目次
Lancia Ypsilon Rally 4 HF
2025年のデビューに向けた広範囲なテスト
史上最も成功したイタリア人ラリードライバーであり、2度のWRCチャンピオン獲得経験を持つミキ・ビアジオンが、プライベーター向けラリーカーとして開発中の「ランチア イプシロン ラリー4 HF」のテストを行った。ビアジオンはイプシロン ラリー4 HFに加えて、ハイパフォーマンス仕様「イプシロン HF」の開発にも携わっている。
今回、ラリー活動を担当する「ランチア・コルセHF」が主導して行ったグラベル(未舗装路)テストでは、足まわりを含めたセットアップ、ブレーキ、エンジンのキャリブレーションなど、ビアジオンのサポートを受けて調整。現在、2025年の実戦デビューに向けて、ラリーイベントにおける最高のパフォーマンスを発揮すべく、継続的な開発作業が続いている。
ランチア・ブランドのルカ・ナポリターノCEOは、ビアジオンの開発参加について次のようにコメントした。
「ランチア・ブランドにとって、非常に重要な1日となりました。2025年、ランチアはイタリアでラリー競技に復帰します。そして、車両開発に関して豊かな経験と知識を有するミキ・ビアジオンが私たちのチームに加わったことをご報告できました。また、ラリー活動を担当する『ランチア・コルセHF』のディレクターとして、エウジェニオ・フランゼッティを迎えています」
イプシロン ラリー4 HFのステアリングを握り、精力的に走行を繰り返したビアジオンは、次のように今回のテストを振り返った。
「今回、イプシロン ラリー 4 HFのテストに参加し、いくつかのパラメーターを微調整することで、マシンのパフォーマンスを向上させることに努めました。 エンジンは様々なマッピングを試し、グリップとロードホールディングに関しては、サスペンションのスプリングとショックアブソーバーに調整を加えています。さらにブレーキシステムを完成させ、ギヤボックスに関しては新しいギヤ比も試しました。イプシロン ラリー4 HF、そして市販仕様のイプシロン HFの開発に貢献できることを光栄に思います」
プライベーター向けラリーカーとして販売
プライベーター向けFWDラリーカーとして導入された「ラリー4」規定は、プジョー 208 ラリー4、ルノー クリオ ラリー4、オペル コルサ ラリー4といった車両が、世界ラリー選手権(WRC)をはじめ、世界各国で開催されている国内選手権に参戦中だ。
イプシロン ラリー 4 HFは、最高出力215PSを発揮する1.2リッター直列3気筒4バルブターボ、5速レーシングトランスミッション、機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを搭載し、開発完了後はプライベーター向けに販売されることが決まっている。
今回、イプシロン ラリー 4 HFの導入に合わせて、ランチアブランドが持つ2つの歴史的なシグネチャー、「HF」と 「LANCIA CORSE HF 」が復活を果たした。これは、1960年代から90年代前半にかけて、フルビア、ストラトス、037、デルタと言った名車によって、ラリーフィールドで刻まれてきたランチア栄光の歴史が、現代において再び動きはじめたことを意味しているという。