新型アウディQ6 e-tronのデザイン プラットフォームもデザインも新世代へ

アウディQ6 e-tron
新世代アウディ・モデルであるQ6 e-tronが発表された。ここから、アウディは次のフェーズに入る。3月にドイツ・ミュンヘンで開催された「Q6 e-tron Tech Workshop」では、もちろんデザインもひとつの大きなテーマだった。
TEXT & PHOTO:鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)PHOTO & FIGURE:AUDI

アウディQ6 e-tronとはどんなモデルか?

アウディQ6 e-tron

アウディの新世代BEVの第一弾と言っていいQ6 e-tronが発表された。新世代たる所以はアウディがポルシェと共同開発した新しいプラットフォーム、PPEを採用した最初のアウディモデルだからだ。ちなみにポルシェ新型マカンも同じPPEを使っている。

ドイツ・ミュンヘンで3月に「Q6 e-tron Tech Workshop」が開催された。PPEだけでなくデザインもひとつの大きなテーマだった。

ワークショップ初日は、プラットフォーム戦略やモーター、バッテリー、Eプラットフォームなどの技術の詳細のレクチャーがあった。デザイン・ワークショップは2日目に行なわれた。

スタジオには、Q6 e-tronとSQ6 e-tron(上級スポーツバージョン)がそれぞれ1台置かれていた。それから、新しいライティング技術を詳解するためのフロント&リヤエンドのモックアップが展示されていた。

スタジオに展示されていたQ6 e-tron

世界各国から集まったメディアは、スタジオに入る前に、スマートフォンとカメラを預ける。つまり撮影は禁止。一通りのレクチャーを受けたあと、スタジオから退場。その後、今度はカメラ(スマートフォンは持ち込み禁止のまま)を持って入場した。そこで自分のカメラの記録媒体(筆者のカメラはSDカード)を抜いて、アウディが用意したSDカードをカメラに挿入してようやく撮影がOKとなった(撮影したデータは、アウディがあとで個人宛に送ってくれる)。セキュリティは厳重だ。

撮影が可能になったスタジオに入ると、そこにはデザイナーの姿はない。つまり、クルマの撮影はできるが、デザイナー(担当別に数人のデザイナーがレクチャーをしてくれたのだが)のポートレートの撮影は不可、ということだ。

勝手な憶測だが、優秀なデザイナーが新興メーカーから引き抜きにあうのを気にしている……のではないか、と感じた。

さて、Q6 e-tronである。

まずはボディサイズを確認しておこう。
Q6 e-tron quattro
全長×全幅×全高:4771mm×1939mm×1648mm ホイールベース:2899mm

MEBプラットフォームのQ4 e-tronは
Q4 e-tron
全長×全幅×全高:4590mm×1865mm×1630mm ホイールベース:2765mm

MLB-evoプラットフォームのQ8 e-tronは
Q8 e-tron
全長×全幅×全高:4915mm×1935mm×1635mm ホイールベース:2930mm

だから、当然だがQ4<Q6<Q8というサイズになる。

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quattroブリスターの意図は?

まず、Q6 e-tronのプロダクトマネジャーが説明する。

Q6 e-tronのターゲットはデザイン志向でテクノロジーマインドを持つカップル、ヤングファミリーだという。競合するのは、テスラModel Y、BMW iX3、メルセデス・ベンツEQC、EQB、フォードMACH E、ジャガーI-PACE、NIO EC6/EL6だという。

そのうえでQ6 e-tronがデザインで表現したのは
・アイコニック(ICONIC)なPURE SUVデザイン
・EFFICIENT EV
・革新的な技術

だと説明された。BEVになっても魅力的でプレステージ性を目指した。プロポーションは「ロング・ホイールベース/ショート・オーバーハング」で完全に閉じた逆シングルフレームによる直立したフロントは、アウディの電動モデル特有のデザイン言語を踏襲している。

Static photo, Colour: Plasma blue metallic

サイドから見ると、グリーンハウスは低く伸び、リヤに向かってわずかにテーパードし、なだらかに傾斜したDピラーがボディワークのショルダーに流れこむ。Dピラーとルーフが連続することでキャビンはより細長く、クルマはよりダイナミックに見える。

リヤから見たquattroブリスター
Audi Sport quattro とAudi RS e-tron GT 

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Audi RS e-tron GT quattroブリスターを採用している。

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Audi RS e-tron GT quattroブリスターを採用している。

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これが元祖、quattroブリスター。Audi Sport quattro

注目は「quattroブリスター」と呼ぶフェンダー上部の膨らみだ。もちろん、名車アウディ・クワトロから来ている。ブリスターはアウディのデザインDNAの中核をなす要素だという。アウディはこの中心的なデザイン原則を「テクノロジーを可視化する」と呼ぶ。張りのある精密に描かれたquattroブリスターのおかげで、クルマは静止していてもある種のダイナミズムを体現する。これはe-tron GTから採用しているデザインで、デザイナーは「元祖のAudi quattroを現代流に解釈した」と言う。quattroブリスターは、ホイールを強調すると同時に、「光と陰」も表現するのだという。ヘッドランプ~フロントのquattroブリスター~リヤのquattroブリスター~リヤランプに繋がる部分は、「パンサーが走る時の肩の動きのようでしょう? 自然からインスピレーションを受けているのです」と説明してくれた。

フロント、サイドともに「2つのレイヤー」で構成されていて、上がデザイン、下がテクニカルなレイヤーとなっている。ボディサイドの黒いシルはバッテリーの位置を強調している。

ライティング技術も新世代に

Detail
フロントライトの構造図

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Q6 e-tronのフロント/リヤのライトは、「ユーザーが自分のお気に入りを選べる」デザインになっている。Audi Digital Lightは、それだけでなくクルマの幅を強調する役割もある。「デザインはヘッドラップから始まる」とプレゼンテーションで説明するように、さまざまな光り方でさまざまな機能を司る。

リヤランプの構造図

ちなみに、フロントはノーマルLED、リヤはOLED(有機LED)を使う。

いやはや、Q6 e-tronを見ると現行モデルのライトが一挙に古く見えてしまう。ライトデザイン専門のデザイナーが必要な理由も理解できた。

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…