「メルセデス AMG ピュアスピード」生産仕様がF1アブダビGPで初公開

250台限定生産フルオープンバルケッタ「メルセデス AMG ピュアスピード」をワールドプレミア【動画】

フルオープンバルケッタ「メルセデス AMG ピュアスピード」の走行シーン。
2024年のモナコGPでコンセプト仕様が公開された「メルセデス AMG ピュアスピード」の市販仕様が、F1最終戦アブダビGPにおいて発表した。
2024年シーズンのF1最終戦アブダビGPにおいて、メルセデス AMGが限定フルオープン2シーター「メルセデス AMG ピュアスピード」をワールドプレミアした。モナコGPにおいてコンセプト仕様が発表されたメルセデス AMG ピュアスピードはその後、精力的なテストプログラムが実施され、アブダビGPにおいて市販仕様がアンベールされた。

Mercedes-AMG PureSpeed

50年代から60年代のレーシングカーをオマージュ

フルオープンバルケッタ「メルセデス AMG ピュアスピード」のエクステリア。
限定モデル「ミトス(Mythos)」シリーズ第1弾として開発された「メルセデス AMG ピュアスピード」は1950年代から1960年代に活躍したオープンプロトタイプレーシングカーをオマージュしている。

メルセデス・ベンツが展開する限定モデル「ミトス(Mythos)」シリーズ第1弾、「メルセデス AMG ピュアスピード」は、ウインドスクリーンやルーフを持たない2シーターフルオープンとして開発。1950年代~1960年代のメルセデス・ベンツ製レーシングカーをオマージュしている。

パワーユニットは最高出力430kW(585PS)、最大トルク800Nmを発揮するAMG製4.0リッターV型8気筒ビターボエンジンを搭載。サーキットを含むあらゆる走行環境において、ダイナミックな動力性能と、優れたドライビングパフォーマンスを実現した。0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は電子リミッターにより315km/hに制限される。

ギヤボックスは、AMG スピードシフト MCT 9Gトランスミッションに、AWDシステム「AMG パフォーマンス 4MATIC+」が組み合わせられ、インテリジェントに4輪を駆動する。AMG スピードシフト MCT 9Gは、トルクコンバーターの代わりに湿式発進クラッチを採用。これにより大幅な軽量化が可能となり、特にスタート時や高負荷が掛かる走行環境において、最高レベルのレスポンスを実現した。

メルセデス AMG ピュアスピードは、2025年から製造がスタートし、限定250台のみを少量販売される。メルセデス AMGのマイケル・シーべCEOは、メルセデス AMG ピュアスピードについて次のように説明を加えた。

「メルセデス AMG ピュアスピードは、ドライバーズシートでパフォーマンスと楽しさを、ダイレクトに体験することができるでしょう。ルーフやウインドスクリーンも排除した大胆なオープンデザインにより、ドライバーとパッセンジャーを外界から隔てるものは何もありません。クルマ、道路、風景を五感で存分に味わうことができるのです」

「その印象的なデザインは、伝説的なレーシングカーの要素を再解釈し、魅力的で時代を超越したシルエットへと昇華させました。そして、AMGの伝統的な強みである、一目で特別な1台だと分かる存在感を備えています、ステアリングを握った瞬間、ドライバーにインスピレーションを与え、非常にエモーショナルな感情を呼び起こすことになるでしょう」

ルーフレススタイルに合わせたエアロダイナミクス

フルオープンバルケッタ「メルセデス AMG ピュアスピード」の走行シーン。
ウインドスクリーンとルーフがオミットされた「メルセデス AMG ピュアスピード」は、快適なコクピット空間、冷却、ダウンフォースレベルなどを考慮し、高度なエアロダイナミクスが導入された。

エクステリアデザインは、低く構えたロングノーズに、特徴的なシャークノーズを持つフロントセクションが組み合わせられた。大型エアインテーク、象徴的な「AMG」レタリング、ノーズにあしらわれたダーククロームメッキ製スリーポインテッドスターなど、限定ハイブリッドハイパースポーツ「メルセデス AMG ONE」のデザインも採り入れられている。

AMGのエアロダイナミクス・チームは、フロントとサイドに透明な小型ディフレクターを導入。これにより、ボディ周辺の乱流がドライバーとパッセンジャーを悩ませるのを防ぐ効果を持つ。シャープなカーボンファイバー製エレメントがロワボディに配置され、官能的な丸みを帯びたアッパーボディと強いコントラストを描いている。トランクリッドとリヤディフューザーも、ルーフがないボディ形状を考慮してエアロダイナミクスを最適化した。

21インチ鍛造アロイホイール、ホイールアーチの前後に設けられたカーボンファイバー製カバーにより、レーシーな雰囲気をアピール。フロントセクションのエアフローとブレーキ冷却を最適化するた、フロントカバーはオープン形状が導入された。

オプションとして用意された「モータースポーツ・スタイリング・パッケージ」は、ル・マン・レッドから、ブラックのAMGパターンが施されたグラファイトグレーへとグラデーション。グラファイトグレーは、100年前にシチリアで開催されたタルガ・フローリオ優勝マシンのカラーリングをオマージュしている。また、これ以外の様々なペイント仕上げを選ぶことも可能だ。

F1から導入された「ヘイロー・システム」

フルオープンバルケッタ「メルセデス AMG ピュアスピード」のコクピット。
コクピットには、F1ではお馴染みの頭部保護デバイス「ヘイロー・システム」を採用。専用のヘルメットが組み合わせられ、転倒時のパッセンジャーを保護する。

コクピットの安全性を高めるべく、Aピラーに代わり「ヘイロー・システム(HALO system)」を搭載。この頭部保護エレメントは、2018年シーズン以降、すべてのF1マシンに搭載されており、アクシデントの際にドライバーの頭部を保護する。ヘイロー・システムは最新F1マシンと同様、車体に直接固定された専用ブラケットで構成される。 

また、メルセデス AMG ピュアスピードのために専用設計された2つのヘルメットが開発された。この専用ヘルメットはヘイロー・システムと統合され、エアロダイナミクスにも最適化。ドライバーとパッセンジャーには、ルーフ、ウインドスクリーン、サイドウィンドウに邪魔されることなく、F1マシンを思わせるような視界が確保される。

コクピットには専用カラーと装備コンセプトを導入。シート後方に配された2基の「フライングバットレス」は、スターリング・モスとデニス・ジェンキンソンが1955年に開催されたミッレミリアにおいて、驚異的な記録を樹立して優勝した「300 SLR」をオマージュした。

ダッシュボードにIWC製クロノグラフを配置

コクピットには、IWCシャフハウゼンが専用デザインした、クロノグラフが配置される。
コクピットには、IWCシャフハウゼンが専用デザインした、クロノグラフが配置される。

ダッシュボードには、メルセデス AMGのウォッチパートナーでもある「IWCシャフハウゼン(IWC Schaffhausen)」がデザインした専用クロノグラフを配置。光沢のあるブラックのドロップ型ハウジングに、ネイキッドカーボンファイバー製台座が取り付けられた。時計の台座は洗練されたデザインが採用されており、まるで文字盤が浮いているようにも見える。

このプレミアムクロノグラフは、AMGをイメージした専用の文字盤を導入。視認性を高めるため、文字盤は夕暮れ時や暗闇において、美しくライトアップされる。特徴的なベゼルは、伝説的なIWCシャフハウゼンのインインジェニエーア・コレクション(Ingenieur Collection)との親和性をアピールする。

センターコンソールには、限定モデルであること示す「1 out of 250」専用バッジを配置。15基のスピーカーと1170Wのシステム出力を備えたブルメスター(Burmester)製ハイエンド3Dサラウンド・サウンドシステムにより、走行中も野外フェスのような臨場感を持った本格的なサウンド体験を楽しむことができる。

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…