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Ferrari 812 Competizione
黎明期から続くテーラーメイドの伝統
エンツォ・フェラーリ・ミュージアムでスタートした企画展『Ferrari One of a Kind』は、マラネロ、ニューヨーク、上海にあるフェラーリのテーラーメイドセンターが提供する独自のパーソナライゼーションプログラムにより生み出された、唯一無二の車両を展示。その背後にあるクラフトマンシップを称えつつ、それぞれのフェラーリオーナーが持つ個性、嗜好、願望を、いかにフェラーリが表現したかを明らかにしている。
さらに黎明期に製造された貴重なモデルも公開。初期のフェラーリ製GTレーシングカーやロードカーは、当時のジェントルマンドライバーが好みのコーチビルダーを選んでボディを架装しており、今日のオーダーメイドの起源とも言える存在だ。当時の顧客はカラー、素材、フィット感、仕上げを指定し、好みに合わせたオーダーメイドの車両を製作。そのスタイルは現在も変わらず、フェラーリは幅広いパーソナライゼーションプログラムを展開している。
一般公開されてこなかった貴重なフェラーリたち
企画展『Ferrari One of a Kind』で展示されているフェラーリたちは、その多くがこれまで一般公開されたことがない貴重な車両ばかり。さらに、フェラーリのカスタマーのみが享受できるパーソナライゼーションプログラムの魅力にも触れることができる。展示の中心に据えらえたインタラクティブウォールでは、フェラーリ・スタイリングセンターが提供する素材、ファブリック、カラー、そして膨大なオプション触れることが可能となっている。
「フェラーリ 812 コンペティツィオーネ」は、フェラーリのデザイン部門責任者のフラビオ・マンツォーニによるクリーンスレートアプローチを具現化したユニークな車両。今回の企画展のポスターのメインビジュアルにも採用された。展示車は限定999台の第1号車で、2023年10月17日にニューヨークで開催されたフェラーリ・チャリティ・ガラにおいてオークションにかけられている。
エレガントなスタイルを持つ「フェラーリ166 MM」は、パーソナライズされたフェラーリ製ロードカーの先駆けとも言える1台。1948年に製造され、カロッツェリア・トゥーリングによってボディが架装された。オーナーのジャンニ・アニエッリの趣味を反映し、細部に至るまで美しく仕上げられている。
究極のワンオフモデル「イコーナ」シリーズ
2018年に製造された「フェラーリ モンツァ SP1」は、過去の偉大なフェラーリにインスパイアされたイコーナ(Icona)シリーズ最初の1台。イコーナは時代を超越した象徴的なスタイルを現代的な美学で再解釈し、モンツァ SP1は1950年代から1960年代のレーシングカーをオマージュした。ゴールドのオリジナルカラーリングが施され、ホイールとインテリアトリムにも同じカラーがあしらわれている。
イコーナ・シリーズ第2弾の「フェラーリ デイトナ SP3」は、モータースポーツの歴史に名を刻んだスポーツプロトタイプへのオマージュとしてデザイン。ルビーレッドのトランジショナル・カーボンファイバーで仕上げられ、光の当たり方によってボディパネルが独特の色彩に変化する。
会場に設置されたカーコンフィギュレーターを備えたインタラクティブエリアでは、来場者が夢のフェラーリをイメージし、デザインすることも可能。展示車両は2024年を通して定期的に更新され、2025年2月17日まで可能な限り多くのワンオフ・フェラーリが公開される予定だ。