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Aston Martin Vantage
モータースポーツからの積極的なフィードバック
新型「アストンマーティン ヴァンテージ」は、F1をはじめとするモータースポーツからのフィードバックを得て、ドライバーにフォーカスしたスポーツカーとして開発。今日のスポーツカーマーケットでは希少価値となりつつある、内燃機関らしいパワー、50:50の完璧な重量配分、シャープなハンドリング、絶妙にチューニングされたフロントエンジン・リヤドライブのシャシーバランスなど、エンスージアストを虜にする要素が組み合わせられた。
「ヴァンテージ」の名前は、レースで実績を収めていたDB2のハイパフォーマンス仕様を表すネーミングとして初めて登場。ヴァンテージがモデル名として初採用されたのは1964年で、DB5に「ヴァンテージ」のバッジを付けた高性能バージョンがこのシリーズの新たなフラッグシップとなった。
新型ヴァンテージは、現在アストンマーティンが活躍する様々なモータースポーツからのフィードバックが積極的に投入された。2023年シーズン、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・F1チームは、コンストラクターズ選手権でランキング5位を獲得。さらに、先代ヴァンテージをベースに開発されたGT3やGT4が、多くの耐久レースにおいて素晴らしい実績を刻んでいる。
アストンマーティンのアメデオ・フェリーサCEOは、新型ヴァンテージについて次のようにコメントした。
「ハイパフォーマンスカーの世界が極めて重要な変革期を迎えている現在、伝統的なブランドは築き上げてきた資質に忠実であり続けることが求められています。つまり、『ヴァンテージ』の名を冠するクルマは、その名に恥じない存在でなければなりません」
「クラスをリードするパワーとスピードは、ヴァンテージに求められる最も重要な資質です。そして、完璧なバランスのフロントエンジン・リヤドライブシャシーに、最新テクノロジーを巧みに組み合わせることで、誰もが虜になる性能を備えたスポーツカーが完成しました。主張のあるスタイリング、一新されたインテリア、最先端のインフォテインメントシステムとともに、ヴァンテージはあらゆる点で世界トップクラスに立つ存在です」
155PSのパワーアップを果たした4.0リッターV8ターボ
ハンドメイドで製造される4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンは大幅に改良が施され、ヴァンテージ史上最強の称号を獲得。最高出力は665PS、最大トルクは800Nmと、先代モデルから出力が155PS、トルクは115Nmもの向上を果たした。
これらのパフォーマンスアップは、アストンマーティンのエンジンエンジニアによる広範なチューニングによって達成。カムプロファイルの変更、圧縮比の最適化、ターボチャージャーの大型化、冷却コンポーネントの強化など、改良点は多岐にわたり、よりシャープな吹け上がりを持ち、抜群のサウンドを備えたV型8気筒エンジンが完成している。
こちらも改良が施された、ZF製8速ATを介して、リヤアクスルを駆動。最高速度は325km(202mph)、0-60mph加速3.4秒を誇る。ファイナル・ギヤがショート化(3.083:1)され、シフトキャリブレーションを最適化したことで、先代モデルよりもパンチの効いた加速力を実現した。また、ダイナミックモードを変更することで、シフト特性を変更することができる。
新開発のローンチコントロール・システムの導入により、誰もが最高レベルのスタートを切ることが可能になった。ローンチコントロールは、パワートレイン、トランスミッション、エレクトロニックスタビリティプログラム(ESP)と統合。ドライバーが作動させると、Eデフ、ESPスリップコントロール、エンジントルクマネージメントを駆使し、ホイールスリップを最適な範囲に保ちながら完璧なスタートを演出する。
エンジンのパワーアップに合わせて、エンジン冷却システムも再設計。あらゆるコンディションにおいて安定した吸気温度を確保するべく、チャージクーラーの水回路に低温ラジエーターが追加された。さらに中央メインラジエーターに補助クーラーを2基追加し、熱容量を拡大している。
30mmワイド化された筋肉質なエクステリア
新デザインのライトシグネチャーを持つ「マトリクスLEDヘッドランプ」を採用し、全幅が30mmワイド化されたことで、より筋肉質なエクステリアを実現した。フロントセクションのデザインが一新され、グリルの開口部は38%拡大、冷却効果を高めるために最大エアフローが29%も増加。グリル両側のバンパーに設けられた冷却用インテーク、低いスタンスを持つ一体型スプリッターはドラック低減による高速安定性を提供する。
アストンマーティンを象徴するサイドストレーキが復活し、サイドセクションにクラシカルでスポーティな印象を付け加えた。ワイド化されたホイールアーチに収められるのは標準装備の21インチ鍛造アロイホイール。サイドベントと大径クワッドエキゾーストテールパイプを組み込んだリヤバンパーが、リヤセクションをスポーティに引き締める。
今回、21色のカラーバリエーションと、3種類のカラーリングデザインを用意。カスタマーはベースカラーを選び、「ピンストライプ」「ピンストライプ&リップスティック」「ピンストライプ&リップスティック&リヤインフィル」という3種類のカラーリングデザインを組み合わせ、自分だけのヴァンテージを仕上げることが可能になった。
アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるマレク・ライヒマンは、新型ヴァンテージのデザインについて次のように説明を加えた。
「アストンマーティンは、多くの刺激的なモデル名に恵まれていますが、ヴァンテージほど興奮とダイナミズムを想起させるネーミングはないでしょう。パワーとパフォーマンスが大幅に向上した新型ヴァンテージを表現するため、私たちはそのフォルムを強調し、筋肉質で彫刻的なエクステリアを完成させました」
「今回、スーパースポーツの『One-77』からもインスピレーション得ています。私たちは、ヴァンテージの力強さをより明確に表現したかったのです。ひと目見ただけで、このクルマが本物のパワーを秘めていることが分かるでしょう。フォルムとプロポーションにはエレガンスがあり、そのパワーの根底には洗練さも潜ませています」
最新コネクティビティと物理スイッチを併用
新型ヴァンテージのインテリアは、シンプルでありながらもロジカルなデザインに、最高レベルの素材が組み合わせられた。現在のスーパースポーツに求められる最先端のコネクテッドテクノロジーを搭載し、オプションとしてオーディオパートナーの「Bowers & Wilkins」が開発したサラウンドサウンドシステムを導入することもできる。
クリーンで切れ目のないコクピットのラインは、ドライバーに広々としたクリアな視界を提供。繊細なデザインのベンチレーションや、完璧に統合されたインフォテインメントスクリーンから、センターコンソール下部の物理スイッチに至るまで、新型ヴァンテージは機能美と使いやすさが徹底的に追求されている。
10.25インチピュアブラックタッチスクリーンは、静電容量式シングルフィンガージェスチャーコントロールと、マルチフィンガージェスチャーコントロールに対応。今回、ギヤ選択、ドライブ選択、ヒーター、ベンチレーションなどの主要操作のために、あえて物理スイッチが残された。
ヴァンテージに搭載される次世代インフォテインメントシステムは、アストンマーティン社内で開発。DB12から初めて導入されたこの最新システムは、iOS/Androidデバイスに対応する「アストンマーティン・カスタマーコネクティビティアプリ」によって補完される。これにより、カスタマーは自身のスマートフォンを介して、様々なコントロールやフィードバックを行うことができる。