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自衛隊新戦力図鑑

陸上自衛隊も試験導入

6月に陸上自衛隊が実施した富士総合火力演習(総火演)では、複数の無人地上車両(UGV)が公開され、大きな注目を集めた。「無人機」と言えば、飛行型(UAV、ドローン)が広く知られているが、現在ではUGVも重要な存在となっている。

また、無人機というと攻撃任務が注目されがちだ。自爆攻撃UAVの映像がインターネット上で拡散されていることもあり、無人機=攻撃兵器の印象が強い。UGVについても機関銃を搭載した戦闘型は見た目のインパクトもあって話題となることが多い。

陸上自衛隊も試験導入しているエストニア製の無人地上車両「THeMIS」。モジュール構造で任務により搭載物を変えることができる。こちらは機関銃を搭載した戦闘型(写真/ミレニム・ロボティクス)

しかし、戦場での重要性でいえば輸送型を忘れるわけにはいかないだろう。総火演でも「兵站支援型」の名称で紹介されている。平らな積載スペースがあるだけで、地味な姿の輸送型UGVの何が重要なのだろうか?

陸上自衛隊が試験導入している「ミッション・マスターSP」の兵站支援型。上面が平らになっているだけで、やはり派手さはない(写真/筆者)

毎月1万回以上の兵站任務

6月12日にウクライナ国防省がUGV運用に関する発表を行なった。このなかで特に言及されていたのが輸送・負傷者後送任務だ。ウクライナ軍では、今年だけですでに5万回以上の輸送・負傷者後送任務をUGVが実行しており、その件数は月毎に増加しているという。1月に7500回だったのに対して、5月には1万4000回と、半年で倍増する勢いだ。

ウクライナ軍が今年導入した輸送・負傷者後送用UGV「ヴェープル」。物資なら最大350kgを運搬可能で、負傷者なら2名を後送できる(画像/ウクライナ国防省)

輸送型UGVの活用が急増する背景には、同じく無人機であるUAVの存在がある。かつて地上戦は両軍が「最前線」という「線」で接触していた。そして、「線」の後方は比較的安全であり、そこで行なわれる物資輸送や負傷者後送は危険の少ない役割だった。

しかし、空を飛ぶUAVは最前線部隊に広い視界を与え、また「線」を超えた偵察や自爆攻撃を可能にしたことで、物資輸送や負傷者後送のリスクが跳ね上がった。特に最前線に近い「ラスト・ワンマイル(最後の1マイル)」の危険度は最前線と変わらないものとなってしまった。

こうしたなか、UGVは小型・低姿勢のため有人車両よりも発見される可能性が低く、なにより人命を危険にさらすことがなく任務を遂行できるわけだ。





後送される負傷者。負傷者は現場で止血など応急処置を受けたのち、後方に送られ適切な医療処置を受ける。これまでは有人車両などで後送していた(写真/ウクライナ国防省)

飛行ドローンも「ラスト・ワンマイル」の輸送に

「ラスト・ワンマイル」の物資輸送ではUGVだけでなくUAVも活用されている。数十~数百kgの貨物を運搬できる重量物運搬ドローンだ。たとえば、アメリカ海兵隊は「TRV-150C」という縦横2.6×2.0m、運搬可能重量150ポンド(約68kg)の大型8枚ローター・ドローンを導入している。

アメリカ海兵隊が導入した「TRV-150C」。最大速度は108km/hで、低積載時に70km、最大積載で14kmの航続距離を持つ8枚ローター・ドローン(写真/アメリカ海兵隊)

UAVは水域を通過でき、UGVよりスピードも速いが積載量は少なく、空を飛ぶためUGVより発見されるリスクが大きい。そのためウクライナではUGVの補完的に用いられているようだ(一方でアメリカ海兵隊は、島嶼作戦が基本となるためUAVを活用する)。

派手さはない輸送型UGVだが、その存在感は戦闘型と変わらないくらい、いやそれ以上に大きなものと言えるかもしれない。「ラスト・ワンマイル」の兵站がなくては、部隊は戦うことができないからだ。

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