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Maserati Tipo Folgore
予選デュエルに進出し、2番グリッドを確保
2023年シーズンからマセラティ・MSG・レーシングに加入したギュンターは、2週間前の第4戦サンパウロE-Prixにおいて最下位スタートから9位に入賞。その好調さを維持したまま東京でのレースウイークを迎え、プラクティスの段階から競争力のあるペースを示し、FP1とFP2で3番手につけた。
予選でもそのパフォーマンスを最大限に発揮し、ギュンターはグループBでトップタイムを記録してデュエルステージへの進出。準々決勝でポルシェのパスカル・ウェーレインを破り、準決勝でERT・フォーミュラEチームのセルジオ・セッテ・カマラに勝利し、決勝進出を果たした。
予選のファイナルでは日産のオリバー・ローランドを相手に力強いパフォーマンスを見せたが、わずか0秒021差でポールポジションを逃し、2番手グリッドを確保。一方、チームメイトのユアン・ダルバラは、フォーミュラEキャリア5戦目の予選を17番手で終えている。
幾度となくオーバーテイクを披露
3月30日の決勝レース、イン側の荒れた路面からのスタートとなったギュンターは、マヒンドラ・レーシングのエドアルド・モルタラに2位を奪われてしまう。ギュンターはアタックモード戦略を有効活用し、前を走るモルタラとローランドをオーバーテイクしてトップに浮上。14周目に最初のアクティベーション(ドライバーはサーキットに設置されたアクティベーションゾーンを通過しなければならない)を実施する。
3番手でコースに復帰したギュンターは、アタックモードで得たパワーを生かしてコース上でモルタラをオーバーテイクし、前を行くローランドを追いかける。20周目、アクシデントによるデブリ(パーツの破片)の除去のため、セーフティカーを導入。レースは22周目まで中断を余儀なくされた。
リスタート後にトップ争いを再開したギュンターは、25周目にローランドのオーバーテイクに成功。ポジションを犠牲にすることなく、最後のアタックモードに入るのに十分なギャップを築いた。レース終盤には激しいプレッシャーを受けながらも、チェッカーフラッグまでリードを守りきり、自身のフォーミュラEのキャリアにおける5度目の勝利、そしてマセラティにとっては2023年の参戦以来2勝目を挙げた。
チームメイトのダルバラは好調なスタートを切ったものの、レース序盤にDSペンスキーのジャン-エリック・ベルニュに追突されてダメージを負い、18位でレースを終えた。
マセラティで2勝目を挙げたギュンター
東京初開催の歴史的レースで勝利を手にしたギュンターは次のように喜びを語った。
「信じられないような週末でした。僕たちはすべてのセッションでトップ3に入り、ポールポジションは目前にありました。マシンのフィーリングも良く、チームとしてもここ数週間で良いステップを踏んできました。サンパウロ以来、僕たちには本当にどんどんペースが上がってきている事を実感しています。今日はそれを勝利につなげることができました」
「レースでは様々なエネルギーマネジメントが必要でしたが、その戦略を完璧に実行し、やるべきことはすべてやり遂げました。フォーミュラE初開催の東京で優勝できたことは素晴らしいことだし、本当に誇りに思います。この瞬間を思い切り満喫したいですね」
48ポイントを積み上げたギュンターは、ドライバーズ選手権で5番手に浮上。マセラティ・MSG・レーシングはチームズ選手権において、エンビジョン・レーシングを追い抜き、7番手へとポジションを上げている。マセラティ・MSG・レーシングのチーフエンジニアを務めるシリル・ブレは、次のようにレースを振り返った。
「例えようもないほど素晴らしい内容のレースになりました。この結果は、チームとしての何ヵ月にもわたるハードワークの成果です。今日は綿密に計画された戦略を実行し、アグレッシブに攻めようと決めていました。表彰台に甘んじるのではなく、優勝を目指してプッシュすることを選択したのです」
「ユアンは不運にもレース序盤で勝機を失ってしまいましたが、彼はいま学習しているところですし、順調に進歩を続けています。 異なる4つのサーキットで5つのレースを戦い、今シーズンはここまで大きな期待と可能性を見せてきました。我々のパッケージであれば、ほぼ毎レースで競争力を発揮できるとわかっていますし、それがチーム全員の大きなモチベーションになっています。今年はさらに素晴らしい結果を達成できると確信しています」