フルモデルチェンジした「アウディ A5/S5」に試乗

フルモデルチェンジで「アウディ A4 / S4」改め「アウディ A5 / S5」として刷新された新型基幹モデルに試乗

アウディは従来の「A4/S4」を新たに「A5/S5」としてフルモデルチェンジをさせた。
アウディは従来の「A4/S4」を新たに「A5/S5」としてフルモデルチェンジをさせた。
アウディは今後、シリーズのモデル名を電動車を偶数、エンジン車を奇数にすると発表。これに伴い、従来の「A4」「S4」が新たに「A5」「S5」としてフルモデルチェンジを果たした。それだけでなくプラットフォームも新世代へと移行。すべてが刷新された新型やいかに。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

Audi A5/S5

アウディの最新Dセグメントモデル

A5アバントTDIクワトロ。今回セダンとアバントの間で走りに関する違いはほとんど感じられなかった。実際、車両重量はセダンとアバントで15kg程度の差しかないのだ。
A5アバントTDIクワトロ。今回セダンとアバントの間で走りに関する違いはほとんど感じられなかった。実際、車両重量はセダンとアバントで15kg程度の差しかないのだ。

7月に本国で発表された新型「アウディA5」「S5」に、フランス・ニースで試乗することが出来た。新型A5/S5には、A4の系譜にあることを示す「B10」というコードネームが与えられている。実際、ラインナップはセダン(正確には5ドアハッチバック)とアバントであり、クーペやカブリオレはない。

また新型はPPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)というICE搭載モデル用の新開発プラットフォームを採用。ボディサイズはセダン、アバントともに全長4829mm、全幅1860mm、全高は1410〜1444mmで、先代A4(B9)から若干拡大。2892mmのホイールベースは72mmも伸びた。

エクステリアはA4に引っ張られたのか、A5らしいキャラクターは薄まったが、アウディの最新Dセグメントモデルであるとひと目で判るルックスに仕立てられている。特にアバントはスポーティなハッチバック的でとてもスタイリッシュだ。

A6に確実に肉薄した乗り心地

人間中心にデザインされたというインテリアは、11.9インチのバーチャルコクピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイが連続した、曲面デザインのOLED採用MMIパノラマディスプレイと、10.9インチのMMIパッセンジャーディスプレイが目を引く。全体的にとても先進的な印象で、質感も非常に高い。従来からひとクラス上がったような感覚がある。

今回はまず「A5 セダン 2.0TFSI 110kW」に試乗。150PS/280Nmの2.0リッターエンジンを搭載したFWDモデルである。試乗ルートは、映画『007/ゴールデンアイ』でも有名な「トラン道路」方面のワインディングロードだ。

乗り出してすぐに感じたのは、動きがとても軽快なこと。スターター/ジェネレーターがアシストしていることもあって、動力性能は必要十分。何よりハンドリングが俊敏で正確。乗り心地もしなやかで上質だ。とても満足感の高い1台といえる。

4WDの「2.0TFSIクワトロ 150kW」は、204PS/340Nmのエンジンに加えて、24‌PS/230Nmを発揮する48Vマイルドハイブリッドシステム「MHEVプラス」を搭載するだけあり、発進から高速域まで明らかに力強く滑らか。ハンドリングはFWDほど俊敏ではないが、とても正確でスタビリティも抜群。コーナリング時の安心感はクワトロならではだ。

またどちらもコンフォートモードはもちろん、ダイナミックモードでも十二分に良好な乗り心地を実現しているのは特筆すべきポイント。従来のA6並みとまではいかないが、確実に肉薄している。

段違いのハイパフォーマンス4WD

S5は、367PS/550Nmの3.0リッターV6ターボにMEHVプラスを搭載したハイパフォーマンス4WDだけに、ダイナミック性能は段違いだ。アクセルペダルを踏み込めば、即座に大柄な車体をグイグイと力強く加速させる。0-100km/h加速4.5秒が納得の速さである。ブレーキ制御によるトルクベクタリングを備えるものの、「クワトロ・ウルトラ」がS5のみリヤ左右をフリーにするためのカップリングが備わらないこともあって、ハンドリングはややアンダーステア気味。しかしS5のパフォーマンスを考えると、これくらいがちょうど良いと感じた。

そして快適性も抜群だ。エンジンサウンドは適度に耳に届くが、静粛性はラインナップ中で最良ではないか。またボディの高い剛性感と良く動く足まわりが、荒れた路面でも上質な乗り心地を提供してくれる。

個人的なベストは圧倒的に余裕のある走りを備えたS5だが、FWDの2.0TFSI 150kWも捨てがたい。ちなみに今回はセダンとアバントをいろいろと乗り比べてみたが、走りの違いはほぼ皆無だった。

日本市場では来春以降にデリバリー開始となる予定だが、出来映えはドイツ系ライバルに決して負けていない。ルックスも良いので人気を博す可能性は十分にありそうだ。

REPORT/竹花寿美(Toshimi TAKEHANA)
PHOTO/AUDI AG
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

アウディ A5 アバント TFSI 110kW

ボディサイズ:全長4829 全幅1860 全高1424mm
ホイールベース:2897mm
車両重量:1710kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1984cc
最高出力:110kW(150PS)/3900-6000rpm
最大トルク:280Nm(28.6kgm)/1400-3600rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後205/60R17
最高速度:214km/h
0-100km/h加速:9.8秒

アウディ S5

ボディサイズ:全長4829 全幅1860 全高1410mm
ホイールベース:2897mm
車両重量:1950kg
エンジン:V型6気筒DOHC
総排気量:2995cc
最高出力:270kW(367PS)/5500-6300rpm
最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1700-4000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後245/40R19
最高速度:250km/h
0-100km/h加速:4.5秒

【問い合わせ】
アウディ コミュニケーションセンター
TEL 0120-598-106
https://www.audi.co.jp/

新型「アウディ A5 アバント」の走行シーン。

アウディ新世代内燃機関モデル第1弾「A4」改め「A5 セダン」「A5 アバント」デビュー【動画】

アウディは基幹車種「A4」シリーズの後継モデルとなる新型「A5」をワールドプレミアした。内燃機関用新型アーキクチャー「プレミアム・プラットフォーム・コンバッション(Premium Platform Combustion:PPC)」ベースに開発された最初のモデルとなり、「A5 セダン」「A5 アバント」、スポーツモデルの「S5 セダン」「S5 アバント」をラインナップ。欧州では2024年7月から予約受注が開始され、2024年11月から販売が行われる予定だ。

PPCベースの新世代内燃機関モデル、新型「アウディ Q5」の走行シーン。

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アウディは、新型DセグメントSUV「Q5」と「SQ5」をワールドプレミアした。新型Q5/SQ5は、新世代内燃機関用アーキテクチャー「プレミアム・プラットフォーム・コンバッション(Premium Platform Combustion :PPC)」採用2番目のモデルとして開発。ドイツを含むヨーロッパにおいて予約受け付をスタートしており、2025年前半にデリバリーを開始する。

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著者プロフィール

竹花 寿実 近影

竹花 寿実

1997年に美術大学卒業後、自動車雑誌『driver』スタッフとして業界入り。自動車情報サイト『Hobidas Auto…