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自衛隊新戦力図鑑

侵略者を早期かつ遠方で阻止するためのミサイル

7月30日、航空自衛隊飛行開発実験団所属のF-2戦闘機が両翼下に大型の未確認ミサイル2発を懸吊している姿が確認された。その独特の形状から新型ミサイル「25式地対艦誘導弾」の空中発射型だと思われる。

25式地対艦誘導弾は、陸上自衛隊が2025年度末(2026年3月)に部隊配備を開始した地上発射式の対艦ミサイルである。周囲を海に囲まれた日本は冷戦時代から国産の地対艦誘導弾を開発・配備しており、25式はその最新型にあたる。

25式地対艦誘導弾は1000km以上もの長射程が特徴だ。これまでの地対艦誘導弾(12式、88式)が100~200kmであったから、実に5倍以上と言える。地理的に言えば、九州に置けば東シナ海のほぼ全体を射程におさめることができる。わが国へ侵攻する敵を、早期・遠方で阻止することを目的とした「スタンドオフ・ミサイル」である。

陸上自衛隊の25式地対艦誘導弾(発射車両)。最大1000km超ともいわれる長射程を誇る。「相手と距離が離れて」攻撃できるという意味で「スタンドオフ」ミサイルと呼ばれている(写真/筆者)

“航空機側の”受ける影響を確認するフライト

25式地対艦誘導弾は、当初から空中発射型(空発型)と艦艇発射型(艦発型)の開発が計画されていた。いずれも2028年度中の運用開始を予定しているが、その空中発射型の実物が初めて姿を現した。

25式地対艦誘導弾(空発型)の実物が姿を見せるのは、これが初めてとなる(写真/K.otani)

今回は飛行試験そのものが初めてだと思われるが、ミサイル本体の試験ではなくミサイルを搭載した“航空機側の”受ける影響を確認する為の試験科目が実施されたと推測される。

ミサイルや爆弾など航空機の兵装は、「ポン付け」すればいいというものではない。重量バランスや気流の変化、振動などが搭載母機に影響を与えるため、段階を踏んで確認する必要があるのだ。

重たく大きなミサイルを搭載すれば、重量や気流などが変化し飛行に影響を与える。航空機の武装を実用化するには、そうした影響を考えなくてはならない(写真/K.otani)

ステルス性を備えた対艦ミサイル

あらためて、ミサイルの外観を観察していこう。これまでの円筒形ミサイルと異なり、角ばった6角形断面のステルス形状が特徴だ。ただし、目標の探知・誘導はレーダーによるアクティブな手段を用いるため、ミサイル先端にカメラ窓などは確認できない。

ミサイルの上面、パイロン(取り付け装置)との境目あたりに、折り畳まれた主翼が見える。発射後は翼を展開して飛行する。下面にはエンジンのためのエアインテーク(空気吸入口)が設けられている(写真/K.otani)

ターボファン・エンジンで長距離巡航するため下面にエアインテークが、上部には折り畳まれた主翼が見える。なお、地上発射型では加速のためにブースターを備えているが、空中発射型は航空機の運動エネルギーをそのまま使えるためブースターは不要だ。

25式地対艦誘導の発射試験。ミサイル後端の円筒形の部品がブースター。地上発射の場合、速度や高度を得るためブースターによる加速が必要となる(写真/防衛装備庁)

中国海軍の脅威がますます高まるなかで、日本は25式以外にも超音速対艦ミサイルASM-3シリーズの開発、F-35戦闘機に搭載するノルウェー製「JSM(統合打撃ミサイル)」の導入など、対艦攻撃能力の強化に取り組んでいる。

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