自動運転BEV「クライスラー ハルシオン コンセプト」をワールドプレミア

クライスラーが発表したフル電動「ハルシオン コンセプト」が目指す走行中の非接触充電【動画】

将来のフル電動4ドアサルーンを予告するコンセプトカー「クライスラー ハルシオン コンセプト」が公開された。
将来のフル電動4ドアサルーンを予告するコンセプトカー「クライスラー ハルシオン コンセプト」が公開された。
クライスラーは、フル電動・自動運転コンセプトカー「ハルシオン コンセプト」を発表した。持続可能性を重視したデザインと自動運転システムを搭載。ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー(DWPT)技術により、走行中にワイヤレス充電を行い、無制限の航続距離実現を目指している。

Chrysler Halcyon Concept

ラインナップの電動化を進めるクライスラー

自動運転BEV「クライスラー ハルシオン コンセプト」のエクステリア。
2017年以来、クライスラーは将来の電動化を予告するコンセプトカーを発表しており、今回公開された「ハルシオン コンセプト」は、その最新作となる。

クライスラーは2024年2月13日、フル電動パワートレインを搭載する「ハルシオン コンセプト」を発表した。サステイナビリティを重視したエクステリアとインテリアを導入し、パーソナライズされたドライビング体験と自動運転技術をシームレスに統合。クライスラーが掲げるブランド理念「ハーモニー・イン・モーション(Harmony in Motion)」を発展させ、未来的なテクノロジーをアピールする1台となる。

クライスラーは2017年に「ポータル コンセプト(Portal Concept)」、2022年に「エアフロー コンセプト(Airflow Concept)」、2023年に「シンセシス コクピット デモンストレーター(Synthesis Cockpit Demonstrator)」など、将来の電動化を予告するコンセプトカーを発表。ステランティス・グループのクライスラー・ブランドCEOを務めるクリスティン・フォイエルは、最新作のハルシオン コンセプトについて次のように説明を加えた。

「クライスラー ハルシオン コンセプトは、『ハルシオン』の名前が象徴する穏やかな世界を創り出す1台です。先進のテクノロジーを導入し、ハーモニー・イン・モーションを実現しながら、お客様に新たな価値を提供します。シンプルでピュアなエアロダイナミクスデザイン、シームレスでコネクテッドな没入感のあるコクピット体験などを通じて、完全な電動化が達成された未来を予告しているのです」

クライスラーは、2025年にブランド初のBEV専用モデルを発売し、2028年にはすべてのラインナップを電動化する予定。ステランティス・グループは積極的に電動化を進めており、2030年までに二酸化炭素排出量を50%削減し、2038年までにネット・カーボン・ゼロを達成する計画を掲げている。

エアロダイナミクスを重視したエクステリア

自動運転BEV「クライスラー ハルシオン コンセプト」のエクステリア。
ハルシオン コンセプトは、EVに求められる空力的な効率性能を徹底的に追求。広大なグラスエリアを持つ未来的な流線型フォルムが完成した。

ハルシオン コンセプトは、ステランティス・グループの「STLAラージ」プラットフォームをベースに開発。空力を重視した流線型のフォルムは、未来のクライスラー・デザインを予告している。

ドラマチックで彫刻的なスタイリングは、広大なグラスエリアを持つバタフライヒンジ式4ドアを採用。流れるようなガラスキャノピーは、エクステリアとインテリアを一体化させ、パッセンジャーにシームレスな眺望を提供する。繊細かつ機能的なフロントエアブレードを含む、エアロダイナミクス・パススルーエリアは高いエアロダイナミクスレベルを誇り、EVに求められる長い航続距離も実現した。

薄型LEDヘッドランプは、クライスラー エアフロー コンセプトで初採用されたLED照明のクライスラーウイング・ロゴを中心に配置。クライスラー・ウィングロゴは、ドライバーが近づくと点灯し、車両の充電レベルを「フル」「ミディアム」「ロー」で表示する。フロントエアカーテンは最適な空気の流れを実現するべく、その形状が決定された。

リヤセクションにもLEDでライトアップされたクライスラー・ウイングロゴを装着。バックカメラは未来的なバックミラーとしても機能し、フットレストのすぐ上にあるコンソールかクロスカースクリーンにリヤビューを映し出す。

ブレード形状の薄型サイドミラーにはカメラを内蔵。ドアハンドルは廃止され、パッセンジャーが近づくと生体認証を利用し、ドアが自動展開する。22インチ軽量ホイールは、ユニークなタービン形状のデザインを採用し、センターキャップにはクライスラー・ウイングロゴがアクセントとして装着された。

リサイクル素材が積極採用されたインテリア

自動運転BEV「クライスラー ハルシオン コンセプト」のインテリア。
広大なグラスエリアによる明るいインテリアは、CDを粉砕した再生複合素材など、サスティナブルなマテリアルが95%も使用されている。また、自動運転時にはステアリングやペダル類が収納され、フラットなエリアが出現する。

インテリアはほぼ360度の視界が確保され、没入型の環境を実現。ストレスを排した様々な機能によって「デジタルデトックス」コンセプトも採り入れられた。パーソナライズ可能な自動運転機能に加え、道路との直接的なつながりを提供する運転機能も残されている。

インテリアは親しみやすいデザインが採り入れられ、95%サステナブルな素材を使用。彫刻のようなコクピットのセンター部には透明型ディスプレイを配置した。このディスプレイは目の前の道路に視線を集中させながら、必要とされる情報視界も提供する。

ディスプレイを補完するのが、収納・展開が可能な15.6インチのコンソールスクリーン。コンソールスクリーンは縦型・横型を自由に回転させることが可能となっており、情報への素早いアクセスをサポートする。また、音声認識コマンドにも対応している。

AR(拡張現実)を導入したフルスクリーン・ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)は、速度や充電状況などの重要な運転情報を表示。コクピットにはAI機能も組み込まれており、ドライバーは車両に様々な質問を行うことができるという。

逆ヨーク型デザインのステアリングホイールは、CDを粉砕した100%リサイクル複合素材製。自動運転時にはステアリングホイールとペダルが格納され、フラットで居心地の良い環境がもたらされる。ステアリングホイールの中央にもクライスラー・ウイングロゴが配された。

ワイヤレス充電技術「DWPT」を搭載

自動運転BEV「クライスラー ハルシオン コンセプト」のエクステリア。
ハルシオン コンセプトは、ステランティス・グループが実証実験を行う「ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー(DWPT)」技術を搭載。実用化されると、専用レーンを走行することで、バッテリーにワイヤレスで充電できるようになる。

ハルシオン コンセプトは、革新的な「ダイナミック・ワイヤレス・パワー・トランスファー(DWPT)」技術を導入。将来的にDWPT専用道路レーンを走行することで、搭載するバッテリーにワイヤレスで充電することができるようになるという。

DWPTを実用化することで、充電器や充電ステーションを必要とせず、ニューヨークからシアトルといった遠隔地への移動でも、無制限に航続距離を伸ばすことも可能になる。ステランティス・グループは2022年にイタリア・キアリにあるアレーナ・デル・フトゥーロ・サーキットにおいて、DWPT技術の実証実験を行った。

また、ハルシオン コンセプトはニッケル/コバルト/マンガンなどを使用しない、画期的な「800Vリチウム硫黄EVバッテリー」の搭載を想定。現在の最高クラスのバッテリーよりもカーボンフットプリントが60%低くなり、世界市場で最もCO2排出量の少ないEV用バッテリーの実用化を目指している。

クライスラー ハルシオン コンセプトを動画でチェック!

ステランティスが発表した、大型モデル用新型プラットフォーム「STLAラージ」。

大型EV向け新プラットフォーム「STLAラージ」をステランティスが発表「ジープやダッジのフルサイズBEVに採用」【動画】

ステランティスグループは、今後世界中で投入されるDセグメント/Eセグメント車両のベースとなる、BEV(バッテリーEV)対応プラットフォーム「STLAラージ(STLA Large)」を発表した。STLAラージはフル電動モデルだけでなく、内燃機関やハイブリッドにも対応。2024年中にダッジとジープ用BEVから採用される。

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著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…