新型「ポルシェ・パナメーラ4S Eハイブリッド」に試乗して足の良さを痛感

新型「ポルシェ パナメーラ4S Eハイブリッド」に試乗「電動化の恩恵はシャシーにも」

昨年11月に登場した3代目パナメーラ。当初プラグインハイブリッド仕様はターボだけだったが、追って「パナメーラ4 Eハイブリッド」「パナメーラ4S Eハイブリッド」が加わった。いずれも電動領域を拡大してさらなる効率化を図ってきたが、その恩恵はシャシーまわりにもあった!
昨年11月に登場した3代目「ポルシェ・パナメーラ」。そのハイブリッド版に試乗した。
昨年11月に登場した3代目パナメーラ。当初プラグインハイブリッド仕様はターボだけだったが、追って「パナメーラ4 Eハイブリッド」「パナメーラ4S Eハイブリッド」が加わった。いずれも電動領域を拡大してさらなる効率化を図ってきたが、その恩恵はシャシーまわりにもあった!(GENROQ 2024年9月号より転載・再構成)

Porsche Panamera 4S E-Hybrid

外部充電が可能なプラグインハイブリッド

写真はすべてスポーツデザインパッケージ装着車で、前後バンパーのデザインがよりスポーティになり、サイドスカートが追加される。
写真はすべてスポーツデザインパッケージ装着車で、前後バンパーのデザインがよりスポーティになり、サイドスカートが追加される。

2023年11月の発表以来、新型「ポルシェ パナメーラ」は、そのラインナップを着々と拡大し続けている。今回、試乗したのは「パナメーラ4S Eハイブリッド」。V型6気筒2.9リッターツインターボエンジンとEハイブリッドシステムを組み合わせたプラグインハイブリッド車である。

システム最高出力544PS、最大トルク750Nmというそのスペックは、実は先代の同560PS、750Nmに対して微減である。しかしながらその出力の内訳を見ると、従来はエンジンが440PS、電気モーターが136PSだったのに対して、新型はエンジンが353PS、電気モーターが190PSで、つまり電動化の割合が大幅に高められているのだ。

8速PDK内蔵の電気モーターは単体で190PS、450Nmを発生する。バッテリー容量は先代の17.9kWhから25.9kWhに。EV航続距離は54kmから96kmに伸びているが、単にバッテリー容量増によるものではなく、徹底的な効率化の賜物というべきだろう。

試乗車は新型パナメーラの中でもEハイブリッドモデルにだけオプション設定されるポルシェアクティブライドサスペンションを装着していた。これは伸び/縮みを独立制御する2バルブ式PASMの油圧経路に400Vシステムで駆動する電動油圧ポンプを組み合わせたもので、ロールやピッチなどの挙動を抑え込むどころか車高の上げ下げまで可能にする。姿勢制御をこちらに託せるからだろう、エアスプリングは標準の2チャンバーに対して1チャンバーとされ、軽量化につなげている。

コーナリングでロールが皆無

新型パナメーラの試乗自体、私は今回が初だったので他グレードとの比較はできない。しかし間違いなくいえるのは、この最新技術を駆使したシャシーが、パナメーラの走りを一気に若返らせたということだ。

ワインディングロードで、コーナーに向けてステアリングを切り込んでいく。すると本来なら舵角に合わせて沈み込んでいくはずのフロントアウト側が縮まず、フラットな姿勢のままクルマがすかさずイン側を向いていく。身体は横Gを感じているが、しかし傾きはしないのだ。思わず「えっ?」と困惑させられる。

ロールを抑え込むだけならば、サスペンションをガチガチに硬めれば近い感覚を得られるかもしれない。しかしながら、このサスペンションは路面のうねりや段差を、むしろしなやかに受け流すのである。

なので逆に、スポーツやスポーツプラスではなく、むしろノーマルモードで走らせた方が効能がよく分かるかもしれない。乗り心地は至極快適なのにコーナー進入ではロールが皆無。そしてきわめて正確なレスポンスが得られるのだ。それは違和感とも表現できるが、決してリニアリティが薄いわけではない。この調律ぶりは見事というほかないだろう。

パワートレインもきわめて好印象だった。電気モーターの出力アップが効いているらしく、日常域では電気モーター走行の領域が増えている一方、アクセルを踏み込んだ瞬間の加速の立ち上がりは実に鋭い。アウトバーンでの追い越しの場面でも躊躇が要らず、痛快そのものだ。

新型はハイブリッドが買い!?

絶対的な速さではターボEハイブリッドに敵わないとしても、この小気味良さは十分魅力的。あるいは爽快に伸びるエンジンを味わう歓びは、こちらの方が濃いのではないかと想像できる。ちなみに0-100km/h加速3.7秒というタイムは、992.1のカレラSと同等である。不満が出るわけがない。

そんな軽やかな走りに、ふと初代の感触を思い出した。パナメーラは若返った。しかも、先代を凌ぐほどの機械としての上質感とともに。

おそらくそうした印象にはポルシェアクティブライドサスペンションの貢献も大きいはずだ。これまで走り派にとっては、Eハイブリッドは車重増などもあり二の足を踏む存在だったかもしれない。しかし新型パナメーラでは、どうやらコレが“買い”のようである。驚くべきことに!

PHOTO/Porsche AG

SPECIFICATIONS

ポルシェ・パナメーラ4S Eハイブリッド

ボディサイズ:全長5052 全幅1937 全高1423mm
ホイールベース:2950mm
車両重量:2255kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2894cc
最高出力:260kW(353PS)/5400-6700rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1900-4800rpm
最高出力:140kW(190PS)/3200rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/700-2971rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前275/40ZR20 後315/35ZR20
最高速度:290km/h
0-100km/h加速:3.7秒
車両本体価格:1940万円

【問い合わせ】
ポルシェ コンタクト
TEL 0120-846-911
https://www.porsche.com/japan/

ポルシェジャパンは、先進的なプラグインハイブリッドシステム「E-ハイブリッド」を搭載した、パナメーラの日本導入をスタートした。写真はハイパフォーマンス仕様の「パナメーラターボ E-ハイブリッド」。

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ポルシェジャパンは、先進のプラグインハイブリッドパワートレインを搭載し、新型「パナメーラ ターボ E-ハイブリッド」「パナメーラ 4S E-ハイブリッド」「パナメーラ 4 E-ハイブリッド」の予約受注を、3月27日から日本全国のポルシェ正規販売店においてスタートした。

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著者プロフィール

島下 泰久 近影

島下 泰久

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけでなく先進環境安全技術、ブランド論、運転など、クルマ周辺のあらゆ…