ライバルのトヨタ ヤリスやホンダ フィットほどではないが、流通台数も十分といえるほど多い。しかし、手頃な価格帯にある個体はどんどん売れている状況だ。

2014年9月〜2019年まで販売されたデミオなら100万円以下の個体がたくさん揃っており、走行距離10万km前後の個体なら40万円〜50万円程度で買える個体もざらにある。

ただし、走行距離5万km以下に絞るとデミオはガソリンモデル、ディーゼルモデルともに底値は70万円〜と相場はやや上がるうえ、年式相応にコンディションに優れている個体は少なくなってきている。とくに良好なコンディションのMT車の数は極めて少ない。

デミオ時代に6速MTが設定されていたのは1.5L ディーゼルモデルと、1.5L ガソリンエンジンのみであり、1.3L ガソリンエンジンモデルは5速MTとなる点には注意しよう。

それぞれのMTモデルにおける走行距離5万km以下の中古車価格の底値は、ディーゼルモデルは60万円、1.3L ガソリンモデルは80万円、1.5L ガソリンは110万円だ。

一方、2019年7月から販売されたマツダ2の価格帯は、過走行車の70万円台から未使用車の260万円までと幅広い。

1.3L ガソリンモデルは2018年8月の改良時点で廃止となっており、マツダ2のエンジンラインアップは1.5L のガソリンエンジンとディーゼルエンジンのみとなる。走行距離5万km以下のガソリンモデルは100万円〜、ディーゼルモデルは120万円〜が相場だ。

6速MTの中古車価格はやや高めであるうえ、流通台数が少ないため全国から探すことになる。走行距離5万km以下のMTモデルを探すならガソリンモデルは最低120万円、ディーゼルモデルは130万円以上を見積もりたい。

デミオおよびマツダ2には、ハイオク燃料指定とすることでスペックを引き上げた1.5L エンジンを搭載し、6速MTとFFのみの設定となるモータースポーツグレードの“15MB”も販売されていた。

ただし、15MBの中古車は全国でも数台しか販売されていない希少な存在であり、マツダ2の15MBは年式に応じて150万〜200万円が相場となる。デミオの15MBなら走行距離5万km前後の個体が100万円前後で販売されているが、やはり流通台数は少ない。

なおデミオ、マツダ2ともに4WDモデルの価格はFFモデルのプラス5〜10万円程度の値段となるが流通台数は全体の10%ほどだ。グレードなどの選択肢が極端に限られてしまうため4WDは現実的な選択と言いがたい。

安定のガソリンモデル vs やや癖はあるが魅力的なディーゼル

ディーゼルモデルは短距離走行を繰り返すと調子を崩しやすいため、都市部の走行が多いならガソリンモデルを選びたい。調子を崩したディーゼルエンジンにはインテーク周辺のドライアイス洗浄が有効だが15万円前後の費用がかかる。DPFの洗浄や交換が必要な場合はさらに15万円前後の費用がかかるため、中古のディーゼルモデルは状態の見極めが肝心だ。

DJ型デミオもマツダ2も基本構造は同じであるため、ユーティリティに関して違いはほぼない。主な違いは内外装の装飾と快適装備および安全装備と言ってよいだろう。中古で安く購入したいならデミオ、装備やパフォーマンスを重視するならマツダ2を選びたい。

マツダ2のガソリンモデル狙いなら2021年12月以降のモデルがおすすめだ。このタイミングで全グレードが高圧縮比化などにより燃費性能が大きく向上した改良型エンジンに変わっている。

注意したいのがディーゼルモデルだ。マツダのディーゼルは窒素酸化物を無害化するための尿素水(アドブルー)を用いない代わりに、短距離走行ばかりを繰り返すと煤が溜まりやすい特性がある。中古車のなかにはインテーク周辺や、排ガスフィルター(DPF)の煤詰まりで調子を崩して売却された個体も多い。

とくに古い年式ほどトラブルも多く発生していた傾向があるため、ディーゼル狙いならデミオではなく、マツダ2のなるべく年式が新しい個体を選ぶとよいだろう。

ただし、煤の溜まり具合はクルマの使い方で大きく変わるため、走行距離ではコンディションが判断しづらい。実際のエンジンの調子に加え、整備記録簿の有無と指定のエンジンオイルに定期交換されていたかどうかを主な判断基準にしよう。

こうした事情があるため、デミオおよびマツダ2を選ぶ際はクルマの使用環境も重要となる。短距離走行が多くなりがちな都市在住者はガソリンモデルを選びたい。太いトルクを発揮できるディーゼルモデルは郊外や坂道走行が多い場合や、一度の走行距離が長めとなる地方在住者に向く。

ディーゼルはエンジン自体の耐久性もガソリンに比べて高いうえ、燃料代もガソリンモデルより安く抑えられるため、クルマの用途と使用環境が合致すれば代替できるクルマがないほど魅力的な選択となるだろう。調子が良いディーゼルモデルの中古車を見つけられれば、適切な扱い方を守るだけで、末永く乗り続けられるはずだ。

希少なMTモデルの相場はやや高めではあるものの、現在は常識的な範疇と言える。しかし、いずれ登場するであろう次期型の仕様次第では中古車価格が急騰する懸念もある。MTモデルが気になっているなら、今のうちに買っておくのがよいかもしれない。