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Porsche 963
序盤トップに立った963の6号車がレースを制覇
2024年シーズンWEC開幕戦「カタール1812kmレース」、ポルシェ 963はカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで開催された10時間の長丁場において、そのパフォーマンスを存分に発揮することになった。
3月2日に行われた決勝レースは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのポルシェ 963 5号車(マット・キャンベル/ミカエル・クリステンセン/フレデリック・マコヴィッキィ)がポールポジションからスタート。5号車はスタートを担当したクリステンセンが1周目をトップでクリアする。
レース序盤、チームメイトの6号車のステアリングを握るバントールが、5号車をかわして首位に浮上。6号車はその後も安定したペースを刻み、ピットインのタイミングで一時的にトップの座を譲った以外は、そのポジションをキープする。963 6号車は、総合2位に入ったハーツ・チーム・ジョタの963 12号車(ウィル・スティーブンス/ノーマン・ナト/カラム・アイロット)に33秒297差をつけて、見事トップフィニッシュを飾った。
一方、963 5号車には不運が襲いかかり、タイヤのダメージによる予定外のピットインを2度も強いられることになった。それでもデイトナ24時間を制したキャンベルがレース終盤に渾身の走りを披露。最終ラップに総合2番手を走行していたプジョーがトラブルからリタイアしたこともあり、3位表彰台をもぎとった。この結果、ポルシェはWEC開幕戦で表彰台を独占している。
バントール、エストレと共に6号車で優勝を飾ったロッテラーは、次のように喜びを語った。
「長い間待っていた瞬間が訪れました。ついにポルシェ 963でのWEC初勝利です。今日、3人のドライバーが表彰台の頂点に立ちました。この勝利はチーム全員のおかげです。みんなが信じられないほど頑張ってくれて、新シーズンに向けて多くのことを改善してくれました。10時間のレース中も963は完璧に機能していました。手に汗握る場面もありましたが、冷静に対処したことで勝利を持ち帰ることができたのです」
プライベーターのハーツ・チーム・ジョタが2位
カスタマーチームのハーツ・チーム・ジョタは、12号車のステアリングを握った3人のドライバーが完璧なドライビングで10時間のレースを走り切り、2位表彰台を獲得。F1ドライバーのジェンソン・バトン、フィリップ・ハンソン、オリバー・ラスムッセンがドライブした38号車は、トップ8を長時間キープしたものの、残り約30分の段階でマシントラブルからリタイアした。
プロトン・コンペティションは99号車(ハリー・ティンクネル/ニール・ジャニ/ジュリアン・アンドローエル)は、11位で開幕戦をフィニッシュ。ポルシェ・モータースポーツの副代表を務めるトーマス・ローデンバッハは、開幕戦を終えて各チームの奮闘をたたえた。
「私たちは懸命にハードワークを続け、最高の形で報われました。この成功を言葉にするのは本当に難しいです。チームもドライバーも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。あらためて、ヴァイザッハのチーム全員に『おめでとう』と言いたいです」
「ポルシェの表彰台独占は、誰も予想していなかったでしょう。しかし、最終盤まで2番手をキープしていたプジョーにも敬意を表したいと思います。ゴール目前でのリタイアが、本当に悔しいことを私たちは理解しています。彼らは我々と一緒に表彰台に上る資格がありました」
LMGT3クラスを制した911 GT3 R LMGT3
WECに今シーズンから導入された「LMGT3クラス」は、マンタイ・ピュアレクシングの92号車(アリアクサンドル・マリキン/ジョエル・シュトルム/クラウス・バチェラー)が優勝。ドイツ・アイフェル地方を拠点とするマンタイ・レーシングが投入したポルシェ 911 GT3 R LMGT3は、全18台がエントリーしたLMGT3クラスにおいて、ほぼ全時間にわたってトップをキープした。
また、もう1台の911 GT3 R LMGT3で参戦したマンタイ・EMA(ヤッセル・シャヒン/モリス・シューリング/リヒャルト・リーツ)は、15位でチェッカーフラッグを受けている。911 GT3 R LMGT3の担当マネージャーを務めるセバスチャン・ゴルツは開幕戦での勝利を受けて次のように喜びを語った。
「今週末、私たちはFIA GT3車両をベースとした初の世界選手権で優勝を手にすることができました。プロジェクトチーム全体による開発作業、マンタイ・レーシングと6名のドライバーによるテスト、そして今日の実戦に至るまで最高のチームワークが実を結びました。あらためて、彼らのハードワークを誇りに思います。ただ、今回の結果からもいくつかの宿題を持ち帰ることになります。まだシーズンの始まりに過ぎないのです」