「アウディ RS 3」改良新型が欧州でデリバリーをスタート

ニュル新記録達成した改良新型「アウディ RS 3」の秘密「アップデートされたトルクスプリッターとは?」

欧州でのデリバリーが開始された「アウディ RS 3」改良新型。進化型「トルク・スプリッター」を搭載し、走行性能の大幅アップを果たした。
欧州でのデリバリーが開始された「アウディ RS 3」改良新型。進化型「トルク・スプリッター」を搭載し、走行性能の大幅アップを果たした。
アウディは「RS 3 スポーツバック」と「RS 3 セダン」改良新型のヨーロッパにおけるデリバリーをスタートした。デビューから3年を経たRS 3、内外装のリフレッシュに加えて、シャシーセットアップに広範囲に及ぶアップデートを実施。特にトルクスプリッターの改良により、サーキットでの走行性能が大幅な進化を果たしている。

Audi RS 3

ニュルにおいて3年前の記録を7秒更新

アウディ RS 3は2021年にニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて、コンパクトクラスにおける当時のラップレコードを樹立。改良新型は、その記録を7秒以上も更新する、7分33秒123をマークした。
アウディ RS 3は2021年にニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて、コンパクトクラスにおける当時のラップレコードを樹立。改良新型は、その記録を7秒以上も更新する、7分33秒123をマークした。

アウディ RS 3の心臓部に収められるのは、アウディ・スポーツが開発した2.5リッター直列5気筒TFSI直噴ターボエンジン。最高出力400PS(294kW)、最大トルク500Nmを発揮し、0-100km/h加速が3.8秒、最高速度290km/hというスペックを誇る。今回のフェイスリフトではシャシーセットアップが最適化され、コーナーリング性能が大幅に向上することになった。

2021年、アウディはRS 3に「トルクスプリッター」を初導入。ドライバビリティの高い直列5気筒ターボエンジンと組み合わせたことで、サーキットにおけるパフォーマンスアップを実現した。アウディスポーツのワークスドライバー兼開発ドライバーを務めるフランク・スティップラーがニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいてタイムアタックを実施し、コンパクトクラスにおける当時のラップレコードを樹立している。

それから3年間、アウディスポーツは継続的な技術開発を実施。エンジンのスペックは同一ながらも、再びスティップラーがステアリングを握り、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおいて3年前の記録を7秒以上、従来のクラスレコードを5秒以上も更新する、7分33秒123という脅威的なラップタイムを叩き出した。

リヤのトルク配分をアクティブに調整

トルク・スプリッターは、前後アクスルへのトルク配分だけでなく、リヤの左右輪のトルク配分をアクティブにコントロール。改良新型ではシステムに改良が加えられたことで、コーナーリング性能が大幅に向上した。
トルクスプリッターは、前後アクスルへのトルク配分だけでなく、リヤの左右輪のトルク配分をアクティブにコントロール。改良新型ではシステムに改良が加えられたことで、コーナーリング性能が大幅に向上した。

RS 3に搭載される「トルクスプリッター」は、2基の電子制御湿式多板クラッチによりリヤアクスルの左右トルク配分をアクティブにコントロールするシステム。カーブにおいてリヤの外輪により多くのトルクを配分することでアンダーステアを軽減し、俊敏なコーナリングを実現した。

ストレートでは左右リヤホイールへと均等にトルクを配分。巡航時にはリヤのクラッチを開放することで、フロントアクスルのみにトルクを伝え、燃料消費を抑制する。RS 3のテクニカル・プロジェクトマネジャーを務めるマーヴィン・シュワッターは、トルクスプリッターの改良について次のように説明する。

「トルクスプリッターは、後輪間のトルク配分を完全に制御することで、横方向のダイナミクスが新たなレベルに到達しました。これはまさに革命的とも言えるシステムです。ただ、私たちはシステムに改善の余地を見出し、細部にわたって調整を加えました。その結果、RS 3はさらに俊敏になり、特にコーナーリング時のパフォーマンスが大幅に向上したのです」

より素早いコーナーリングが可能に

改良新型は、トルクスプリッターのトルクベクタリング機能と、ブレーキに微調整を加えたことで、アンダーステアが低減。コーナーリングスピードが大幅に向上することになった。
改良新型は、トルクスプリッターのトルクベクタリング機能と、ブレーキに微調整を加えたことで、アンダーステアが低減。コーナーリングスピードが大幅に向上することになった。

RS 3改良新型は、トルクスプリッターのトルクベクタリング機能と、ブレーキに微調整を加えたことで、コーナー進入時のアンダーステアを低減。より積極的なコーナーリング制御を実現した。

コーナーリング時、トルクスプリッターは外側の後輪へとトルクを供給する一方で、内側の後輪にはわずかだがブレーキが掛けられる。繊細なブレーキ介入を行うことで、RS 3はカーブの曲率をより正確にトレース。コーナーのエイペックスにおいて素早くポジションが確定し、ドライバーはコーナーの出口に向けてより速く加速することが可能になった。

開発テストでは、スペインのモンセラット山脈のワインディングロードや、バルセロナ北西部のパルクモートル・カステリョリ・サーキットにおいてセッティングに微調整が加えられた。全長約4kmのサーキットは、高低差のあるタイトコーナーを含む変化に富んだレイアウトが特徴であり、改良型トルクスプリッターは、その効果をいかんなく発揮したという。

アウディは、大幅なパフォーマンスアップを果たした「RS 3 スポーツバック」と「RS 3 セダン」改良新型を発表した。

アウディのスポーツコンパクト「RS 3 スポーツバック」「RS 3 セダン」改良新型がデビュー「ニュルで7分33秒123」【動画】

アウディはコンパクトハッチバック&セダン「A3」の最上級パフォーマンス仕様「RS 3 スポーツバック」と「RS 3 セダン」改良新型を発表した。RS 3改良新型はドイツ・インゴルシュタット工場で製造され、2024年8月後半からヨーロッパでオーダー受付をスタート。同年10月からデリバリーが行われる予定だ。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…