米国上陸70周年イベントで「フェラーリ 12チリンドリ」を公開

フェラーリの最新フロントV12ベルリネッタ「12チリンドリ」がワールドプレミア【動画】

6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンをフロントミッド搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」のエクステリア。
フロントミッドに6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンを搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」が公開された。
フェラーリは、F1マイアミGPのレースウイークに開催されたエクスクルーシブなイベントにおいて、V型12気筒エンジンをフロントミッドに搭載した2シーターベルリネッタ「12チリンドリ(12Cilindri:ドーディチ チリンドリ)」をワールドプレミアした。最新スペックの6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジンは、最高出力830PS発揮し、最高速度は340km/hを誇る。

Ferrari 12Cilindri

V12ベルリネッタの伝統を継承

6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンをフロントミッド搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」のエクステリア。
フロントミッドに搭載される6.5リッターV型12気筒「F140HD」自然吸気ガソリンエンジンは、最高出力830PS、最大トルク678Nmを発揮する。

1947年の創業以来、フェラーリはフロントミッドに自然吸気V型12気筒エンジンを搭載した、2シーターベルリネッタの歴史を紡いできた。今回、フェラーリのアメリカ上陸70周年を記念し、マイアミビーチで開催された特別イベントにおいて、フェラーリは最新V12ベルリネッタ「12チリンドリ」を公開した。

12チリンドリは、1950〜60年代のグランドツアラーからインスピレーションを得て、エレガンス、汎用性、パフォーマンスを共存させた、V12搭載2シーター・フェラーリとして開発。シンプルでありながら調和したラインに、可動空力デバイスを融合させた。

搭載されるのは、6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジンの最新進化版。「F140HD」は最高出力830PS、最大トルク678Nmに達し、最高回転数は驚異の9500rpmにまで引き上げられた。最大トルクの80%をわずか2500rpmから発揮し、最高レベルのスロットルレスポンスと、レッドゾーンまでパワーが無尽蔵に吹け上がる感覚を実現している。また、V12が収められたエンジンベイを堪能できるよう、ボンネットはフロントヒンジとしている。

今回、新たに「アスピレーテッド・トルク・シェイピング(ATS)」を採用し、洗練された電子制御により、加速感に影響を与えることなく、トルクフィールを向上させた。また、8速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)には新たなギヤ比を導入。低速ギヤのギヤ比が5%低くなり、トルクが12%も増大している。

引き算のデザインから生まれたフォルム

6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンをフロントミッド搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」のエクステリア。
12チリンドリのエクステリアデザインは、従来の自動車らしいデザイン要素をあえて外し、シンプルでありながらも幾何学的な要素を組み込んだ。

流麗なエクステリアデザインはクリーンな極めてラインで構成。ボンネットはフロントフェンダーと一体化され、フェンダーとのカットラインを排除したことで、たくましいフォルムに滑らかに連続する面の印象が加えられた。

今回、フェラーリのデザイナーは自動車業界とは関係の薄いデザイン要素を12チリンドリに導入。ヘッドライトの細長いフォルムや伝統的なグリル形状の代わりに、デザイン全体のテーマである幾何学的形状が採用された。ヘッドライトは1本のバンドの中に組み込まれ、そこからデイタイム・ランニング・ライトがブレード状に出現する。

リヤセクションは厳格さをテーマの中心に掲げ、あえてボリュームを引き算することで独自のフォルムを生み出している。フロントと調和するよう、テールライトもリヤ全体を横切るくぼんだブレード内に埋め込まれ、リヤスポイラーの代わりにリヤスクリーンと一体化した2基の可動フラップを採用。特徴的な三角形のテーマを作り出した。

リヤ下部のカーボンファイバーコンポーネントは、ディフューザー形状のフィンがレイアウトされ、ボディがその上に浮かんでいるようにも見える効果が与えられた。ここにはセンサー類と2組のツインテールパイプも組み込まれている。

車速に合わせて展開する可動式フラップ

6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンをフロントミッド搭載する「フェラーリ 12チリンドリ」のエクステリア。
速度域に合わせて、最適なダウンフォースレベルを維持するため、12チリンドリには車速に応じて展開するアクティブエアロ「可動式フラップ」がリヤに導入された。

12チリンドリのエアロダイナミクス開発における最大の目標は、パフォーマンス面で妥協することなく、落ち着きを持ったエレガントなエクステリアに仕上げることだった。トランクリッドに装着された25mmノルダーと、アクティブエアロ「可動式フラップ」は、テールに独自のキャラクターを与えている。

ノルダーは空気抵抗が最小の時、車両の空力効率を維持するのに必要な再加圧を作り出す。一方、可動式フラップは、走行状況に合わせて「ロードラッグ(LD)」と「ハイダウンフォース(HD)」というふたつのポジションが用意された。

「ロードラッグ」ポジションは、フラップがボディワークから展開されず、エアフローをそのまま通過させる。車速60km/hまでは車両のパフォーマンスにダウンフォースが影響を及ぼさないことから、この仕様を維持。車速300km/hを超えた場合も「ロードラッグ」ポジションとなる。

61〜299km/hまでは、ダウンフォースが走行における中心的な役割を果たすため、車両の前後左右の加速度に応じてスポイラーが展開。「ハイダウンフォース」ポジションを取ると、12チリンドリは最大レベルのダウンフォースを発生させ、空力的バランスの取れた状態がキープされる。

アンダーボディも最大限に効率的なダウンフォースを発生させるよう設計。アンダーボディ中央の開口部にはルーバーが備えられており、その平面的配置と側面の形状により、勢いの弱い高温空気の影響を最小限に抑える効果を発揮する。低圧になるフロントタイヤ後方には2基のルーバーを配置。これにより、エンジンコンパートメント内の過剰な圧力が抑えられ、ラジエーターの効率を高めつつ、ドラッグを低減、ダウンフォースの発生が促進される。

SPECIFICATIONS

フェラーリ 12チリンドリ
エンジン型式:65° V12ドライサンプ式
総排気量:6496cc
ボア×ストローク:94mmx78 mm
最高出力:830PS/9250rpm
最大トルク:678Nm/7250rpm
最高許容回転数:9500rpm
圧縮比:13.5:1
比出力:128PS/L
ギヤボックス:8速デュアルクラッチF1 DCT

全長:4733mm
全幅:2176mm
全高:1292mm
ホイールベース:2700mm
フロントトレッド:1686mm
リヤトレッド:1645mm
乾燥重量:1560kg
乾燥パワーウェイトレシオ:1.88kg/PS
重量配分:フロント48.4%/リヤ51.6%
燃料タンク容量:92リットル
トランク容量:270リットル

タイヤ&ホイール フロント:275/35 R21 J10.0
タイヤ&ホイール リヤ:315/35 R21 J11.5
ブレーキ フロント:398x223x38 mm
ブレーキ リヤ:360x233x32 mm

最高速度:340km/h
0-100km/h:2.9秒
0-200km/h:7.9秒以下
100-0km/h:31.4m
200-0km/h:122.0m

フェラーリ 12チリンドリを動画でチェック!

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2024年5月3日、マイアミビーチで行われたエクスクルーシブなイベントにおいて、フェラーリは「12チリンドリ スパイダー(12Cilindri Spider:ドーディチ チリンドリ スパイダー)」をワールドプレミアした。美しいエクステリアを持つ2シーターベルリネッタスパイダーは、最高出力830PSを発揮する6.5リッターV型12気筒自然吸気ガソリンエンジンをフロントミッドに搭載。1950〜1960年代のフェラーリ製オープントップグランツーリスモから、インスピレーションを得て開発された。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…