目次
Porsche Taycan Turbo GT Weissach package
2シーター仕様のヴァイザッハパッケージ
ポルシェはフル電動スポーツセダンのハイパフォーマンス仕様「タイカン ターボGT」と「タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ」を発表した。後者はサーキット走行に特化したモデルとなり、パワーウェイトレシオをさらに向上させるため、リヤシートが取り外されている。
両モデルとも1100PSを上まわる最高出力を発生。さまざまな軽量設計とエアロダイナミクス対策を組み合わせることで、フル電動スポーツのドライビングダイナミクスをさらに引きた。リヤアクスルには、半導体材料に炭化ケイ素を使用した、さらに強力で効率的なパルスインバーターが導入されている。
追加ブーストをもたらす「アタックモード」
タイカン ターボGTの「アタックモード」は、他のタイカンモデルの「プッシュ・トゥ・パス」機能をベースに、ボタンを押すだけで最大120kWのパワーブーストが10秒間追加される。このシステムはサーキット走行に最適化されており、ポルシェがABB FIAフォーミュラE世界選手権で使用している「99X」と同様の機能。アタックモードを選択すると、メーターパネルにはカウントダウンタイマーが表示され、スピードメーターのアニメーションリングがダイナミックに演出する。
タイカンに装備されているプッシュ・トゥ・パス機能と比較すると、アタックモードは50kWも高いブーストパワーを提供。操作方法も、ステアリングホイールのすぐ脇にあるモードスイッチを押す代わりに、右側パドルで「オン/オフ」を選択することが可能になった。さらに、ステアリングホイールの左側パドルでは、回生レベルを設定して走行条件に合わせることもできる。
「レーシンググローブを着用していても、ステアリングから手を離さずにブーストをかけることができます。タイカン ターボGTはレーシングドライバーのニーズに合わせて、簡単で安全かつ迅速な操作方法を導入しました」と、タイカンの開発ドライバーを務めたラース・カーンは説明する。
最高システム出力1108PSを発揮
タイカン改良新型では、全体的なシステム出力が大幅に向上。特に新開発のリヤアクスルモーターを備えて強化されたパワートレインにより、先代モデルよりもさらにダイナミックなパフォーマンスを実現した。より強力なパルスインバーターを装備し、ローンチコントロール使用時のオーバーブーストパワーは760kW、最高出力測定法に従うと2秒間で最大815kW(1108PS)に達する。
タイカンターボGTの0-100km/h加速は2.3秒、ヴァイザッハパッケージ装着車は2.2秒で、タイカン ターボSより0.1~0.2秒も速くなった。0-200km/hまでの加速はタイカン ターボGTが6.6秒、タイカンターボGT ヴァイザッハパッケージが6.4秒。タイカン ターボSより、最大1.3秒もスピードアップを果たした。
パルスインバーターは、電動モーターを制御するための重要なコンポーネント。両モデルとも、リヤアクスルに最大電流900Aのパルスインバーターが搭載された。これにより、タイカン ターボSの600Aのパルスインバーターを大きく上まわる出力とトルクを提供する。
効率を高めるために、パルスインバーターの半導体材料として炭化ケイ素も使用。これによりスイッチング損失が大幅に低減され、より高いスイッチング周波数が可能になった。変速比とギヤボックスの堅牢性も改善され、さらに高いトルク値を実現。両バージョンとも最大トルクは1340Nmを発揮する。航続距離は最大555km(WLTPサイクル)が確保された。
カーボンファイバーによる大幅な軽量化
ポルシェはインテリジェントな軽量設計によって、タイカン ターボSと比較してタイカン ターボGTを最大75kgも軽量化。数多くのカーボンファイバー製パーツが貢献することになった。
Bピラートリム、ドアミラーのアッパーシェル、サイドスカートのインレイなどにカーボンファイバーを使用。CFRP製フルバケットシート、軽量ラゲッジコンパートメント、テールゲートの電動ソフトクローズ機能の削除も、軽量化に寄与している。
タイカン ターボGTは「ダイナミクスパッケージ」を標準装備。このパッケージにはGT専用チューニングを施した「ポルシェアクティブライドサスペンション」が含まれる。ダイナミックな走行条件において、サスペンションがホイール荷重をバランスよく配分し、路面とのほぼ完璧な接地を実現。さらにスペシャルパフォーマンスサマータイヤと21インチ軽量鍛造ホイールも装着される。
標準装備の軽量セラミックブレーキは、「ポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)」をベースにしたシステム。ブレーキディスクチャンバーとブレーキキャリパーハウジングの設計変更により、2kg以上の軽量化を実現した。バネ下質量と回転質量を減らすことで、パフォーマンスが大幅に向上。また、ブレーキキャリパーは専用のヴィクトリーゴールドでペイントされる。
フラップ付きリヤスポイラーを装着
ポルシェはエアロブレード付きフロントスポイラーをタイカン ターボGT専用に開発。リヤセクションにも、ハイグロスカーボン織り仕上げのガーニーフラップを備えた、専用のアダプティブスポイラーが装着された。
マトリックスLEDヘッドライトも標準装備。タイカン ターボGTでは、オプション(追加料金なし)で「HDマトリックスLEDヘッドライト」にアップグレードすることも可能となっている。サイドウインドウトリムはハイグロスブラックでペイントされた。
エクステリアカラーは、新色の「ペールブルーメタリック」と「パープルスカイメタリック」を含む、全6色を展開。この2色は1年間、タイカン ターボGT専用カラーとしてラインアップされる。ドア下部とフロントボンネットには、ヴォルトブルーかマットブラック/ハイグロスブラックの「Taycan」ロゴ入りデカールも用意された。
軽量フルバケットシートを標準装備
コクピットは、スポーティーなRace-Texとブラックレザーのトリム、カーボン織り仕上げ(ハイグロス)の軽量フルバケットシートを標準装備。フロントアダプティブスポーツシートプラス(18way電動調整機能とメモリーパッケージ付)を、追加料金なしでオーダーすることも可能だ。
フロントヘッドレストには「Turbo GT」専用ロゴが刺繍され、クライメートコントロールパネルの下部には、各モデルのロゴ入りバッジが配置される。また、ヴォルトブルーかGTシルバーのコントラストカラーを基調としたエクスクルーシブインテリアも選択することができる。
「GTスポーツステアリングホイール」は、リムがブラックのRace-Texで覆われ、12時位置にマーキング付き。タイカン ターボGTには、タイカンターボSのスポーツクロノパッケージも採用された。
走りに特化したヴァイザッハパッケージ
タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージは、エアロダイナミクスと軽量設計を徹底的に追求。0-100km/h加速が2.2秒、最高速度は305km/h(ターボGTは290km/h)に達する。
エアロダイナミクスは、アンダーボディのエアディフレクターエレメントと、新形状のフロントディフューザーを追加。リヤにはウイングサポートを固定したカーボン織仕上げの固定式リヤウイングが装備される。これにより、ダウンフォース総量は最大220kgに達する。
リヤウイングの両サイドにはヴァイザッハパッケージの専用ロゴも配置。要望に応じて、ヴォルトブルー、ブラック、マットブラックのストライプラップも用意された。
サーキット走行に必要のない装備をすべて取り外すことで、タイカン ターボGTと比較して約70kgの軽量化を実現。運転席および助手席シートシェルの後部は、収納コンパートメントを備えた高品質軽量カーボンクラッディングが、通常のリアシートシステムの代わりに装備される。
メーターパネルに通常装備される「スポーツクロノパッケージ」のアナログ時計や、フットマットとトランクマットも取り外され、断熱材の使用量も低減。特別な防音断熱ガラスとサウンドパッケージプラスも軽量化に寄与する。また、リヤスピーカーなしのサウンドパッケージプラスが、BOSEサラウンドサウンドシステムの代わりに装備された。
ブラックのRace-Texを使用した「GTインテリアパッケージ」が標準装備。助手席側には「Weissach package」ロゴ入り専用バッジが配置される。また、ヴォルトブルーとGTシルバーのインテリアパッケージも選ぶことができる。
ラグナセカとニュルブルクリンクで記録達成
2024年2月23日、カリフォルニア州のウェザーテックレースウェイ・ラグナセカにおいて、発売前のタイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージが、市販電気自動車の最速のタイトルを奪取した。今回、ポルシェの開発ドライバーのラース・カーンは1分27秒87というラップタイムを記録。あらゆる公道走行可能な電気自動車のドライバーを上まわるファステストラップをマークした。
その少し前に、同じニューモデルの試作バージョンがニュルブルクリンクでクラス新記録を樹立。このときもカーンがステアリングを握り、ノルドシュライフェで7分07秒55のラップタイムを刻んだ。
この公式ラップタイムは、2022年8月にタイカン ターボS パフォーマンスパッケージでカーン自身が記録したレコードラップを26秒も上まわった。現在の市販電気自動車の最高記録でもあり、タイカン ターボGTはすべてのパワートレインタイプの中で、ニュルブルクリンク最速の4ドアモデルにも君臨したことになる。
タイカンのモデル責任者を務めるケビン・ギークは、ふたつの記録達成を受けて、次のようにコメントしている。
「ラグナセカとノルドシュライフェで記録した二つのラップタイムは、タイカンのサーキットにおけるポテンシャルの高さを示しています。サーキットで実力を証明するには、単にパワーがあればいいというものではありません。加速とブレーキング、コーナリング時のグリップ、エアロダイナミクス、安定性、ファインチューニングの総合的なパッケージが適切でなければならないのです」
「特にタイカン ターボGTとタイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージでは、ポルシェのエンジニアが見事な方法でこれを達成しました。彼らはすでに、最近アップグレードされた既存のタイカンで素晴らしい仕事をしています。ポルシェの新型フル電動GTモデルは、ドライビングダイナミクスの基準をさらに高く引き上げたことは、誰の目にも明らかでしょう」
二つのサーキットでアタックを担当したカーンは、次のように付け加えた。
「ラグナセカのコースは、タイカン ターボGTを限界まで追いつめます。違いを生むのは総合的なパッケージです。タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージは、ほぼすべての指標で新たな基準を打ち立てています。加速とブレーキ、直感的に使用できるアタックモード、最大のトラクションとパフォーマンスを発揮するように設計されたパワートレインなどです」
「コーナリング時のグリップレベルも素晴らしくコントロール性とフットワークの軽さは信じられないほどです。タイヤはとてもよく機能しているし、どのような走行条件でも適切なバランスを保ちます。ラグナセカの起伏に富んだコースをこの車で走るのは本当に楽しかったです」
車両本体価格(税込)
ポルシェ タイカン ターボGT:3132万円
ポルシェ タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ:3132万円
【問い合わせ】
ポルシェ コンタクト
TEL:0120-846-911
【関連リンク】
・ポルシェ ジャパン公式ウェブサイト