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Mercedes-Benz EQV/V-Class
VIPやビジネスマン向けのモデルへ進化
メルセデス・ベンツVクラスのフェイスリフトバージョンの国際試乗会が、フランス・カンヌで行われた。現行の3代目Vクラスは、気がつけばデビューから10年が経過。メルセデスは今回の改良で、Vクラスをファミリーやレジャー向けのモデルから、VIPやビジネスマン向けのモデルへ進化させたという。具体的には、内外装デザインを変更し、一層のラグジュアリー感を与え、質感も向上。最新のMBUXやARナビも搭載し、装備も充実させてコンフォート性能向上も図っている。
最初に試乗したのは、ディーゼルのトップグレードである「V300d」のロング。おそらく日本市場には導入されないエクスクルーシブ仕様だ。V300dは4WDもあるが、今回の試乗車は後輪駆動車。237PSと従来の30Nm増となる500Nmを発揮する2.0リッター直4ディーゼルターボを搭載し、9速ATを組み合わせる。その走りはとてもパワフルで、軽快感に溢れている。ホイールベースが3200mmと長いので、取り回しには若干気を使うが、ハンドリングは素直で、ワインディングロードでも弱アンダーステアをキープする。
乗り心地も従来よりワンランクしっとり滑らかになった印象だ。ステアリングフィールは若干振動が感じられるが、総じて動的質感が向上したのは間違いない。
フル電動モデルは動力性能に大きな不満
次にステアリングを握ったのはBEVの「EQV300」。204PSと365Nmを発揮する電気モーターをフロントに搭載した前輪駆動車で、ホイールベース間に90kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。WLTPにおける航続距離は最大365kmだ。
スムーズな加速はさすがBEV。低重心で前後重量バランスが良いので、ハンドリングは素直で、ステアリングフィールも非常にスッキリ。乗り心地は非常にフラット感が高く、静粛性も文句なく高い。快適性は明らかにV300dを凌駕している。
だが遅い。車両重量が約2.8tと、V300dより500kg以上重く、しかも最大トルクがディーゼルの163PS仕様(380Nm)より小さいことが理由だろう。ひとり乗りでも常にスポーツモードで走りたいと思うほどなので、多人数乗車時には動力性能に大きな不満を感じるはず。航続距離も実際にはカタログ値より短くなると考えられる。日本市場には導入されないが、EQVは商用車用BEVプラットフォーム「VAN・EA」が登場する2026年以降の進化に期待したほうが良さそうだ。
装備内容や質感などは大幅な進化
日本にはおそらく従来通り163PS仕様の「V220d」が導入され、アバンギャルドが標準となるだろう。動力性能の点ではV300dに引けを取るが、その他の面は装備内容や質感など大幅な進化を遂げているので、上陸を楽しみに待ちたい。
REPORT/竹花寿実(Toshimi TAKEHANA)
PHOTO/Mercedes AG
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号
SPECIFICATIONS
メルセデス・ベンツEQV(ロング)
ボディサイズ:全長5140 全幅1928 全高1900mm
ホイールベース:3200mm
車両重量:2811kg
システム最高出力:150kW(204PS)
システム最大トルク:365Nm(37.2kgm)
駆動方式:AWD
EV航続距離:344-365km(WLTP)
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トレーリングアーム
【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
https://www.mercedes-benz.co.jp/