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59歳のエンツオが辿った1年を描いた意欲作
元レーシングドライバーにして、カーデザイナー、自ら立ち上げたフェラーリをイタリア屈指の自動車メーカーへと成長させた稀代の経営者、エンツォ・フェラーリ。だが、その私生活は謎に包まれ、1988年に亡くなってから現在まで、多くのゴシップに晒され続けてきた。今回公開される映画『フェラーリ』は、1957年、59歳だったエンツォの波乱と激動の1年を描く。
製作・監督を務めたのは『ヒート』や『インサイダー』など数々の傑作を生みだし、『フォードvsフェラーリ』では製作総指揮を務めた巨匠マイケル・マン。今回、謎に包まれた帝王エンツォの姿を捉えた場面写真や、完全再現に挑んだアダム・ドライバーのコメントが解禁された。
解禁となった場面写真は、エンツォがレース場に佇む姿、何かに鋭い眼差し送る姿、流線形のマシンの隣をひとり歩く姿が映し出され、彼の圧倒的なカリスマ性、そして偉大な業績に隠れた孤独を漂わせている。また、フェラーリ社の共同経営者でもあった妻ラウラの鬼気迫る表情、愛するパートナーのリナと送った幸せな日々、公道を疾走するマシーンを捉えた場面写真も公開されている。
エンツォに挑んだ主演のアダム・ドライバー
物語の中心を担う登場人物たちのキャラクタービジュアルも解禁。前述のように主役のエンツォ・フェラーリを演じるのは、『ブラック・クランズマン』や『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』のアダム・ドライバー。冷え切った夫婦生活に不満を感じつつもフェラーリ社を支える猛妻ラウラ・フェラーリは、多くの作品で的確な演技を披露してきたペネロペ・クルスが担当する。
助演陣は、エンツォと密かな愛を育むリナ・ラルディをシャイリーン・ウッドリー、若く野心に満ちた新進気鋭のレーサーのアルフォンソ・デ・ポルターゴをガブリエル・レオーネ、引退を目前にしたベテランレーサーのピエロ・タルッフィをパトリック・デンプシーが演じる。
製作総指揮も務めたアダム・ドライバーは、59歳のエンツォを演じるために毎日2時間以上をヘアメイクに費やし、エンツォの決断、歴史、振舞い、呼吸の仕方、歩き方、話し方に至るまで徹底的に研究したという。作品について、彼は次のようにコメントする。
「エンツォ・フェラーリという人物については、様々な見方があります。悪者だとか、魅惑的な男だとか、カリスマ的存在、意地悪な人、あるいは堂々としていて人を巧みに操る人などです。彼はしきたりにこだわる人で、たいへんな頑固者でした。情に流されやすく、常に心のエンジンが動いている人物。同時に、感情面で人と繋がることが苦手な人物でもあったとも考えています」