かつてない走りの領域に達したPHV「ランボルギーニ ウルスSE」に試乗

「ランボルギーニ ウルス」を買うなら絶対に“SE”の導入まで待つべき理由「ランボルギーニ ウルス SE」試乗記

ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」に決定版となるスーパーPHV「ウルスSE」が追加された。その走りの実力とは?
ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」に決定版となるスーパーPHV「ウルスSE」が追加された。その走りの実力とは?
ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」に待望のPHVモデルが追加された。PHVと言ってもそのパフォーマンスはスーパースポーツカーをも凌ぐ。熟成の極みに達したウルスSEの全容を見ていきたいと思う。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

Lamborghini Urus SE

熟成極まる走りに感激

4リッターV8ツインターボに8速ATに内蔵される電気モーターを組み合わせることでシステムアウトプット800PS/850Nmを達成したランボルギーニ・ウルルSE。
4.0リッターV8ツインターボと8速ATに内蔵される電気モーターを組み合わせることでシステムアウトプット800PS/850Nmを達成したランボルギーニ・ウルスSE。

先日、日本上陸を果たしたスーパースポーツの「レヴエルト」に続くプラグインハイブリッド車(PHV)として、ランボルギーニが登場させた「ウルスSE」は、単に新しいパワートレインを搭載した追加モデルではない。広範に渡る改良により、現行の「ウルスS」を効率性だけでなくパフォーマンス、快適性などあらゆる面で凌駕すると謳われた、最新アップデート版のウルスである。

その試乗のために自宅を出て実に24時間以上をかけて訪れたのはイタリア南部のバーリ近郊。ここでウルスSEの真価を一般道とテストコースでじっくりと確かめる。

内燃エンジンと電気モーターの「2つの心臓」を持つとされるウルスSEだけに、ひとつ目の心臓であるエンジンはダウンサイジングされず、これまで通りの4.0リッターV型8気筒ツインターボユニットを積む。単体でも最高出力は620PS、最大トルクは800Nmを発生する。

2つ目の心臓である電気モーターは8速ATに内蔵されるかたちで搭載される。こちらのスペックは192PS、483Nm。システム全体で最高出力800PS、最大トルク950Nmというきわめて強力なアウトプットを実現している。

それらのパフォーマンスをフルに解き放てば、0-100km/h加速3.4秒、最高速度312km/hという圧巻のスピードが発揮される。これは現行のウルスSをそれぞれ0.1秒と7km/h凌ぐ数値だ。

極めて優れた電子制御技術

実際にオフロードコースでドリフト走行を試してみたが、電子制御の介入を一切意識させない自然な制御に驚いた。これほどの巨体を容易にドリフトに持ち込めるのは驚異的だ。
実際にオフロードコースでドリフト走行を試してみたが、電子制御の介入を一切意識させない自然な制御に驚いた。これほどの巨体を容易にドリフトに持ち込めるのは驚異的だ。

容量25.9kWhのリチウムイオンバッテリーは、荷室フロア下に搭載されている。満充電された状態なら、エンジンをかけずに60km以上走ることが可能。EVモードでも最高速度は130km/hに達する。外部充電はもちろん、リチャージモードでは最大80%までエンジン出力によって充電することもできる。

実は今回、駆動系全体も刷新されている。センターデフが従来のトルセン式から電子制御多板クラッチ式に置き換えられ、リヤに電子制御LSDが組み込まれたのだ。正直、ハードウェアだけ見れば斬新さはない。しかしながらチーフテクニカルオフィサーのルーヴェン・モール氏によれば、複雑な電子制御システムがでしゃばって、操縦性の違和感、人工的な動きになるのを避けたかったのだという。そのため機構はシンプルにしつつ、フィードフォワードを採り入れた最新の統合制御を行っているということだ。

内外装にも大幅に手が入れられている。外装でまず目をひくのがフロントで、ボンネットフードが切れ目なくノーズ先端まで伸ばされ、ヘッドライトには新しいDRLシグネチャーが採用された。円弧を描くこのかたちは、ランボルギーニのエンブレムにある闘牛の尾にインスピレーションを得たものだという。

一方、リヤはライセンスプレートがより低い位置に移動し、ディフューザー付近も一新されている。テールランプの下のメッシュグリルは、ガヤルドからの引用ということだ。

洗練されたウルスSEの極上インテリア

コクピット感覚を謳うインテリアも新しくなっている。12.3インチのデジタルインストゥルメントクラスター、そしてセンターに配置された同じく12.3インチの大型スクリーンの画面デザインやHMIは、レヴエルトに倣った最新のもの。ダッシュボードは水平基調が強められ、中央に位置するエアベントはヘキサゴンシェイプとされている。

ランボルギーニのDNAを強固に継承しながら、猛々しさ、押し出しよりもクリーンさ、洗練といった部分がより前に出た。内外装ともに、そんな印象の進化である。

ステアリングを握っての第一印象も、同じく洗練という言葉を使いたくなるものだった。ハイブリッドモードでの発進は電気モーターによって行われるため従来より力強く、レスポンスにも優れる。必要になればエンジンが始動するが、この時にも不快なショックなどとは無縁だ。

そのままさらにアクセルを踏み込んでいくと、全体に一枚上手のトルク感で凄まじい加速を披露する。しかしながらより強く印象に残ったのはレスポンスの鋭さで、街中のラウンドアバウトを抜けて加速していくだけでも快感を味わえる。豪快ではあるが爽快とも言えるその感覚は、やはり電気モーターの恩恵だろう。

60km以上のEV走行を実現

PHVとなったことでより洗練された走りと、時に従来のモデルをも凌駕する獰猛な走りの両面を併せ持つ新型ウルスSE。もはやライバルなどいない唯一無二の存在だ。
PHVとなったことでより洗練された走りと、時に従来のモデルをも凌駕する獰猛な走りの両面を併せ持つ新型ウルスSE。もはやライバルなどいない唯一無二の存在だ。

開発の舞台となったナルドのテストコースではオフロード走行、ドリフトも試すことができた。ここで実感したのが、まさに電子制御の介在を意識させないリニアな操縦感覚で、セオリー通りの操作をすれば気持ちの良いドリフトに容易に持ち込むことができる。もちろん実際には、優れた電子制御があってこそ、これほどのパワー、これほどの巨体を無類の一体感とともに振り回せるということは言うまでもないだろう。

まさしく謳い文句の通り、あらゆる面で従来モデルを凌駕し、何ひとつ失うことのないその仕上がりは、新しいユーザーにもアピールするに違いないが、すでに現行モデルを所有している方の乗り換えも促しそうだ。進化を続けるウルスには、取って代わるものなど存在しない。ウルスSEの試乗は、今のランボルギーニの勢いをまざまざと実感させるものとなったのである。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/Lamborghini S.p.A.
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ・ウルスSE


ボディサイズ:全長5123 全幅2022 全高1638mm
ホイールベース:3003mm
車両重量:2505kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:456kW(620PS)/6000rpm
最大トルク:800Nm(81.6kgm)/2250-4500rpm
モーター
最高出力:141kW(192PS)/3200rpm
最大トルク:483Nm(49.3kgm)
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前285/45ZR21 後315/40ZR21
0-100km/h加速:3.4秒
最高速度:312km/h

【問い合わせ】
ランボルギーニ カスタマーセンター
TEL 0120-988-889
https://www.lamborghini.com/jp-en

スーパーSUVクラス最高峰の性能と環境性能を誇る「ランボルギーニ ウルスSE」が日本導入

ランボルギーニ初のプラグインハイブリッド・スーパーSUV「ウルスSE」。2024年4月25日にワールドプレミアされたばかりのスーパーSUVの発表会が早くも日本・六本木のランボルギーニ・ラウンジ東京で開催された。

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著者プロフィール

島下 泰久 近影

島下 泰久

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけでなく先進環境安全技術、ブランド論、運転など、クルマ周辺のあらゆ…