目次
Porsche 963
波乱含みのレースを制した963 12号車
第3戦「スパ・フランコルシャン6時間」は、2度の大きなアクシデントと、長い赤旗中断により通算8時間にわたる大乱戦となった。カスタマーチームのハーツ・チーム・ジョタのポルシェ 963 12号車(ウィル・スティーブンス/カラム・アイロット)が、クレバーなレース展開を披露。早めの給油を行う戦略が功を奏し、プライベーターながらも、並み居るワークスチームを従えてWEC初優勝を飾った。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの6号車(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ヴァントール)も同様の戦略を採り、2位表彰台を獲得。予選2番手からスタートしたポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車(マット・キャンベル/ミカエル・クリステンセン/フレデリック・マコヴィッキィ)はコースバリアに接触し、リタイアに終わっている。
予想外の勝利を手にしたカラム・アイロットは次のように喜びを語った。
「まったく信じられません! 今回のレースウイークは良い結果を残せると考えていました。決勝レースではペースも良かったですし、赤旗のタイミングも完璧にクリアすることができました。そして、この長い1日の終わりに、最高のご褒美をもらえたのです。物事には想像どおりに進むことがあるんですね」
抜群のタイミングでピットインを実施
気温23度、路面温度32度という暖かな気候のなか、記録的な8万8000人を超える観客がスパ・フランコルシャンに集結。現地時間午後1時に19台のハイパーカーによる戦いの火蓋が切って落とされた。しかし、レースは合計120分間もの中断を余儀なくされ、合計9時間近くも行われることになった。
スタートから4時間15分の段階で大規模なアクデントが発生し、レースは赤旗中断。ケンメル・ストレートのクラッシュバリアの交換を余儀なくされた。963 12号車と6号車はこの赤旗中断前に最後のピットストップを済ませており、2台はレース再開後に1-2体制を築くことになった。
12号車の最終スティントを任されたアイロットは、フレッシュタイヤを履いた6号車のケビン・エストレから苛烈なアタックを受けながらも、首位のポジションを守り切ってみせた。12号車に一歩及ばなかった6号車は、イモラ6時間に続く2位表彰台を持ち帰り、ドライバーズ選手権トップの座をキープ。ポルシェはマニュファクチャラーズ選手権において、トヨタとの差を23点としている。
タフなレースを終えた6号車のローレンス・ヴァントールは、以下のように振り返った。
「今回は難しいコンディションのなか、運も味方してくれました。それでも私たちは良いポジションでフィニッシュするため、できることはすべてやり切りました。選手権のことを考えると、2位を獲得できて本当に嬉しいです。とはいえ、次のル・マン24時間に向けてまだやるべきことはたくさんあります」