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Ariel E-Nomad
自己完結型バッテリーシステム
共に英国を拠点とする新興テック企業として、ロックフォート・エンジニアリングとアリエル・モーターカンパニーは、英国の中小自動車メーカーを支援する「ニッチ・ビークル・ネットワーク(NVN)」の助成金を受けたプロジェクトを展開。フル電動オフローダー「アリエル E-ノマド」の少量生産を計画している。
ロックフォートは、NVNの支援により開発された「E-ノマド」のコンセプト実証車両をベースに、450V・41kWh容量を持つリチウムイオンバッテリー・システムを設計、開発、製造。このバッテリーシステムは、高電圧パワーエレクトロニクス、安全システム、パワートレイン制御システムなどがひとつのパッケージに統合されている。
ロックフォートは、非常にシンプルな構造を持つ自己完結型バッテリーパッケージとして開発しており、従来の内燃機関(ICE)仕様のノマドの電気系統とシャシースタビリティシステムに、そのまま搭載することが可能となっている。ロックフォート・エンジニアリングのディレクターを務めるアンガス・リオンは、今回の協業について次のように説明する。
「アリエル E-ノマドの発表は、EV関連技術の開発を続けてきたロックフォートによる、長年のハードワークの成果と言えるでしょう。英国・ミルブルックで9月4~5日に開催された『CENEX LCVショー』において、ロックフォートのバッテリーシステムを搭載したE-ノマドが走行を披露しました。私たちにとっても非常にエキサイティングな瞬間でしたし、将来に向けたロックフォートのEV技術革新に対する強いコミットメントを示しています」
高い発展性を持ったバッテリーシステム
E-ノマドに搭載される「ペガサスV3・リチウムイオン・バッテリーシステム」は、最大210kWの電力を発生し、AC(タイプ2)国内充電とDC(CCS2)急速充電の両方に対応。急速充電器を使うことで、25分以内に20%から80%まで充電することが可能となっている。
モジュラー式バッテリーは重量300kgを下まわり、バッテリーパックの寿命を延ばすと同時に、性能と航続距離を最適化する高度なバッテリー温度調整システムを搭載。 高エネルギー・高出力密度にもかかわらず、オフロード走行にも耐えるよう設計されており、川渡りやヘビーウエットなど、あらゆる走行環境に対応する。
ロックフォートが独自開発した高性能バッテリーマネージメント技術は、システムに統合されたセーフティマネージメント機能を実装。電動パワートレインの制御だけでなく、ビークルダイナミクス制御を行うことで、路面やロードコンディションに合わせた、複数のドライブモードを提供する。
ペガサスV3・リチウムイオン・バッテリーシステムは、コスト効率にも優れており、現時点で本格的な生産にも対応する。今回、アリエル E-ノマドに搭載されたシステムは、パワーやサイズなどフレキシブルに変更することが可能。このシステムをベースに様々な自動車メーカーへの供給も計画されており、近く新たなプロジェクトが、ロックフォートから発表される予定だ。