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Mercedes-AMG GT3 Edition 130Y Motorsport
最後のNAエンジン搭載AMG GT3
2024年、メルセデス AMGは、メルセデス・ベンツのモータースポーツ参戦130周年を盛大に祝うことになった。1894年7月22日、パリ~ルーアンで行われた初の自動車レースにおいて、ダイムラー製エンジン搭載車が勝利。この歴史的な節目を記念し、米国カリフォルニア州で行われたペブルビーチ・オートモーティブ・ウィークにおいて、「メルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツ」が初公開された。
メルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツは、最先端のモータースポーツテクノロジーと、1950年代の伝説的レーシングカーのデザインを融合。FIAのホモロゲーションを受けないサーキット専用モデルとして開発されており、AMG製6.3リッターV型8気筒自然吸気エンジンはリストリクターが装着されず、最高出力689PSを発揮する。
アファルターバッハで製造された史上最強のGT3マシンであり、自然吸気エンジンを搭載した最後のメルセデス AMG GT3として、13台のみが限定販売される。
1952年の300 SLをオマージュ
エクステリアデザインは、1952年に登場したプロトタイプレーシングカー「メルセデス・ベンツ 300 SL(W194)」をオマージュ。メルセデス・ベンツ初のクローズドトップ・レーシングカーのクラシカルなエッセンスが、内外装を彩っている。
エクステリアカラーのシルバーは、伝説のシルバーアローがベース。フロントフェンダー、ラジエーターグリルに入れられたブルーのカラーは、1952年のカレラ・パナメリカーナとル・マン24時間レースに参戦したメルセデス・ベンツ 300 SLをイメージしている。また、ルーフにはAMGクレストが大胆に配置された。
DRSが導入された大型リヤウイング
ベースモデルとは異なり、メルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツは、FIAのホモロゲーションの制限を受けないサーキット専用マシンとして販売される。搭載されるAMG製6.3リッターV型8気筒自然吸気エンジンは、エアリストリクターが取り外され、専用のエキゾーストシステムにより、最高出力689PS(500kW)という強大なパワーを実現した。
エアロダイナミクス・コンポーネントもアップデートされ、ベースとなったGT3からダウンフォースが15%も増加。フロントスプリッターとフロントフェンダーのエアアウトレットルーバーの形状が変更され、特にフロントアクスル周辺のダウンフォースレベルが大幅に増加している。
大型化されたリヤウイングには、F1やDTMマシンからヒントを得た「DRS(ドラッグ・リダクション・システム)」が導入された。DRSはステアリングホイールのボタンを押すことで、リヤウイングのメインエレメントがフラットポジションへと変化し、ストレートスピードが向上。空力バランスを維持するため、フロントフロアのアクティブエレメントも同時に拡張される。これにより、315km/hという最高速を実現した。
バサーストのコースレコードをマーク
専用の高性能ブレーキシステムもF1由来のテクノロジーを採用。GT3レギュレーションで義務付けられているスチール製ディスクとは対照的にブレーキディスクはカーボンファイバー製が奢られており、高い制動力に加えて、大幅な軽量化ももたらした。
ギヤボックスはレース仕様の6速シーケンシャルトランスミッションを介してリヤを駆動。サスペンションは、フルアジャスタブル・4ウェイ・モータースポーツ・ショックアブソーバーが搭載された。シャシーに接続されたカーボンファイバー製セーフティセル、5点式ハーネス、セーフティネット、スチール製ロールケージ、自動消火システム、セーフティタンク、エマージェンシーハッチなど、メルセデス AMG GT3で定評を受けきたすべての安全装備が標準装備される。
2年にわたる開発と集中テストを経て、メルセデス AMG パフォーマンスドライバーのジュール・グーノンが、2024年2月17日にオーストラリア・バサーストのマウント・パノラマ・サーキットで、メルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツのプロトタイプでタイムアタックを実施。6.213kmのサーキットを舞台にGTマシンのコースレコードを2秒074秒も更新する、1分56秒605を叩き出している。
クラシカルなエッセンスが加えられた室内
インテリアは、ファン・マヌエル・ファンジオがステアリングを握り、世界的な名声を獲得した1955年製「メルセデス・ベンツ SLR 300」をインスパイア。シートはブルーのチェックパターンファブリック、ヘッドレストトリムとドアループにブラウンレザーがチョイスされた。
専用のステアリングホイールは、アルマイト処理されたスイッチとウォールナット製グリップが組み合わせられた。コクピットには、大型スクリーンと高解像度グラフィックを備えたボッシュ製「DDU 10」コックピットディスプレイなど、先進のモータースポーツテクノロジーを搭載する。センターコンソールに専用のエディションバッジも配置された。
専用のデリバリーパッケージを付属
13台すべてのモデルには、ブルーのチェックが美しい専用のデリバリーパッケージを付属。このデリバリーパッケージは専用開発された車両カバーに加え、ドライバー用レーシング装備一式も含まれる。
サーキット用装備として、レーシングスーツ、レーシンググローブ、レーシングアンダーウェア、レーシングシューズが含まれ、メルセデス AMGオフィシャルパートナーのPUMAが制作を担当。それぞれにメルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツの内外装をイメージしたデザインが採用された。
ベル製の高品質カスタマイズヘルメットもパッケージに含まれており、スタイリッシュなブルーのチェック柄が施された専用バッグに、すべての装備を収めることができる。さらにメルセデス AMG GT3 エディション 130Y モータースポーツの1/8スケールモデルカーと、専用の車両証明書も付属する。