ハッチバックスポーツのワールドスタンダードにEVは迫れるか

超新星「ヒョンデ アイオニック5N」と伝統の「フォルクスワーゲン ゴルフR」2台のホットハッチをスペック比較

スポーツハッチバック界に現れた新星が「ヒョンデ アイオニック5」の高性能版「アイオニック5 N」である。これまでのスポーツハッチバックのベンチマークといえば「フォルクスワーゲン ゴルフR」だが、アイオニック5 Nはこれまでのスポーツハッチの概念を塗り替えるのか。両車をスペックから比較してみた。

HYUNDAI IONIQ 5 N× VOLKSWAGEN GOLF R

ひとクラス上のボディサイズを持つアイオニック5N

「ヒョンデ アイオニック5 N」も「フォルクスワーゲン ゴルフR」も同じハッチバックスタイルだが、ボディサイズは大きく異なる。ゴルフRはCセグメントの一般的なサイズだが、それと比較するとアイオニック5 Nはカテゴリがひとつ上がりそうなほどボリュームがある。全長、全幅、全高、ホイールベース、タイヤサイズ全てにおいて、アイオニック5 NがゴルフRをふたまわりほど上回っている。

それ以上に大きな違いが車重である。ゴルフRよりもアイオニック5 Nのほうが670kgも重い。これはそもそもアイオニック5 Nのボディサイズが大きく、重いバッテリーを搭載するEVであるからだ。走行性能面では車重は必ずしも不利ならない現代だが、慣性を消すことはできない。よって軽快感はゴルフRのほうが高いと言えよう。

ボディサイズ=全長4715mm×全幅1940mm×全高1625mm
ホイールベース=3000mm
車両重量=2210kg
タイヤサイズ=275/35ZR21

ボディサイズ=全長4295mm×全幅1790mm×全高1460mm
ホイールベース=2620mm
車両重量=1540kg
タイヤサイズ=225/40R18

EVならではの爆発的加速

ゴルフRがガソリンエンジンなのに対し、アイオニック5 Nは完全電動なので、パワートレインは全く異なる。駆動方式は両車AWDだが、ゴルフRとは違いアイオニック5 Nは前後2モーター式のAWDとなっている。その分前後のトルク配分の調整が容易で、よりきめ細かいトラクションのコントロールが可能だ。

さらにアイオニック5 NのパワーはゴルフRの2倍以上。トルク値も大きく、電気モーターはさらに回転した瞬間から最大トルクを発揮できる特性がある。加速勝負であれば、アイオニック5 Nのほうが圧倒的に速いだろう。

駆動用バッテリー種類=リチウムイオン電池
定格出力=57.8kW(前) / 101.0 kW(後)
システム最高出力=650PS
システム最大トルク=770Nm
トランスミッション=1速固定
駆動方式=AWD

エンジン形式=直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ
排気量=1984cc
最高出力=320PS/5350〜6500rpm
最大トルク=420Nm/2100〜5350rpm
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=AWD

大型新人かレジェンドか

アイオニック5 NとゴルフRの価格差は166万8000円ある。CEV補助金の35万円を差し引いてもアイオニック5Nのほうが高いという事実は変わらないが、EVの高性能仕様であることを忘れてはならない。

アイオニック5 NとゴルフRは、スポーツハッチバック界の大型新人とレジェンドと言える。キャラクターは正反対だが、サーキット走行を含めてどちらもドライビングを心行くまで楽しめることは間違いない。

車両本体価格

ヒョンデ アイオニック5 N 858万円
フォルクスワーゲン ゴルフR 691万2000円

ヒョンデが展開するスポーツブランド「N」初のハイパフォーマンスEV「アイオニック5N」に試乗した。

「車内外にエキゾーストサウンドが轟く?」フル電動ハッチバック「ヒョンデ アイオニック 5 N」に試乗

昨年グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、ヒョンデが発表したアイオニック5Nが日本に上陸した。ヒョンデが展開するスポーツブランド「N」初のハイパフォーマンスEVに試乗した。(GENROQ 2024年7月号より転載・再構成)

キーワードで検索する

著者プロフィール

ピーコックブルー 近影

ピーコックブルー

クルマやバイクの分野では日本最大級の記事配信数を誇るコンテンツ・プロダクション。ビギナー向けのやわ…