マイアミビーチのスペシャルイベントで「フェラーリ 12チリンドリ スパイダー」を公開

フェラーリの最新フロントV12搭載モデル「12チリンドリ スパイダー」がデビュー「最高出力830PS」

新型2シータースパイダー「フェラーリ 12 チリンドリ スパイダー」のエクステリア。
フェラーリは、フロリダ州のマイアミビーチで開催したエクスクルーシブなイベントにおいて、新型2シータースパイダー「フェラーリ 12 チリンドリ スパイダー」を公開した。
2024年5月3日、マイアミビーチで行われたエクスクルーシブなイベントにおいて、フェラーリは「12チリンドリ スパイダー(12Cilindri Spider:ドーディチ チリンドリ スパイダー)」をワールドプレミアした。美しいエクステリアを持つ2シーターベルリネッタスパイダーは、最高出力830PSを発揮する6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジンをフロントミッドに搭載。1950〜1960年代のフェラーリ製オープントップグランツーリスモから、インスピレーションを得て開発された。

Ferrari 12Cilindri Spider

パフォーマンスと快適性を備えたスパイダー

1950~1960年代に人気を集めたフェラーリ製オープントップGTからインスピレーションを得て開発された「12 チリンドリ スパイダー」は、V12による強烈なパフォーマンスに加えて、オープンエアによる快適性を兼ね備えている。
1950~1960年代に人気を集めたフェラーリ製オープントップGTからインスピレーションを得て開発された「12チリンドリ スパイダー」は、V12による強烈なパフォーマンスに加えて、オープンエアによる快適性を兼ね備えている。

「フェラーリ 12チリンドリ スパイダー」は、1950〜1960年代に人気を集めたフェラーリ製オープントップ・グランツーリスモからインスピレーション受けて開発された。公道走行可能なレーシングカーと言えるほどのパフォーマンス、ルーフを開放してV型12気筒のエンジンサウンドを堪能できるオープントップ、長距離ドライブにける抜群の快適性を兼ね備えている。

デザインは、近年のフェラーリの2シーターベルリネッタ・スパイダーの原則と決別。力強さと官能性を抑え、代わりにフォルムのピュアな美しさを生かし、より未来的なデザインを採り入れた。この結果、典型的なカーデザインのビジュアル要素がわずかに残った、個性的なフォルムが完成している。

12チリンドリ スパイダーが対象とするカスタマーは、1947年の創業以来、フェラーリが自動車界で守り続けてきた“魂“を明確に思い描けるフェラーリ通だという。さらに、強烈なパフォーマンスに快適性とイタリアンデザインが融合し、オープンエアの喜びも味わえるモデルを夢見る、新たなフェラリスタにも向けられている。

多くの改良が施された6.5リッターV12自然吸気ユニット

新型2シータースパイダー「フェラーリ 12 チリンドリ スパイダー」のエクステリア。
12チリンドリ スパイダーにフロントミッドで搭載される6.5リッターV型12気筒「F140HD」自然吸気エンジンは、最高出力は830PSを発揮。改良の一部は「812 コンペティツィオーネ A」に先行導入されている。

フェラーリ 12チリンドリ スパイダー搭載される「F140HD」エンジンは、フェラーリの魂が最も純粋に表現された、6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンの最新仕様。そのパフォーマンスと力強いサウンド、唯一無二のサウンドは、フェラーリ製最新ベルリネッタスポーツの後継モデルにふさわしい存在感を持つ。最高出力は830PS、最大トルクは678Nmに達し、最高回転数は9500rpmに引き上げられた。

今回の改良の一部はすでに、スペシャルシリーズの「812 コンペティツィオーネ A」にも導入。ただ、V型12気筒エンジンの最高回転数をここまで引き上げるには、エンジンコンポーネントの重量と慣性を削減する必要があったという。

チタン製コンロッドを採用したことで、同じ機械抵抗を持つスチール製よりも質量が40%も低減。ピストンは従来とは異なるアルミニウム合金を使うことで軽量化し、スライディング・フィンガーフォロワーの採用などにより、金属疲労への耐久性も引き上げられている。また、さらなる重量削減のため、リバランスを施した3%軽量なクランクシャフトも導入された。

バルブの開閉機構に採用された「スライディング・フィンガーフォロワー」は、F1における経験をベースに開発。回転質量の削減、ハイパフォーマンスなバルブリフト特性が可能となるよう、12チリンドリ スパイダーに合わせて開発された。ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングが施されたスチール製となり、油圧式タペットを回転軸として使い、カムの動きをバルブへと伝える。

マニホールドとプレナムチャンバーのレイアウトは、よりコンパクトに変更。経路の短縮とカムプロフィールの最適化によって、高回転域でもパワーを発揮。トルクカーブはすべての回転域で最適化されており、これに貢献したのが可変ジオメトリー吸気ダクトのシステムとなる。吸気ダクトの長さをエンジンの点火間隔との関係で絶え間なく変化させて、シリンダーへの動的な充填を最大化する。

吸排気系の最適化により実現したV12サウンド

フェラーリを象徴する自然吸気V12ユニットのエンジンサウンドを、最高レベルへと引き上げるため、排気システムが徹底的に見直されることになった。
フェラーリを象徴する自然吸気V12ユニットのエンジンサウンドを、最高レベルへと引き上げるため、排気システムが徹底的に見直されることになった。

新開発の排気システムは、最新の排出ガス規制(EU6E、中国6B、BIN50)に準拠するよう開発。パティキュレートフィルターと組み合わせた、セラミック触媒コンバーターも導入された。現在、最も先進的な排出削減技術が搭載されており、関連するソフトウェア・ストラテジーは時間をかけてキャリブレーションされている。

快適性とラグジュアリーさに、フェラーリV12ならではのドライビング体験を融合させる上で、不可欠なのがエンジンサウンドだった。その実現を目指し、吸排気ダクトのあらゆる要素が最適化された。排気ダクトは、各バンク「6-in-1」の等長マニホールドとし、センター部に革新的設計を導入。その結果、点火順序による美しい倍音成分をすべて響かせる、フェラーリならではのV12サウンドを実現している。

吸気と排気のシステムが、それぞれ放つ高周波音と低周波音を完璧に調整・融合させたことで、エンジンサウンドの音質も向上。ダクトの形状やサイレンサーバッフル内部の流体力学は背圧を最小限に抑え、パワーデリバリーの向上に貢献するように設計された。排気システムの形状やカーブといったジオメトリーも完璧に磨き上げられ、リミッターまでの全回転域で、フェラーリの特徴的サウンドが極めて純粋な音色で響くことが保証されている。

車内で聞くサウンドも完璧なバランスとなるよう、吸気ダクトを改良。レゾネーターの位置を変更したことにより圧力波も変わり、特に中周波音に関して音域がより豊かになった。その結果、より混じり気のない豊かなサウンドを、スポーツ走行も含めたあらゆる走行条件で楽しむことができるようになったという。

従来のフロントミッドV12デザインからの脱却

新型2シータースパイダー「フェラーリ 12 チリンドリ スパイダー」のエクステリア。
12 チリンドリ スパイダーは、これまでのフロントミッドV12モデルのスタイリングから離れ、クリーンなラインで構成。各部のフォルムを強調しつつ、全体をシームレスにつないだデザインが採用された。

フラヴィオ・マンゾーニとフェラーリ・スタイリング・センターのデザインチームは、今回、従来のフロントミッドV12モデルのスタイリングルールを大胆に書き換えることを目指した。例えば、812 コンペティツィオーネが持つ造形的要素からは明らかに離れ、洗練された要素を駆使しつつ、スタイリングに統一感を持たせている。

デザインはクリーンなラインで構成され、各部のフォルムを強調しつつ、全体がシームレスにつなげられた。サイドセクションはすっきりとした形状で、ディヘドラル形状からテールまでが流れるように続く。フェラーリらしい官能性は残しつつ、フェンダーは幾何学的精度で造形されている。

すべてのラインはフォルムとフォルムが交差。また、より機能的なアプローチで形を捉え、懐古趣味とは一線を画したモダンなラインを実現した。たくましく力強い印象を持つリヤフェンダーは、マッシブでありながらも完璧にコントロールされた造形。一方、フロントフェンダーでは、たくましい緊張感がリヤよりも拡大され、サイドボディに沿ってボディの一体感をさらに強める効果を持つ。

流麗な造形のボンネットは、フロントフェンダーと一体化。フェンダーとのカットラインを排除したことで、たくましいデザインに滑らかに連続する面が加わり、ボンネット全体に極めてクリーンな流れが生まれることになった。ここに、エンジンベイを冷却する2基のエアアウトレットも配置された。

フロントは、これまでのフェラーリの特徴的要素がいくつか廃止された。細長いフォルムのヘッドライトや、伝統的なグリル形状の代わりに、他のコンポーネントにも導入された幾何学的形状を導入。ヘッドライトは1本のバンド内に組み込まれ、そこからデイタイム・ランニングライトがブレード状に出現する。

今回、リヤスポイラーの代わりに、リヤスクリーンと一体化した、特徴的な三角形フォルムを持つ2基の可変フラップを採用。全体がシームレスにつながっており、最新モデルであることをアピールする。テール部分も、非常にクリーンで一体感のあるフォルムとなり、ここにボディカラーがあしらわれた。

テール下部はブラックかカーボンファイバーとなり、ディフューザー形状のフィンを配置。ボディはこのエレメントの上に浮かんでいるようにも見え、独自の浮遊感を実現している。この部分にはセンサー類と2組のテールパイプも組み込まれた。合計4本のテールパイプも新形状となり、金属製ハウジングにより視覚的なサイズ感を弱め、よりコンパクトな印象を与えている。

サスティナブルな素材を導入したインテリア

フェラーリの最新コンセプト「デュアル・コックピット・アーキテクチャ」を導入したインテリア。今回、リサイクルポリエステルなど、サスティナブルなマテリアルが積極的に導入された。
フェラーリの最新コンセプト「デュアル・コックピット・アーキテクチャ」を導入したインテリア。今回、リサイクルポリエステルなど、サスティナブルなマテリアルが積極的に導入された。

エレガントでスポーティな印象のコクピットは、環境面のサステナビリティも重視。リサイクルポリエステルを65%含むアルカンターラをはじめ、サステナブルな素材が幅広く導入された。

インテリアのスタイリングは、最新世代のフェラーリが掲げる「デュアル・コクピット・アーキテクチャ」からインスピレーションを得て開発。このスタイリングは、近年ではローマ、 ローマ スパイダー、プロサングエでも採用されており、キャビンはほぼ左右対称構造を実現している。

ダッシュボードは内張りで覆われた上部ボリュームと、技術的な機能が集まる下部とに分かれており、これにより横への広がりを強調。上部には2基の特徴的なビナクルが配置され、ドライバー用とパッセンジャー用装備、さらにエアベンチレーションがレイアウトされた。この2つのボリュームは、微妙に異なるエレガントなカラーと素材によってダッシュボード本体から切り離されており、まるで浮いているようにも見える。

今回、広々としたサイズの着色ガラスルーフを導入。キャビンの明るさと室内の開放感を格段に向上させ、夏でも冬でも最適な熱効率が確保された。デザイン面でも、暗いガラスルーフがキャビン上部と完璧に一体化しており、エレガントで洗練された印象を与え、フロントウィンドウからリヤスクリーンまでの連続性が持たされた。

3基のディスプレイを配置したコクピット

新型2シータースパイダー「フェラーリ 12チリンドリ スパイダー」のコクピット。
センターの10.25インチ静電容量式タッチスクリーンをはじめ、15.6インチ・ドライバー用ディスプレイ、8.8インチ・パッセンジャー用ディスプレイと、3基のディスプレイが配置される。

コクピットには、3基のディスプレイで構成された新開発のヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を導入。主な機能はすべて、ドライバーからもパッセンジャーからもアクセス可能な、センターの10.25インチ静電容量式タッチスクリーンで操作することができる。15.6インチドライバー用ディスプレイには、ドライビングとビークルダイナミクスに関するすべての情報を表示。パッセンジャー用として、8.8インチディスプレイも用意された。

静電容量式ステアリングホイールは、使いやすいようボタンに凹凸を導入。サーキットなどでのスポーツドライブ中でも、正確かつ素早く直感的に操作することが可能になった。「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応した接続システムを標準搭載。センタートンネルにはワイヤレス充電マットが標準装備され、簡単にスマートフォンを充電することもできる。

オプションとして、オーディオブランドのBurmeste社と共同開発した高級オーディオシステムをラインナップ。1600Wの大出力を誇る15基のスピーカーで構成され、どのようなスピード域においても、最高レベルの音楽体験を提供する。

SPECIFICATIONS

フェラーリ 12 チリンドリ スパイダー
エンジン型式:65° V12ドライサンプ式
総排気量:6496cc
ボア×ストローク:94mmx78 mm
最高出力:830PS/9250rpm
最大トルク:678Nm/7250rpm
最高許容回転数:9500rpm
圧縮比:13.5:1
比出力:128PS/L
ギヤボックス:8速デュアルクラッチF1 DCT

全長:4733mm
全幅:2176mm
全高:1292mm
ホイールベース:2700mm
フロントトレッド:1686mm
リヤトレッド:1645mm
乾燥重量:1620kg
乾燥パワーウェイトレシオ:1.95kg/PS
重量配分:フロント47.8%/リヤ52.2%
燃料タンク容量:92リットル
トランク容量:200リットル

タイヤ&ホイール フロント:275/35 R21 J10.0
タイヤ&ホイール リヤ:315/35 R21 J11.5
ブレーキ フロント:398x223x38 mm
ブレーキリヤ:360x233x32 mm

最高速度:340km/h
0-100km/h:2.95秒
0-200km/h:8.2秒
100-0km/h:31.4m
200-0km/h:122.0m

6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンをフロントミッド搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」のエクステリア。

フェラーリの最新フロントV12ベルリネッタ「12チリンドリ」がワールドプレミア【動画】

フェラーリは、F1マイアミGPのレースウイークに開催されたエクスクルーシブなイベントにおいて、V型12気筒エンジンをフロントミッドに搭載した2シーターベルリネッタ「12チリンドリ(12Cilindri:ドーディチ チリンドリ)」をワールドプレミアした。最新スペックの6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジンは、最高出力830PS発揮し、最高速度は340km/hを誇る。

ヤナセが新たにフェラーリ販売拠点の「ヤナセ フィオラーノ モトーリ」を設立

1915年の創業以来、多くの輸入車ブランドを手掛けるヤナセは、グループ会社として新たにフェラーリ販売拠点の「ヤナセ フィオラーノ モトーリ」を設立し、初めてフェラーリブランドを取り扱う。「ヤナセ フィオラーノ モトーリ」は4月27日(土)から営業を開始する。

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著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…