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TOYOTA 4Runner TRD Surf Concept
1980年代のカリフォルニアのビーチをイメージ
2024年のSEMAショーで公開された「4ランナー TRD サーフ コンセプト」は、南カリフォルニアの活気あふれるサーフカルチャーからインスピレーションを得て開発された。開発・製作を担当したトヨタ・モータースポーツ・ガレージ(Toyota Motorsports Garage)は、初代4ランナー(ハイラックス サーフ)の無骨で開放的なスピリットと、今年フルモデルチェンジされた新型「4ランナー」の最先端技術&デザインを融合したと謳う。
4ランナー TRD サーフ コンセプトは、サーファーたちが完璧な波を求めていた1980年代の南カリフォルニアのビーチで、4ランナー(ハイラックス サーフ)が若者たちの定番モデルだった光景からインスピレーションを得ているという。トヨタ・モータースポーツ・ガレージの主任ビルダー兼業務担当ディレクターのマーティ・シュウェルターは、そのイメージを次のように説明する。
「この4ランナー TRD サーフ コンセプトは、私自身がトヨタの小型ピックアップでパシフィックコースト・ハイウェイをクルージングした経験をもとに開発されました。2025年型『4ランナー』から初代モデルのスピリットを見出し、太陽の光に満ちた日々を体現するコンセプトを思い描いたのです」
「新型4ランナーは、その無骨なエクステリアとパワフルな直列4気筒エンジンが、オリジナルを思い出させてくれました。究極のビーチクルーザーになる可能性を秘めていると考えたのです。私たちは過去へのリスペクトを示しながら、現代にも通用する存在を作り上げました。特に取り外し可能なデタッチャブルルーフは必須アイテムです。スタイリッシュであると同時に機能的であることを重視しました」
6代目「4ランナー」をベースに開発
ベースとなったのは2025年型「4ランナー TRD リミテッド」。 2.4リッター直列4気筒iForce ターボエンジンは最高出力281PS、最大トルク430Nmを発揮し、8速ATと、電子制御デュアルレンジ・トランスファーケースを備えたフルタイム4輪駆動システムを介して、強大なパワーを路面へと伝達する。
トヨタ・モータースポーツ・ガレージのチームは、最新型4ランナーを完璧なビーチスタイルへと変身させるべく、ハードワークを重ねることになった。オープン時はもちろん、デタッチャブルルーフ装着時でも見栄えが良く、性能も優れたピックアップを、ファクトリー出荷時のクオリティで作り上げる必要があったからだ。
「現在の交通法規をクリアした取り外し可能なルーフの設計、そして開閉可能なリヤウインドウを残しながら、4ドアから2ドアへの変更、そしてリヤシートへのアクセス改善のために助手席には可倒機能も加えました。これらは4ランナー TRD サーフ コンセプトために施された改良のほんの一例です」
「このピックアップを最高の1台にしているのは、様々な変更そのものよりも、それらがすべてうまく調和し、組み合わさせられていることにあります。単に改造の集合体ではなく、それぞれが相乗効果を持って存在しているのです」
交通法規をクリアしたデタッチャブルルーフ
実際に使用できるデタッチャブルルーフを完成させるため、開発チームは5代目4ランナーをベースに試作品を製作。取り外し可能なルーフはトヨタ・モータースポーツ・ガレージで、CADと最新の3Dプリント技術を融合した製造方法が用いられた。オープンからクローズドへの変更も、ひとりでも簡単に行えるよう設計されている。
足まわりには、ロングトラベル・サスペンションシステムを搭載。ビレットアルミ製フロントアッパーアームとロワアームを備え、過酷な地形にも対応しながらスムーズな乗り心地を実現している。さらにステアリングのアップグレード、カスタムフロントアクスル、トヨタ・タンドラのリヤエンド・ハウジングも導入。17×8.5インチカスタムホイールには、マッシブな37インチタイヤが、組み合わせられている。
専用のサーフボードを特別に製作
あらゆるアドベンチャーに備え、耐候性を備えたインテリアには、柔らかい防水フロアリングと、リヤシートへの乗りやすさを実現すべく、前方可倒式フロントシートを採用した。さらに、特注のアクセサリーとして、4ランナー TRD サーフ コンセプト専用に作られたカスタムサーフボード「トラベルクイバー(Travel Quiver)」を用意。このクールなサーフボードは、ルーフラックや荷台に搭載することができる。
トヨタ・マーケティングのグループ副社長のマイク・トリップは、4ランナー TRD サーフ コンセプトの完成度に自信をのぞかせる。
「4ランナー TRD サーフ コンセプトはトヨタのエンジニアリング能力の高さを示すだけでなく、限界に挑み続けるチームメンバーの情熱と創造性を反映しています。サーフカルチャーに捧げられた、このコンセプトを嫌う人なんていないでしょう」