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Range Rover Sport SV EDITION ONE
アルガルヴェに4台の「SV」を投入
ハイパフォーマンスフラッグシップとして開発された「レンジローバー スポーツ SV」は、4.4リッターV型8気筒ガソリンターボに、マイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、最高出力635PS、最大トルク750Nmを発揮する。
今回、ポルトガルのアルガルヴェ・インターナショナル・サーキット(ポルティマン・サーキット)を舞台に、レンジローバー スポーツ SVが2週間のサーキットテストを実施。オプションとして導入された「カーボンセラミック・ブレーキシステム」の制動性能と耐久性能が検証された。ポルトガル南部のアルガルヴェ・サーキットは全長4.653km、F1やMotoGPなどの開催実績を持つ、テクニカルな国際サーキットだ。
ランドローバーは、4台の「レンジローバー スポーツ SV EDITION ONE」を用意。この4台は、オプションとして設定されている、ブレンボ製Octymaフロントキャリパーと自動車業界最大の440mmフロントブレーキディスクを備えたカーボンセラミック・ブレーキシステムが装着されている。
耐久性能・摩耗性能の優秀性をアピール
各車両はサーキットを平均215周し、テスト開始前に走行していた1000マイルに、615マイル(987km)が追加された。アルガルヴェ・サーキットは、複数のコーナーに厳しいブレーキングポイントが存在。特にセクター1の右コーナーは下り勾配の240km/hから急激な減速が求められ、1.1Gもの減速Gを記録した。
レンジローバー スポーツ SV EDITION ONEに導入されたカーボンセラミック・ブレーキシステムは、標準のデュアルキャストブレーキと比較し、バネ下重量を34kgも軽減。制動力アップに加えて、より応答性の高いハンドリング、加速性能の向上、乗り心地の改善を実現する。今回、テスト終了後の検査において、カーボンセラミック・ブレーキシステムのパッドは、使用可能寿命の約30%を残していた。
ランドローバーのシャシーマネージャーを務めるヒューゴ・マッツォレーニは、カーボンセラミック・ブレーキシステムの有効性を次のように説明する。
「カーボンセラミック・ブレーキシステムは、一般的なスチール製ブレーキディスクよりも冷却速度が速いため、パッドの温度管理が優れており、一般的に摩耗も緩やかです。加えて、レンジローバー スポーツ SVの6Dダイナミクス・サスペンションシステムによるピッチとロール制御が、ブレーキング時の安定性を維持するため、サーキット走行でもブレーキが酷使されることはありません」
ブレンボ社とランドローバーが緊密に協力
テクニカルパートナーのブレンボ社が独自開発したOctymaフロントキャリパーは、レンジローバーに装着されるキャリパーとしては最大サイズであり、優れた摩耗性能の最大の要因となっている。専用開発されたキャリパーは8つのピストンを十字型に配置することで、圧力配分を改善。より均一なパッド摩耗を実現し、ブレーキ効率を最大化した。
この新デザインは、4ピストン・リヤキャリパーにも採用。レンジローバーのデザイナーとブレンボ社が緊密に協力したことで、ブレーキコンポーネントの彫刻的なフォルムが、レンジローバー スポーツ SVの足元を美しく引き立てることにもなっている。
「SV」とブレンボのロゴをあしらったキャリパーは、標準のデュアルキャスト・ブレーキを装備したレンジローバー スポーツ SVにも採用。 デュアルキャスト・ブレーキはレッド、カーボンセラミックブレーキはイエローかカーボンブロンズにペイントされる。どちらのブレーキシステムも、ブラック・ペイントを選ぶことができる。