Presidential Lancia Flaminia
1961年に製造された大統領公用車
第2次世界大戦後の1946年6月2日、イタリアは王政を廃止し、共和制とすることを決定。以降、6月2日を「イタリア共和国建国記念日(the Festa della Repubblica)」として様々な祝賀行事を行ってきた。2024年の6月2日、ローマで行われた祝賀軍事パレードにセルジョ・マッタレッラ大統領が「ランチア フラミニア」大統領専用車で参加した。
ランチア フラミニアは、1961年にイタリア共和国の大統領公用車として導入された。2.5リッターV型6気筒エンジンを搭載するフラミニアは、アウレリアの後継モデルとして、1957年のジュネーブ・モーターショーにおいて発表。セールス的にも成功を収めたフラミニアは様々な仕様が製造され、そのうちのひとつがピニンファリーナが手がけた、ソフトトップを備えたロングホイールベース仕様のプレジデンシャルカブリオレ「335」だった。
このネーミングはホイールベースの「335cm」を意味しており、前席がハードルーフ、後席にオープントップを備えた公用車の典型的なボディワーク「ランドーレット(landaulet)」として完成している。
当時のイタリア大統領だったジョヴァンニ・グロンキが、1961年にこの「フラミニア 335」を大統領公用車に選び、4台のみを製造。すべてのモデルが格式高いブルーのエクステリアカラーを纏い、格調高いブラックのコノリーレザー張りのインテリア、ドライバーとの連絡用インターホンを備え、リヤコンパートメントには折り畳みシート2座を含め、5座が装備されている。
フラミニア大統領公用車で、最初に迎えられたVIPは、英国のエリザベス2世女王陛下。その後、ジョン・F・ケネディやシャルル・ド・ゴールをはじめ、多くの政治家、国家元首、君主をそのリヤシートに乗せ、フラミニアはイタリアの精神を世界へと伝える“大使”となった。
このフラミニア大統領公用車は、新生ランチア・ブランドにインスピレーションをもたらした、9台の歴史的モデルのうちの1台となっている。