目次
Figure 02
シャシー組み立て工程で試験運用
BMWグループは、生産現場においてヒューマノイド(人型)ロボットの使用を検討。ロボットを製造工程に導入することで、従業員は体力的に厳しい作業から離れることができる。BMWグループのスパータンバーグ工場で数週間にわたって行われた今回の試用実験では、カリフォルニアのフィギュア社が開発した最新人型ロボット「フィギュア 02」が板金パーツを特定の固定具に挿入し、シャシーの一部として組み立てることに成功した。
今回、フィギュア 02が行った工程を完了するためには、従来のロボット以上の精度が要求された。BMWグループは現在、フィギュア社とともに、人型ロボットを自動車生産工場において安全に使用できるかを試験・評価中。合わせて、スパータンバーグ工場のボディショップでの試験運用する様子を、公式YouTubeチャンネルで公開した。
BMWグループは、常に新しいテクノロジーの導入を検討しており、多目的ロボットを既存の生産システムへと統合するために、貴重な知識を得ることになった。実際の条件下において人型ロボットが、どのように従業員や既存のシステムとコミュニケーションを取ることができるかもテストされている。
今回の生産現場における最初の試験運用後、BMWグループとフィギュア社は、フィギュア 02の将来的な生産現場への本格導入に向けて、得られた知見をもとにロボットの開発を続けていく。BMW AGの生産担当取締役のミラン・ネデルイコヴィッチは、今回の試験運用を終えて、次のようにコメントした。
「ロボット工学は、日進月歩で発展を続けている分野です。今回の初期的な試験運用では、人型ロボットの生産現場における応用の可能性を見定めることになりました。私たちはこの技術の開発から産業化まで、今後も継続的な研究を続けていく予定です」
様々な用途に対応する最先端人型ロボット
カリフォルニア州を拠点とするフィギュア社が開発した「フィギュア 02」は、実用化された人型ロボットとしては、世界で最も先進的なメカニズムを持つ。二足歩行と高度な器用さを併せ持っており、身体的な負担が大きく、危険かつ反復的な工程が必要な分野での使用に適したロボットと言えるだろう。
フィギュア 02は、先代モデルから3倍の処理能力、改良された音声通信を実現。さらに機能が高められたカメラ、マイク、センサー、バッテリーが搭載された。それぞれのマニピュレーター(手や腕にあたる部分)は16の可動域を持ち、人間と同等の強度を持つ。
多様で動的な操作、複雑な把持(しっかりと握り持つこと)を得意としており、両手の協調を必要とする人間らしい作業を完全に自律的に実行することができる。今回のように複雑なパーツをミリ単位の精度で配置することも可能で、ダイナミックに歩行することも得意とする。フィギュア社の創設者であり、CEOのブレット・アドコックはフィギュア 02の試験運用成功を受けて、次のように喜びのコメントを発表した。
「第2世代の人型ロボット『フィギュア 02』を発表できたことを嬉しく思っています。フィギュア 02は、BMWグループのスパルタンバーグ工場でのテスト運用に成功したのです。この人型ロボットは技術的に大きく進化しており、幅広い複雑な作業を、完全に自律的に行うことができます」
今回のフィギュア 02に関しては、あくまでも一時的な試験運用でああり、スパータンバーグ工場への本格的な人型ロボットの導入に明確なスケジュールは設定されていない。ただ、BMWグループはフィギュア 02のデータ収集、トレーニング機能に関して、引き続きフィギュア社と協力を続けていく。