日本でちょうどいいボディサイズと存在感が魅力の2代目「BMW X2」に試乗

整ったデザインが美しい新型「BMW X2」に試乗「日本でちょうどいいボディサイズと存在感」

2代目へと進化を遂げたコンパクトSUV「BMW X2」。
2代目へと進化を遂げたコンパクトSUV「BMW X2」。
BMWのコンパクトSUV、X2が2代目へと進化を遂げた。ハッチバックスタイルの初代とはうって変わり、流麗なSUVクーペの装いだ。スポーツモデルM35iの試乗記を中心にX2の魅力をお届けする。(GENROQ 2024年5月号より転載・再構成)

BMW X2

見どころは間違いなくデザイン

BMWのコンパクトSUV、X2が2代目へと進化を遂げた。 ハッチバックスタイルの初代とはうって変わり、流麗なSUVクーペの装いだ。 スポーツモデルM35iの試乗記を中心にX2の魅力をお届けする。
BMWのコンパクトSUV、X2が2代目へと進化を遂げた。 ハッチバックスタイルの初代とはうって変わり、流麗なSUVクーペの装いだ。 スポーツモデルM35iの試乗記を中心にX2の魅力をお届けする。

BMWがプレミアムコンパクトクラスで唯一のSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と謳う「BMW X2」がフルモデルチェンジを受けて新型に生まれ変わった。お披露目は、昨年のジャパンモビリティショー2023で済ませているから、実車を見たという方も多いだろう。

一番の見どころは間違いなくそのデザインである。先代はサイズの制限もあってか、SACと括られるモデルの中では異色のチョップドルーフ的なフォルムとされていたが、新型は兄貴分であるX4やX6などと共通のイメージの、傾斜したリヤウインドウとそれに繋がる流れるようなルーフラインを持つ、言わば正統派SACへと進化を遂げている。フロントマスクもX1と同じではない。目つきはよりシャープで、グリルは天地に薄く、そしてワイド。しかもアイコニックグローと呼ばれる、輪郭が光る仕掛けも選ぶことができるようになった。

フォルムの刷新に伴ってサイズは全長が192mm、全幅が20mm、全高が40mm高くなった。日本の立体駐車場の多くを利用できるという先代のメリットが失われたことになるが、率直に言って新型は従来より圧倒的にスタイリッシュ。天秤にかければ、このカッコ良さを取るという人が、きっとほとんどに違いない。

階層構造などが見直されて、ずいぶん使いやすくなった最新のBMW OS9を採用したインテリアは、サイズアップの恩恵でスペースも拡大している。前席はもちろん後席も今や頭上含めて余裕十分だし、荷室容量も通常時90L、後席を折り畳んだ際には115Lも増えているのだ。こうして見るとサイズも使い勝手も、もはやひとつ上のセグメントに移行したという感すら抱いてしまう。

期待以上に洗練された乗り味

車体の基本骨格には、ご想像の通りX1と同じエンジン横置きのプラットフォームを用いる。日本向けには3グレードが揃ううち、今回は2台に試乗。まず乗り込んだX2 M35i xドライブは、最高出力317PS、最大トルク400Nmを発生する直列4気筒2.0リッターターボエンジンに7速DCT、そして四輪駆動システムを組み合わせる。

印象的なのはエンジンだ。アクセル操作に対する反応に遅れが無くスッと力が湧き出す。エンジン特性、DCTの採用など様々な要素が相まって、とてもダイレクトなドライブフィールを実現しているのである。特にスポーツモードではサウンドの演出、さらに鋭くなるレスポンスのおかげで、Mの名に相応しい刺激を得ることができる。10秒間だけマックスの加速が得られるブーストモードも、若干ギミックめいてはいるけれど、でも楽しい。

乗り味も期待以上の洗練ぶりだった。サスペンションは決してソフトではないが先代のようにガツガツと突き上げることはない。M35iには電子制御ダンパーが備わるのも効いているに違いないが、それ以上に高いボディ剛性が上質な乗り味に繋がっているポイントと言えそうだ。操舵に対する応答性は正確で、深い舵角まで良く追従する。先代の、よく曲がるけれど直進性に難アリという感じはもはやなく、安心してドライブを楽しめる。

走りを楽しめるBEV版も

BEVのiX2 xドライブ30とM35i xドライブはキドニーグリルの意匠がだいぶ異なる。
BEVのiX2 xドライブ30とM35i xドライブはキドニーグリルの意匠がだいぶ異なる。

もう1台は今回初設定のBEV版、iX2 xドライブ30 Mスポーツだ。前後2モーターのシステム合計最高出力は313PS、最大トルクは494Nmで、バッテリー容量は66.5kWhで、一充電走行距離は449kmに達する。BEVらしい瞬時に立ち上がるパワーとトルクのおかげで、走りっぷりはとても俊敏だ。グイグイ来るけれど滑らかさを失わない加速は、突き抜けるかのよう。BMWアイコニックサウンドと名付けられた電子音も面白いが、個人的にはそれなしのクールな速さが気に入った。

車重は当然増えているが、重心は低く前後重量バランスにも優れるということで、ハンドリングも爽快だ。鼻先が軽いので右に左に切り返すセクションは大の得意だし、高速コーナーの好バランスぶりもお見事。走りを楽しめるBEVになっている。

直球のカッコ良さを得た外観に、使えるパッケージング。室内インフォテインメントは一層使いやすくなり、何より走りの質が格段に向上した。ボディサイズも日本では存在感含めて丁度いいところにあるというわけで新しいX2、今まで以上の支持を集めるのではないだろうか。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/BMW AG
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号

SPECIFICATIONS

BMW X2 M35i xドライブ

ボディサイズ:全長4555 全幅1845 全高1575mm
ホイールベース:2690mm
車両重量:─kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:233kW(317PS)
最大トルク:400Nm(40.8kgm)
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後245/40R20
車両本体価格:810万円

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

パフォーマンス仕様「X2 M35i xDrive」の走行シーン。

2代目「BMW X2」とフル電動モデル「iX2」がワールドプレミア「iX2の最大航続距離約450km」【動画】

BMWは、スポーツ・アクティビティ・クーペ(SAC)の「X2」を初めてフルモデルチェンジ。流麗なエクステリアを纏い、豊富なパワートレインラインナップが用意された2代目「X2」とフル電動「iX2」は、10月25日に開幕する「ジャパン モビリティショー 2023」において一般公開される。

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著者プロフィール

島下 泰久 近影

島下 泰久

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけでなく先進環境安全技術、ブランド論、運転など、クルマ周辺のあらゆ…