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McMurtry Spéirling PURE
従来のラップレコードを大幅に更新
英国のグロスターシャーを拠点とする、新興EVメーカーのマクマートリー・オートモーティブは、本社ファクトリーからわずか30分の距離にあるホームコース「キャッスル・コーム・サーキット(1.85マイル)」においてタイムアタックを実施。サーキットでの走行に特化したハイダウンフォース仕様の「スピアリング ピュア」のバリデーション・プロトタイプ(VP1)を持ち込み、2024年4月29日のルーティンテストにおいて、コースレコードとなる54秒559を叩き出した。
54秒559というラップタイムは、マクマートリーの開発ドライバーを務める元F1パイロットのマックス・チルトンがマーク。モーター出力を80%、最高速を250km/hに制限するなかで、シングルシーターのF3マシンによる従来のコースレコードを4秒037も更新した。さらに、2022年にランボルギーニ ウラカン GT3がマークしたツーリングカーによるコースレコードを9秒796も上まわって見せた。
余裕のタイム更新を成し遂げたチルトンは、次のように喜びを語った。
「誰もが地元のサーキットで、そのパフォーマンスを自慢したいものです。今回はパワーが80%、最高速も250km/hに制限されるなか、従来のコースレコードを約4秒も縮めることができました。このタイムは、カスタマーの皆さんが地元サーキットや、お気に入りのサーキットで同じように走れることを示しています」
ラグナセカのヒルクライムイベントに挑戦
2025年のデリバリーに向けて開発が続けられる「スピアリング ピュア」は車重1000kg以下、2基の電気モーターにより最高出力は1000PSを超えるトラック専用モデル。マクマートリーが独自開発したファンによるグランドエフェクトデバイス「ダウンフォース・オンデマンド・システム(Downforce-on-demand system)」を搭載し、そのダウンフォースレベルは、現代のF1マシンをも凌駕する。
スピアリング ピュアの最高速度は190mph(305km/h)、大型リヤウイングを含む、エアロダイナミクスに特化したボディ形状を採用。車体前面の投影面積を最小にするべく、車高は1020mm、全幅1580mmに抑えられている。マクマートリー・オートモーティブのマネージングディレクターを務めるトーマス・イェーツは、チルトンによる記録更新を受けて次のようにコメントした。
「とても素晴らしいマイルストーンになりましたね。何年も前からキャッスル・コームでテストをしてきましたが、今回ようやく地元サーキットでマシンの実力を示すことができました。記録更新とはいえ、これだけ速く走るクルマやドライバーを見るのは、私たちにとって日常レベルの出来事なのです」
マクマートリーは現在アメリカへとチームを送り込み、8月10~11日にラグナセカで開催される「リバース・コークスクリュー・ヒルクライム(Reverse corkscrew hillclimb)」に、スペアリングとチルトンが挑戦する。