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Audi S6 Avant e-tron
スポーツバックとアバントをラインナップ
2021年の上海モーターショーにおいて、アウディは新型A6を予告する「A6 e-tron コンセプト」を公開した。それから3年の月日を経て、ポルシェと共同開発した「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」をベースに開発、初のフラットフロアコンセプトを導入した「A6 e-tron」がデビューを飾った。フル電動モデルへと生まれ変わり、5ドアハッチバックの「スポーツバック」とステーションワゴンの「アバント」をラインナップする。
エクステリアは力強く筋肉質なフォルムに、アウディの最新デザインコンセプトが組み合わせられた。第2世代のバーチャル・エクステリアミラー、ボタンひとつで不透過ガラスになるパノラミックガラスルーフ、リヤのイルミネーション・リングなど、多くの最新装備が導入された。
A6 e-tron シリーズは、2024年9月からドイツでの受注が開始され、価格は「A6 スポーツバック e-tron パフォーマンス」が7万5600ユーロから、「S6 スポーツバック e-tron」が9万9500ユーロとなっている。アウディのゲルノート・デルナーCEOは、新型A6 e-tron シリーズについて次のようにコメントした。
「A6 e-tronは、スポーツバックとアバントをラインナップするアウディ初のフル電動モデルです。その印象的なデザインは、ラインナップ最高レベルのエアロダイナミクスが確保され、より高い効率レベルを実現しました。700kmをはるかに超える航続距離と卓越したドライビングダイナミクスにより、さらに多くの人の目をEVへと誘うことになるでしょう」
先進性とエレガンスを纏ったエクステリア
A6 e-tronのクリーンなエクステリアは、ダイナミズムと先進性、エレガンスに焦点を当ててデザインされた。フロントセクションは調和を保ちながら同時に豊かな表情を持つ。そして、スリムな形状のデジタル・デイタイム・ランニングライトとワイドなグリルにより、低くワイドなアピアランスを実現した。
ブラックのクローズドマスクが逆シングルフレームが、アウディのフル電動モデルシリーズ「e-tron」ファミリーの一員であることを明確にアピール。先進運転支援システム「ADAS」センサー、エアインテーク、メインヘッドライトなど様々な機能はダークマスクへと統合された。
フロントにLEDテクノロジーを採用したデジタル・デイタイム・ランニングライト、リヤには第2世代のデジタルOLEDテールライトを導入。デジタルOLEDパネル1枚あたり約60のセグメントが配置されており、A6においてもリヤセクションに表情を与えるディスプレイとして機能する。
ダイナミックなルーフラインは、低い車高と安定感のあるスタンスを視覚的に表現。ラリーモデルをイメージした彫刻的で筋肉質な「quattro」ブリスターは、アウディのデザインDNAの中核をなす要素だと言えるだろう。EVの心臓部であるバッテリーをシルエリアのブラックインサートによって強調。このインサートはボディサイドにフラットでスリムな外観を与える効果を持つ。
ステーションワゴンのA6 アバント e-tronは、フラットなルーフラインが特徴となり、Dピラーは前方へときつく傾斜。Aピラーからルーフスポイラーにかけて配置された「アルミルック・トリムピース」は、A6 アバント e-tronから導入された新たなデザインアイコンとなる。
A6 e-tronは、全長4928mm、全幅2137mm、ホイールベース2946mm。全高はアバントが1527mm、スポーツバックが1487mmとなる。ボディカラーは標準色の「マグネティックグレー・ソリッド」「グレイシャーホワイト・メタリック」「タイフーングレー・メタリック」「ミトスブラック・メタリック」を含む、8色を設定。S6 e-tron専用色として「デイトナグレー・パールエフェクト」と「サイアムベージュ・メタリック」も用意された。
フロントに広がる曲面大型ディスプレイ
立体的なインテリアは様々なエレメントを意図的に中心から外し、デザインと人間工学の観点からパッセンジャー重視の空間が作り上げられた。曲面デザインとOLED(有機EL)テクノロジーを採用した「MMIパノラマディスプレイ」は、11.9インチアウディバーチャルコックピットと14.5インチMMIタッチディスプレイで構成。ここに10.9インチMMIフロントパッセンジャーディスプレイを組み合わせ、クリアなデジタルステージを形成することも可能だ。
MMIフロントパッセンジャーディスプレイは「アクティブプライバシーモード」を選ぶことで、ドライバーの気を散らすことなく、助手席のパッセンジャーが走行中に映画や動画などのエンターテインメントコンテンツを楽しむことができる。オプションの「拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR HuD)」も大幅に進化。走行中、フロントガラスに必要な情報をドライバーへと提供。傾斜した平面ディスプレイには、速度、交通標識、アシスタンス情報、ナビゲーションなどが表示される。
インテリアはドアからドアまで、パネル幅いっぱいに広がる「ソフトラップ」が、包み込むような暖かい空間を演出。快適性を重視したエリアは、ゆったりとしたサーフェイスとソフトな素材でデザインされ、対照的にコントロールエリアは上質なハイグロスブラックの精密なデザインが導入された。低くスリムなエアベンチレーションは、車内に溶け込むようにレイアウトされている。
センターコンソールには2つのカップホルダー、携帯電話充電器、アームレスト下部に5L以上の収納スペースを確保。ラゲッジスペースは、アバントとスポーツバックどちらも、容量502L。リヤシートを折りたたむことで、アバントが1422L、スポーツバックが1330Lにまで拡大する。また、フロントラゲッジコンパートメント(フランク)にも、27Lの収納スペースが用意されている。
最新パワートレイン「PPE」による強力な走行性能
アウディとポルシェが共同開発した、フル電動パワートレイン「PPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)」を採用。PPEはパワフルでコンパクトな電気モーターに、12基のモジュールと180個のプリズムセルで構成された総容量100kWhの専用リチウムイオンバッテリーが組み合わせられた。
最大航続距離は後輪駆動の「A6 スポーツバック e-tron」が756km、「A6 アバント e-tron」が720km。システム最大出力はどちらも270kW(367PS)、0-100km/h加速は5.4秒、最高速度は電子リミッターで210km/hに制限される。
スポーツモデルの「S6 e-tron」は前後にモーターを配置した「quattro」AWDシステムを搭載。最高出力はベースモデルが370kW(503PS)、ローンチコントロール付きモデルは405kW(550PS)にまで引き上げられる。0-100 km/h加速3.9秒、最高速度は240km/h。航続距離は「S6 スポーツバック e-tron」が675km、「S6 アバント e-tron」が647kmとなる。
最新世代の回生ブレーキシステムは、日常的なブレーキングの約95%をカバー。A6 e-tronは最大220kWを回生し、航続距離の大幅な延伸を可能にする。800Vテクノロジー、270kW直流充電システムが標準装備され、A6 スポーツバック e-tronはわずか10分間で最大310kmの航続距離を確保することが可能。21分でバッテリー充電量を10%から80%に回復させることができる。