WECの技術が導入されたポルシェ 911 GT3 RS用「マンタイ・キット」

ポルシェ 911 GT3 RSを「マンタイ・キット」で最強に仕上げる「新開発エアロのダウンフォースはなんと1トン」

WECなどで活躍するマンタイ・レーシングの技術を導入した、ポルシェ 911 GT3 RS用「マンタイ・キット」が登場した。
WECなどで活躍するマンタイ・レーシングの技術を導入した、ポルシェ 911 GT3 RS用「マンタイ・キット」が登場した。
モータースポーツからのテクノロジーを積極的にフィードバックした「ポルシェ 911 GT3 RS」に、新開発された「マンタイ・キット(Manthey Kit)」が導入された。エアロダイナミクスの向上、サスペンションのアップデート、ブレーキコンポーネントの最適化により、285km/hの速度域において1000kg以上のダウンフォースを発生する。

Porsche 911 GT3 RS “Manthey Kit”

WEC王者が手がけたサーキット用キット

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3 RSのエクステリア。
今シーズンのWECのLMGT3クラスにおいて、1-2フィニッシュを果たしたマンタイ・レーシングとヴァイザッハが共同開発した「マンタイ・キット」がリリースされた。

ポルシェは、現行の992型「911 GT3 RS」用に、新開発された「マンタイ・キット」を導入した。特にサーキットにおけるのドライビングパフォーマンスが大幅に進化。このキットによりダウンフォースがアップし、コーナリングスピードを向上させる効果を持つ。

サスペンションはサーキットでの走行用に専用セッティングが施され、ブレーキもサーキットにおける高い要求に合わせて最適化。この新しいマンタイ・キットは、ヴァイザッハのポルシェ開発センターと、世界耐久選手権(WEC)のLMGT3クラスにおいてタイトルを獲得したマンタイ・レーシングによる共同開発となる。

911 GT3 RS用マンタイ・キットは、世界中のポルシェセンターを通じて販売され、すでにオーダーがスタート。ヨーロッパにおいては2025年1月から、EU域外では2025年3月から発売され、価格は7万6911ユーロ(税別、ポルシェセンターでの取り付け費用除く)となっている。

WECで王座を獲得した963由来のシャークフィン

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3 RSのエクステリア。
リヤウインドウはカーボンファイバーパネルに変更され、ここにWECを戦う963からフィードバックされたシャークフィンが配置された。

エアロダイナミクス・コンポーネントの大幅な変更により、911 GT3 RS用マンタイ・キットは、ひと目でその存在感をアピールする。新型「スポイラーリップ」はサイズアップされ、カーボンファイバー製補強エレメントによって支えられる。再設計された「ホイールアーチ・ガーニーフラップ」とフロントバンパーの両側に配置された2基の「ダイブプレーン」とともに、フロントアクスルのダウンフォースを増加させる効果を持つ。

リヤウインドウは25%軽量化されたカーボンファイバー製パネルに変更される。その上にカーボンファイバー製シャークフィンが取り付けられた。このシャークフィンは今年のWECで3勝を挙げたハイパーカー「963」に由来するもので、コーナリング時の安定性を高めるよう設計されている。また、6枚のルーフフィンと組み合わせることで、フロントラジエターからの熱気を外部へと効率的に排出し、過酷な運転条件下でも、フレッシュエアをリヤのエンジンベイへと取り込むことができる。

分割されたカーボンファイバー製「DRSウイングエレメント」は、再設計された大型エンドプレートと組み合わせることで、リヤアクスル周辺のダウンフォースを増加。リヤディフューザーは、カーボンファイバー製フィンのサイズを拡大し、空気抵抗を増やすことなくダウンフォースレベルを向上させている。

カーボンファイバー製 「エアロディスク・ホイールカバー」は空気抵抗を減らし、エクステリアにレーシングカーのような佇まいを加える。それぞれのエアロダイナミクス・コンポーネントは、空気抵抗を増加させることなくダウンフォースを大幅に増加。285km/hの速度域において、1000kg以上のダウンフォースを発生し、高速・中速コーナーにおける車両の安定性が最大化された。

専用セッティングが導入された足まわり

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3 RSのエクステリア。
サーキット性能に最適化された足まわりは、ドライバーの好みに合わせてセッティングを変更することができる。

セミアクティブ・コイルオーバー・サスペンションのスプリングレートに、高められたダウンフォースレベルに合わせて、専用調整が施された。スプリングレートはフロントアクスルで30%、リヤアクスルで15%も引き上げられている。4基のホイールセンサーと3基のボディ加速度センサー、新たに開発されたコントロールユニットにより、完全自動のダンパーチューニングも可能になった。

新開発のショックアブソーバーは、コンプレッション用とリバウンド用として、2基のバルブが独立して制御。これにより、走行状況や路面コンディションの変化に対応した正確な調整が可能になり、サーキットにおける安定性が大幅に向上している。

ドライビングモードの「ノーマル(Normal)」「スポーツ(Sport)」「トラック(Track)」に応じて、ダンパー特性の異なるパラメーターセットを導入。トラックモードでは、ステアリングホイールのロータリーコントロールを使用することで、基本的なセットアップを好みに合わせて手動調整することも可能だ。

ブレーキコンポーネントは、サーキットでのドライビング要件に合わせて専用調整。スチールシートのブレーキラインが、よりダイレクトなペダルフィールと素早いレスポンスを提供する。今回、「ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)」装着車用に、レーシングブレーキパッドがオプションで用意された。

ボディ各部に用意された「Manthey」レタリング

「マンタイ・キット」を装着した、ポルシェ 911 GT3 RSの走行シーン。
マンタイ・レーシング直系モデルであることをアピールしたいカスタマーには、ボディ各部に装着可能な「Manthey」レタリングが用意された。

視覚的なタッチを加えたいカスタマーには、マンタイ・キット専用のエクステリアオプションをラインナップ。レッドとホワイトの「Manthey」レタリングが施されたカーボンファイバー製照明付きドアシルガード、ホワイトの「Manthey」レタリング付きLEDドアプロジェクター、カーボン製「エアロディスク」に施された、様々なカラーのデカールが、911 GT3 RSの個性を強調する。

ネオディーム、ホワイト、ブラックの3色の「Manthey」レタリングを、ドアに装着することも可能。サーキットを走行するカスタマーのために、フロントまたはリヤに専用の「トーイングアイ(牽引フック)」も用意された。トーイングアイはレッド、ブラック、イエローの3色があり、専用のネジ穴に取り付ける。ただ、公道で使用する場合は取り外す必要がある。

ポルシェのブランドアンバサダーを務めるレーシングドライバー、ヨルグ・ベルグマイスターは、マンタイ・キットについて次のようにコメントした。

「マンタイ・キットによって、911 GT3 RSはサーキット、特に中速コーナーでの挙動が大幅に改善されるでしょう。ダイブ、ピッチング、ロールがさらに少なくなり、より安定した走行が可能になりました。高い接地圧は、あらゆる走行条件下において、高いレベルで一定に保たれます」

派手さよりも本物だけが持つ迫力を感じるマンタイパフォーマンスキットを組み込んだ911GT3。

「ニュルで9秒早くなる」マンタイの速さをゲット「ポルシェ マンタイ パフォーマンスキット」が日本上陸

ポルシェのGTレースで強さを発揮しているマンタイレーシングが、そのノウハウと注入したアップグレードキットを発売した。サーキットでのパフォーマンスをさらに向上させるパーツで、ポルシェ正規ディーラーで発売される。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…