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ベース車両:ホンダCBX1000 製作:Remotion
CBX1000はホンダ250ワークス「RC166」のレーシングスピリッツを継承
ホンダCBX1000(正式なモデル名はCBX)は、1979年(昭和54年)に登場。空冷4ストローク車としての“究極の姿”を追求した、GPレーサーと同様の空冷4ストローク並列6気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載。排気量は1047cc。最高出力は105ps/9000rpm、最高トルクは8.6kg-m/8000rpm。ミッションは5速リターン。CBX1000の6気筒エンジンの存在感があまりにも大きく、発売当時は一部で「車体にエンジンを搭載」ではなく、「エンジンに車体を搭載」とも言われた。
CBX1000の原点は、1964年から投入されたGP250ccクラスのホンダワークスマシン、「3RC164」「RC165」「RC166」。2RC164は4気筒だったが、ヤマハの2スト勢に対抗すべく、6気筒の3RC164を投入。その後、6気筒ワークスマシンはRC165やRC166へと進化した。
1966年、RC166は世界GPで10戦全勝、マン島TTで優勝という圧倒的な強さを誇り、1967年も世界GPでタイトルを獲得。その後、強すぎる6気筒はレギュレーションで禁止となった。
圧倒的な強さを誇ったワークスマシン「RC166」の血統を受け継ぐ、“隠れたレーサーレプリカ”とも呼ぶべきCBX1000は、1978年(昭和53年)にリリースされた、水冷4ストローク並列6気筒DOHC 2バルブ1286ccエンジン搭載のカワサキZ1300と同様、“市販車では珍しい、ド迫力の6気筒エンジン車”として現在でもリスペクト。程度の良い車両は、超お宝モデルとして非常に高額な値段で取引されている。
CBX1000は欧米で販売。アメリカ仕様は大型ハンドルを装備したアップライトなポジション。ヨーロッパ仕様はハンドル位置が低く、ステップ位置を後退させた“ヨーロピアンスタイル”に設定。1981年(昭和56年)はカウルを装備するなど、ツアラーモデルとして発売された。
足周りは全面刷新。45年前のビンテージモデルを、現代のレベルまで引き上げ!
写真はホンダのCBXやCB-FからRC17Eエンジン搭載のCB750(RC42)まで、数多くのカスタムやメンテナンスを実施するショップ「Remotion(リモーション)」が製作した、ホンダCBX1000ベースのカフェレーサーカスタム。
同社のテスト用としても活躍するこのカスタムは、45年前のビンテージモデルを現代のレベルまで引き上げるために各部を徹底チューン。エンジンはオーバーホール&消耗部品の交換に加え、各部をファインチューニングするなど、CBX1000を知り尽くした同社ならではの“完全なる復活術”をフル投入。
エンジン前部にはブラックの大型のオイルクーラーをセットし、転倒時にエンジンを守るバンパーをコーディネイト。エンジンは腰上のシリンダー部のみブラックアウト化するなど、ガソリンタンクとのカラーバランスも絶妙だ。
純正ホイールは前19インチ・後16インチの異径サイズで、当時のホンダスポーツモデルの定番だったコムスター型。これを前後18インチのキャスト型に変更して軽快な足周りにカスタマイズ。
ステアリングステムはRemotion製とし、US仕様のCB900F用フロントフォークをセット。なおフォーク内部のバルブは積層式に変更済みだ。スイングアームはRemotion製を導入し、リザーブタンク付きリアショックを組み合わせ。ダブルディスク仕様のフロントブレーキは4POTキャリパーに強化され、リアディスクブレーキはキャリパーをアンダーにセット。
リアフォルムを彩るエキゾーストシステムは、大型ながらバンク角を稼げるサイレンサー形状に設計されたRemotionの「チタンマフラー TypeR」。異形の排気口を左右6個所に設けることで、6気筒を主張しているのがポイント。
小径ヘッドランプ、シングルメーター、ショート型フロントフェンダー、シングル風シートなど、ビルダーの技術の高さとセンスが光るアイテムが随所に施されている。