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BUGATTI TOURBILLON
デザインディレクターが語るデザインの“真髄”
ブガッティが展開する動画シリーズ『A New Era』の最新エピソードに、デザインディレクターのフランク・ハイルが登場。第2弾となる今回は、2024年にデビューを飾った最新ハイパースポーツ「トゥールビヨン」をテーマとする『Design Philosophy(デザイン哲学)』となる。今回、ハイル自身の口から、ブガッティが掲げるデザイン哲学をどう形作ったかが、たっぷりと語られている。
「115年というブガッティの歴史には、私たちデザイナーが参考にできる豊かな遺産があります。『これこそブガッティ』という、ブガッティのデザインを定義する指針が存在しているのです」とハイルは説明した。
現代におけるブガッティのすべてのデザインに共通する要素として、トゥールビヨンもフロントからリヤまでがスピードによって形作られている 。絶妙な曲線、エアインテーク、エアアウトレット……、あらゆる構造が新たなレベルのパフォーマンスを引き出すために細心の注意を払ってデザインされた。
エレガンスとスピードの共存
トゥールビヨンの開発過程において、エアロダイナミクスがあらゆる設計決定と密接に関係している。「シロン スーパースポーツ」のようにトップスピードを追求するのか、「ボリード」のように高ダウンフォースを追求するのか。目的が違えど、問われるのは、それがパフォーマンスと結びついているかだ。
開発陣とデザイナーのディテールまで徹底的にこだわる姿勢が、車両全体へと注ぎ込まれ、トゥールビヨンは400km/h超で走行するパフォーマンスを獲得できた。ただ、トゥールビヨンも含めた、すべてのブガッティはスピードを追求しながら、同時にエレガンスも手にしなければならない。それこそが、時代を超越するデザインを形作ってきたのである。
「ブガッティとは、エレガンスとスピードの相互作用なのです。だからこそ、歴代モデルたちは時代を超えて存在し続けています。私たちは常に流行の先を行く必要があります。自動車における時代性とは、作られた時代の技術にあります。 100年後、今の技術はもう最先端ではありません。私たちは不変の『尊さ』に焦点を当てる必要があるのです」と、ハイル。
タイムピースから得たインスピレーション
トゥールビヨンのデザインは、ブガッティが掲げるこれらの理念が忠実に反映された。時計製造の技術、100年以上前のタイムピースの永遠性からインスピレーションを得たトゥールビヨンのキャビンは、正真正銘のユニークなアナログ体験をドライバーとパッセンジャーにもたらしている。
ヘイルとトゥールビヨンのデザインチームにとって、ブガッティの新時代は“体験”こそが重要な意味を持っているという。ヘイルはトゥールビヨンの体験性について、次のように説明を加えた。
「トゥールビヨンが重視したのはその体験です。ドライバーズシートに座った時、どう感じるのか……。 アルミニウムのスイッチギアに触れること、 ダイヤルを回したときの重さ、レザーの香り、9000rpmまで回るV型16気筒自然吸気エンジンのサウンド。それは実にエモーショナルです」
「トゥールビヨンのデザインは、シロンから続く進化的なアプローチを採りました。ただ、コンセプトの先鋭性と過激さは、私たちがこれまでに行ったことのないレベルにあります。このアプローチを通じて、ブガッティを運転し、所有し、共に暮らすという体験が、比類ない時間になると信じています。ぜひ、実際に体験してください」