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AGTZ Twin Tail
アルピーヌ A220をオマージュ
2019年からスタートしたヒストリックカー&カーエンスージアストイベント「フオリコンコルソ」は、世界的なコレクターをはじめ、多くの自動車メーカーも参加。貴重なクラシックカーから、歴史に名を残したレーシングカーやラリーカーなどが多数展示・公開される。
この人気イベントにザガートと、ポーランドのスーパースポーツ販売会社ラ・スクアドラ(La Squadra)は、2024年2月21日にミラノのザガート・アトリエで初公開した「AGTZ ツインテール」のプロトタイプを持ち込むことを明らかにした。
AGTZ ツインテールは、1960年代後半のル・マン24時間レースに参戦した「アルピーヌ A220」をモチーフにして、現行のアルピーヌ A110をベースに開発された。ロングテールとショートテールボディを持つA220をオマージュし、リヤのボディワークが取り外し可能。オーナーは状況に合わせて、スポーティなショートテールと、エレガントなロングテールの両方を楽しむことができる。
限定生産の19台は発表時点でソールドアウト
AGTZ ツインテールの価格は65万ユーロからとなっており、ザガートによって19台が限定製造され、発表時点ですでに全車ソールドアウト。今回、フオリコンコルソでは、本格生産を前に製造されたプロトタイプのシャシーナンバー「#00」が展示公開される。7月には大型自動車イベントにおいてデモンストレーションランを行う予定で、カスタマーへのデリバリーは2024年10月に開始される。
カロッツェリア・ザガートを率いるアンドレア・ザガートは、AGTZ ツインテールについて、次のようにコメントした。
「これまでのザガートによるプロジェクトと同様、発表に続くステップは、この素晴らしい芸術品を申し込んでくれたクライアントと直接お会いすることです。私たちは世界でもトップクラスのクライアントを抱えているため、彼らと直接会って、クルマを納車することはお互いにとって最高のプレゼントとなります」
「ザガートはこれまでコーチビルダーとしての歴史を積み上げてきました。レースで活躍できるクルマでありながら、日常的に公道を走ったり、コンクールデレガンスの芝生を飾ったりできるクルマを製造してきたのです。AGTZ ツインテールは、私たちザガートの伝統を体現した1台となることでしょう」
1台あたり1000時間をかけて製作
最新の開発プロセスを導入したことにより、アイデアからわずか12ヵ月という短期間で完成に至ったAGTZ ツインテール。ザガートの本社ファクトリーにおいて、1台あたり15週間(約1000時間)をかけて、19台が限定生産される。すでにカスタマー向け1号車の生産が開始されており、オーダーブックは世界的コレクターや自動車業界の著名人が名を連ねているという。
それぞれのカスタマーは、世界的なスーパースポーツディラーの「ラ・スクアドラ」のスペシャリストによるサポートを受けながら、様々なカスタマイズメニューから自分だけのAGTZ ツインテールを作り上げることができる。エクステリアは19のカラーと、「ヘリテージ」「アート」「クチュール」など9つのスペシャルリバリーをラインナップ。オプションとして、あらゆるカラーを作り出すことができる「ペイント・トゥ・サンプル」も用意された。
カーボンファイバー製ホイール、専用ボディパネル、スーパースプリント製エキゾーストシステムを追加できる他、搭載される1.8リッター直列4気筒ターボエンジン、サスペンション、ブレーキなどのアップデートも行うことができる。ラ・スクアドラの創設者、ヤクブ・ピエトラザックは、AGTZ ツインテールの開発理由を以下のように説明する。
「自動車産業はかつてないほど急速に変化しています。電動化によって競争が激化し、性能やドライビングパフォーマンスで製品を差別化することが、非常に難しくなっています。その結果、デザインがより重要な意味を持つようになりました。職人的なコーチビルダーが前に出て、そのブランドを体現するユニークなプロジェクトを実現できるようになったのです。AGTZ ツインテールは、その先駆けとなるような存在だと言えます」