CセグメントSUVのお手本となりえる新型「BMW X3」海外試乗

流石はBMWの“ベストセラー”新型「BMW X3」に試乗「新型もヒットが保証された出来栄え」

日本でも人気のX3がついに4代目へとスイッチ。その走りの出来栄えに筆者も唸った。
日本でも人気のX3がついに4代目へとスイッチ。その走りの出来栄えに筆者も唸った。
日本でも人気が高いBMWのミドルサイズSUV新型「X3」が4代目へとスイッチした。コンセプトモデル「ノイエクラッセX」のモチーフを多く採用する新型はとてもデザインコンシャスだ。トップグレードのM50を中心に魅力をお届けしよう。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

BMW X3

揺るぎない人気ゆえの自信

BMWの最量販モデル、X3が4代目へと進化を果たした。今回は現時点でのトップグレードX3 M50 xドライブのレポートを中心にお届けしよう。
BMWの最量販モデル、X3が4代目へと進化を果たした。今回は現時点でのトップグレードX3 M50 xドライブのレポートを中心にお届けしよう。

今やBMWの最量販車種である「X3」が通算4代目のモデルへとフルモデルチェンジを行った。ドイツ・ミュンヘン近郊で行われた国際試乗会で実感したのは、さすがブランドのド真ん中に位置する存在だけに、今のBMWのすべてが盛り込まれていると言っても過言ではない仕上がりの充実ぶりである。

X1やX2など、最新のBMW車に共通するシャープなエッジが際立った外装デザインは、すでにファンの間では賛否両論が飛び交っているようだ。しかしながらBMWのデザインは、常にそうやって物議を醸してきたことを忘れてはならない。そして結局は皆が受け入れ、魅入られるということも。

実際、新しい解釈のフォーアイズ、中に斜め方向のスリットが入れられた大きなキドニーグリルなどディテールの作り込みの良さには感心させられるところだし、全長、全幅が拡大され、特にリヤのトレッドがワイド化されたプロポーションも、実車を見ればその存在感に唸らされる。しかもスタイリッシュなだけでなく、Cd値0.27という優秀な空力性能も併せ持つのだ。説得力は大きい。

大型化されたカーブドディスプレイを採用

BMWカーブドディスプレイを採用したインテリアは、「7シリーズ」譲りのインタラクションバーを左右ドアまで延長して組み込む。内装にはリサイクル素材が大胆に採用されており、独特の質感含めて新しいラグジュアリー感に繋がっている。もちろん走りについても、そこはBMWだけに進化に抜かりはない。特に注目は、シャシーである。前輪のキャスター角を19%増大させ、リヤアクスルサブフレームとトルクアームは、油圧マウントを強化。アンチロールバーのブッシュには新たな素材が使われている。

パワートレインはガソリン、ディーゼル、PHVの各種をラインナップ。今回はそのうち2モデルに試乗した。

「X3 20 xドライブ」は、2.0リッター直列4気筒ターボエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせる。スペックは最高出力208PS、最大トルク330Nmだ。18‌PS、200Nmと強力なモーターアシストのおかげで発進は滑らかで力強く、しかもその先では気持ち良い吹け上がりも味わえる。駆け抜ける歓びが、そこには確かにある。

高い静粛性も印象的だった。特にウインドウモール、ドアミラーなど細部に至る配慮の成果で、速度を上げても風切り音がほとんど気にならないのは有り難い。

気持ち良い吹け上がりを見せる3.0リッター直6ツインターボ

フットワークもさすがの出来映えである。キャンバー増大の恩恵もあってステアリングは饒舌な手応えを示し、しかも正確なレスポンスで一筆書きのようにスムーズにコーナーをクリアできるのだ。

続いて乗り込んだのは「X3 M50 xドライブ」。ミラーサイクル、マイルドハイブリッドなどの燃費向上技術を折り込んだ3.0リッター直列6気筒ターボエンジンは、最高出力398PS、最大トルク580Nmを発生する。車体には追加の補強が入れられMスポーツサスペンション、Mスポーツディファレンシャルなどを組み合わせる。さらに試乗車はアダプティブMサスペンションも装備していた。

まず驚かされたのは、実は乗り心地である。ボディ剛性アップの効果もあって、当たりはとてもしなやか。快適性は20 xドライブを凌ぐと言ってもいい。しかも、それは走りを一切犠牲にしていない。ボディ剛性の向上、キャスター角増加、さらにはMスポーツディファレンシャルも効いているのだろう。直進性は素晴らしく、200km/h領域でも鼻歌交じり。操舵応答性も研ぎ澄まされ、一体感に満ちたコーナリングを楽しめるのだ。

実は少し気がかりだったエンジンも、ストレートシックスの旨味をしっかり堪能させてくれた。精緻な回転感覚、澱みない吹け上がりは、やはり絶品。環境対応を図りつつも牙は抜かれていなかったのである。

トータルバランスに優れた称賛すべき1台

素晴らしい乗り心地に一体感のあるコーナリング性能、気持ちの良いエンジン、M50 xドライブの素晴らしい出来に嬉しくなった。
素晴らしい乗り心地に一体感のあるコーナリング性能、気持ちの良いエンジン、M50 xドライブの素晴らしい出来に嬉しくなった。

新しいX3はあらゆる要素が高いレベルでバランスされた仕上がりで、さすがベストセラーの最新型だと改めて感心させられた。個人的には特に、M50 xドライブの出来映えに嬉しくなった。今の時代に、こういうモデルを進化させ、存続させてくれたことには感謝しかない。

日本上陸はもう間もなく。今回試乗したモデルに加えて、ディーゼルエンジン搭載車もラインナップされる予定とのことだ。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)
PHOTO/BMW AG
MAGAZINE/GENROQ 2024年12月号

SPECIFICATIONS

BMW X3 M50 xドライブ


ボディサイズ:全長4755 全幅1920 全高1660mm
ホイールベース:2865mm
エンジン:直列6気筒DOHCターボ
総排気量:2998cc
最高出力:280kW(381PS)/5200-6250rpm
最大トルク:540Nm(55.1kgm)/1900-4800rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
0-100km/h加速:4.6秒
最高速度:250km/h

【問い合わせ】
BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437
https://www.bmw.co.jp/

中国市場専用モデル「BMW X3 30L xDrive」のエクステリア。

ホイールベースを110mm延長した「BMW X3」がデビュー「中国で企画・製造されたLWB版」

BMWは、中国自動車市場専用に開発した新型「X3」を公開した。X3としては初めてホイールベースを延長し、大幅な居住性アップを実現。「X3 30L xDrive」は、合弁会社BMWブリリアンス・オートモーティブの瀋陽工場で生産され、中国市場のみで販売される。

キーワードで検索する

著者プロフィール

島下 泰久 近影

島下 泰久

1972年神奈川県生まれ。走行性能だけでなく先進環境安全技術、ブランド論、運転など、クルマ周辺のあらゆ…