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Aston Martin Vantage GT4
2024年から世界中のGTレースに投入
アストンマーティンは、ヴァンテージのロードカー、ヴァンテージ GT3に続き、新型ヴァンテージ GT4を発表した。カスタマーレーシングチーム、ジェントルマンドライバー、トラックカーを求めるエンスージアストをターゲットとする、ヴァンテージ GT4の投入により、F1を頂点とするアストンマーティンのモータースポーツヒエラルキーが完成したかたちだ。
新型ヴァンテージ GT4は、成功を収めた先代ヴァンテージ GT4をベースに開発。世界中を舞台に開催されている様々なGTレースに2024年シーズンから参戦することができる。新型ヴァンテージに施された様々な改良点の恩恵をヴァンテージ GT4も受けており、シャシー、エアロダイナミクス、ドライブトレイン、クーリング、効率性など、その改良メニューは多岐に及ぶ。
アストンマーティンのチーフブランド・コマーシャル・オフィサーを務めるマルコ・マティアッチは、新たに加わったヴァンテージ GT4について次のようにコメントした。
「新型ヴァンテージ GT4は、勝者となるために開発されました。センセーショナルな新型ヴァンテージ ロードカーに見られる大幅な性能向上の恩恵を受け、さらにヴァンテージ GT3と並行して開発されています。クラスをリードするパワーとテクノロジーは、サーキットで必ずアドバンテージとなるでしょう」
「また、新型ヴァンテージ GT4の導入により、アストンマーティンのパートナーチームとさらに深い関係を築くことができます。現在、世界中のGTレースにおいて40を超えるパートナーチームが積極的にシリーズ参戦を続けています。その多くは複数台・複数クラスのプログラムを展開しているのです」
80%以上をヴァンテージ市販仕様と共有
ヴァンテージ GT4も、ヴァンテージ GT3と同様にアストンマーティン・レーシング(AMR)によって設計・開発・製造される。2005年のDBR9以来、AMRは市販車ベースのアストンマーティン製GTレーシングカーを手がけており、この貴重な経験の蓄積とバックボーンが、ヴァンテージ GT4でも活かされている。
アストンマーティンの耐久レース責任者のアダム・カーターは、ヴァンテージ GT4について「新型ヴァンテージ GT4は、旧型ヴァンテージ GT4の進化版として開発されました。アストンマーティンのロードカーとレースカーの相乗効果をより緊密にすることで、新型ヴァンテージのロードカーに施された改良点をGT4でも活用し、スピードと効率性を大幅に向上させています」と説明する。
ヴァンテージ GT4はヴァンテージのロードカーと、構造/メカニカルアーキテクチャーの約80%を共有。その中心となっているのが新開発のアルミニウム製シャシーとなり、ボディワークが装着される前に厳しい安全要件をクリアしたフルカスタム仕様のロールケージが組み込まれた。足まわりにはKW社と共同開発した2ウェイ調整式ダンパーも導入されている。
搭載される4.0リッターV型8気筒ツインターボエンジンは、ロードカー用コンポーネントをベースに開発。電子制御システムを中心にアップデートされ、BoP(性能調整)への対応に加え、パワーアップと信頼性が大幅に向上した。また、トランスミッションはZF製8速ATから、ZF製6速パドルシフト付ギヤボックスに変更されている。
改善されたエアロダイナミクスと冷却性能
GT4は、レギュレーションによりロードカーのデザインから大きな変更ができないため、ロードカーの印象を残したエクステリアが完成。空力パッケージの開発には数値流体力学(CFD)を活用しつつ、アストンマーティンのデザイン部門もサポートを行っている。
ボディパネルの大部分はロードカーからキャリーオーバーされているが、エアアウトレット付きボンネットは天然複合材製が奢られた。また、フロントスプリッターを大型化、新形状の大型リヤウイングを装着しており、先代ヴァンテージ GT4からドラッグが低下し、ダウンフォースも大幅に向上しているという。
エンジンとブレーキシステムへのクーリング対策も重視されており、市販仕様と同様にラジエター開口部を大型化。これにより、エンジンの冷却システム、ブレーキへと送り込まれるエアフローが大幅に増加している。
新型ヴァンテージ GT4は、徹底的な開発プログラムを経て、先月アメリカで開催されたロレックス・デイトナ24時間レースの併催イベント「IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ」でテスト参戦を実施。すでに数台のマシンがカスタマーチームへとデリバリーされており、2024年は40台以上のオーダーを獲得している。