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TWR Supercat
トム・ウォーキンショーの伝説を現代に復活
TWRは、伝説的な「ジャガー XJS」をベースとする先鋭的な新型レストモッドスーパーGT「スーパーキャット」を正式発表した。2024年5月にプレビューされた「TWR スーパーキャット」は、今回の正式公開に先立って、すでに多くのメディアやカスタマーから高い評価を得ている。
英国のバークシャー州ニューベリーに立ち上げられたTWRは、トム・ウォーキンショーの息子であるファーガス・ウォーキンショーと、ビジネスパートナーのジョン・ケインが2020年に設立。1980~1990年代のモータースポーツシーンで活躍した、「トム・ウォーキンショー・レーシング」から独立した企業だが、モータースポーツにおける高い技術力とDNAを共有するという。
ファーガスの父であるトム・ウォーキンショーは、トム・ウォーキンショー・レーシングを支えたコンストラクター兼レーサーであり、1980年代にはジャガー XJSを駆ってヨーロッパ・ツーリングカー選手権、スパ24時間レース、バサースト1000kmで勝利を収めている。
今回、正式お披露目されたTWR スーパーキャットの開発には、マクラーレン・オートモーティブ、フェラーリ、ポルシェ、ウィリアムズ、ルノーF1など、モータースポーツ界の一流チーム出身のエンジニアが集結。トム・ウォーキンショーがデザインした「ジャガー XJR-9」による1988年ル・マン24時間優勝を記念し、88台のみが限定生産される。
2025年夏からデリバリーをスタート
TWR スーパーキャットのカスタマーへのデリバリーは、2025年夏を予定している。すべてがハンドメイドで製造され、ベースモデルの価格は22万5000ポンド。それぞれカスタマーが幅広いパーソナライゼーションオプションから好みの仕様を選択できる。すでに米国、英国、ヨーロッパ、アジア、中東において、右ハンドル/左ハンドル双方のオーダーが開始された。
TWRの創設者であり、ディレクターを務めるファーガス・ウォーキンショーは、TWR スーパーキャットについて次のようにコメントした。
「父の会社がサーキットを席巻してから約40年、私たちは新たに開発された『スーパーキャット』でTWRの名を復活させました。私たちの最初の作品は、熱心なドライビングエンスージアストのための、本格的なアナログスーパーGTとして設計され、現代のモータースポーツ界で最も優秀な才能を持つ人たちによって3年以上の月日をかけて開発されました」
「クラシカルなジャガー XJSをベースに、現代的なマテリアルと生産方法、そして自社製V型12気筒スーパーチャージャーを採用し、公道でもサーキットでも、臨場感あふれるドライビング体験をお届けします。生産台数はわずか88台に限定され、1台1台がオーダーメイドで製作されるため、モータースポーツの歴史に根ざしながらも、デザイン、エンジニアリング、パフォーマンスにおいて完全に現代的な、真にユニークでパーソナルな1台を所有するチャンスとなります」
強大なパワーに対応するエアロダイナミクス
TWR スーパーキャットは、ドナーカーの「ジャガー XJS」をベースに、XJR-9、XJR-15、XJ220など、当時の象徴的なレーシングジャガーからインスパイアされたデザインを導入。様々なメーカーで活躍してきたカイジル・サリームとマグナス・ウォーカーがデザインを担当し、その強烈な空力デバイスを纏ったエクステリアが完成した。
主なエアロダイナミクスの変更点としては、XJSのアイコンであるフライングバットレスの形状を一新し、ボディからリヤハンチへのエアフローを最適化。フロアプランはフラット化され、600PSを超える並外れたパワーをマネージメントするため、必要なレベルのダウンフォースを発生させるべく、専用のリヤスプリッターが導入された。これらの変更に対応し、エキゾーストシステムはリヤからサイドへと変更されている。
全幅はXJSの1793mmから1975mmと、182mmも拡大され、エクステリアだけでなく空力的なプロフィールを大幅に強化。このワイドなスタンスを補完するのが、フロント18インチ、リヤ19インチのTWR製鍛造モノブロックホイールとなり、初代XJSに装着されていた15インチアロイホイールから剛性面でも大幅に強化されることになった。
669PSを発揮する6.0リッターV12スーパーチャージャー
モータースポーツの伝統をリスペクトし、後輪駆動と6速MTを採用。カーボンボディのロングノーズの下には、TWRのエンジニアが自社開発した強力な6.0リッターV型12気筒スーパーチャージャーを搭載し、最高出力669PS、最大トルク730Nmを発揮する。
大幅なパワーアップに対応し、ボディ構造は一体化した鋼管フレームワークで強化。軽量なカーボンファイバー製ボディパネルを導入し、初代ジャガー XJS比で9.3%の軽量化を実現した。カーボンセラミックディスクブレーキ、完全にプログラム可能なトラクションコントロール、ローンチコントロール、5つのドライビングモードもオプションで用意されている。
アクティブダイナミックダンピング・システムによって強化されたダブルウイッシュボーン式サスペンションは、長時間のドライブの際にも快適な乗り心地を実現。同時にサーキットへと持ち込めば、トラック走行に必要なセッティング精度、フィードバック、安定性を提供する。
デジタル機器が統合されたクラシカルなインテリア
インテリアはクラシカルナジャガー XJSのデザインに敬意を払いつつ、現代的な機能を統合。リヤシートは取り外され、大幅に拡大されたラゲッジエリアに変更。スーパーGTのDNAである長距離ツーリングに十分なスペースが確保された。
アナログメーターは「フルデジタル・マルチメディア・インターフェイス(MMI)」に変更され、Apple CarPlayとAndroid Autoに対応。センターに「TWR」のエンボス加工が入れられたフルレザーステアリングホイールは、直感的なトグルインターフェイスで簡単に調整することができる。カーボンファイバーバックレザーシートは、コンテンポラリーなデザインと、オリジナルXJSのシートルーバーを参考にした「ヘリテージ」オプションからカスタマーの好みに合わせて選択する。
デザインを担当したカイジル・サリームは、TWR スーパーキャットの完成度に自信を隠さない。
「英国の偉大なアイコンであるトム・ウォーキンショー・レーシングのヒストリーをベースに、モータースポーツとパフォーマンスのDNAに忠実なTWR スーパーキャットをデザインできたことを誇りに思います。TWR スーパーキャットは、唯一無二の新しい表現だと言えるでしょう」
「デザイナーとして、高度にテクニカルな素材、新しいパレットを扱うことで、ジャガー XJSのフォルムとスタンスに再び活力を与え、真のスーパーGTを創造することができました。TWRの卓越したエンジニアと空力チームと協力し、すべてのラインと特徴がパフォーマンスの目的にかなうクルマを作り上げたのです。サーキットと公道の両方で、TWRのレガシーを忠実に表現することができました」