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Porsche 963
厳しいレースを走り切った6号車が王座を獲得
バーレーン・インターナショナル・サーキットを舞台に行われた8時間にわたる過酷な最終戦は、レースが進むにつれ非常にスリリングな展開となった。ポイントリーダーとしてレースに挑んだ「ポルシェ 963」6号車は、スタート直後に大きく後退したが、エストレ、ロッテラー、ヴァントールは、素晴らしい追い上げを披露した。
一時は表彰台圏内も見えていた6号車だったが、ペナルティが課されたことで、最終的に11位でフィニッシュ。レース終了後に暫定2位だった「フェラーリ 499P」51号車がタイヤ使用本数規定違反によりペナルティを受けたことで、10位に順位を上げた。そして、ライバルのフェラーリ 499Pも50号車が下位に沈んだため、37点という大差をつけてドライバーズ選手権王座を手にした。
チームメイトの963の5号車は、一時トップをキープしていたものの、レース終盤に導入された2回のセーフティカーによりアドバンテージを失い、3位でレースを終えた。しかし5号車と同様に2位で完走したフェラーリ 499Pの51号車が降格したことで、最終的にひとつ順位を上げて2位となった。
ドライバーズ選手権制覇、マニュファクチャラーズ選手権でも2位という素晴らしい結果を受けて、ポルシェ・モータースポーツの副社長を努めるトーマス・ローデンバッハは次のように喜びのコメントを発表した。
「ポルシェ 963でWEC復帰を果たして2年目、私たちは素晴らしいシーズンを過ごし、世界選手権タイトルを獲得しました。2023年シーズンと比較すると、マシンやチームなど、あらゆる面で大幅な改善が見られました。それ自体が本当に素晴らしいことです。あらためて、関係者全員に最大の賛辞を贈りたいと思います」
「マニュファクチャラーズ選手権を僅差で逃したのは残念です。ここまでトップに迫ったのであれば、最終的には誰もがそれを勝ち取りたいと願うでしょう。ただ、残念ながら、モータースポーツの世界では、こういったことは起こるものなのです」
プライベーター王座に輝いたハーツ・チーム・ジョタ
カスタマーチームによって争われる「FIA ワールドカップ」は、前戦富士6時間レースの段階で、ハーツ・チーム・ジョタのポルシェ 963 12号車(ウィル・スティーブンス、カラム・アイロット、ノーマン・ナト)が王座を確定。最終戦は、プロトン・コンペティションの963 99号車(ハリー・ティンクネル、ニール・ジャニ、ジュリアン・アンドローエル)が表彰台圏内を走行する場面もあったが、ペナルティによりポジションダウン。最終的に12位でレースを終えた。
ハーツ・チーム・ジョタの2台は、963 38号車(ジェンソン・バトン、フィリップ・ハンソン、オリバー・ラスムッセン)が7位、963 12号車が13位でフィニッシュ。英国を拠点とする同チームは、2025年シーズンからキャデラック・レーシングとジョイントし、「Vシリーズ.R」でWECに参戦することが決まっており、今回がポルシェでの最後のレースだった。ハーツ・チーム・ジョタの共同オーナーを努めるサム・ハイネットは、レースを終えて次のようにコメントしている。
「ポルシェでの最後のレースは、期待していたとおりの展開になりませんでしたが、少なくとも私たちの38号車はFIA ワールドカップで2位に入賞することができました。そして、前戦の段階で12号車はタイトルを決めています。素晴らしい結果を持ち帰れたことを、私は誇りに思います」