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Boxster / Boxster S / Boxster GTS / Boxster Spider(Type 981)
より伸びやかで流麗なスタイルに


誕生以来、「911」の弟分として多くのコンポーネンツを911と共用してきた「ボクスター」は、911が997型から991型へ進化を遂げた半年の2012年、フルモデルチェンジを果たした981型となって現れた。
ボディデザインは初代からの流れを汲んだものだが、そのサイズは全幅こそ1801mmと変わっていないものの、全長が4375mmに延ばされたうえ、フロントウインドウの傾斜がつき全高が1282mmと低くなったことで、より伸びやかで流麗なスタイルとなった。
あわせてシャシーもホイールベースを60mm延長、フロントトレッドを40mm、リヤトレッドを18mm拡大することで、操縦安定性の向上が図られているほか、全体の47%をアルミ化し、センタートンネルにマグネシウム合金を使用するなど大きく刷新。その結果、捩り剛性が40%向上したのに加え、ボディが大型化したにも関わらず先代に対して25〜35kgの軽量化を果たしている。
ダウンサイジングと直噴化


車体中央に搭載される水冷フラット6エンジンは、スタンダードであるボクスターの排気量を2.7リッターに縮小。ダウンサイジングへの対策として直噴化するなどの改良が施したことで最大トルクこそ若干ダウンしたものの、先代比10PSアップの265PSを発生。一方高性能版の「ボクスターS」の排気量は3.4リッターのままながら、5PSアップの340PSを発生している。
ギヤボックスは軽量化のために敢えて911と同じ7速MTは使わずに、6速MTと7速PDK(DCT)を用意。そのほか、電動パワステ、アイドリングストップ機能の搭載、空走時にクラッチを切ってアイドリング状態にするコースティング機能(PDKのみ)の採用もあいまって、先代に比べ12.8%の燃費性能の改善を達成しているのも大きな特徴といえる。
また各種電子デバイスが充実しているのも981型のトピックで、オプションのスポーツクロノパッケージに磁性流体でエンジンマウントの硬さを変えるダイナミックトランスミッションマウントが備わるほか、ポルシェ・トルク・ベクトリング(PTV)、ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム(PASM)も用意している。
981シリーズ最軽量となるスパイダーも


2014年には各種をブラックアウトするなど専用のコスメティックを施したスポーツバージョンの「GTS」を追加。最高出力を330PS、最大トルクを380Nmへとアップした3.4リッターユニット、スポーツクロノパッケージを標準装備し、0-100km/h加速4.6秒、最高速度279km/h(いずれも7速PDK仕様)というパフォーマンスを誇る。
続く2015年にはスパルタンなトップモデルというべき、「ボクスター スパイダー」が登場。2つのフェアリングをもつリヤカウルが特徴的なボディは、前後に「ケイマンGT4」と同じデザインを採用。軽量化のために手動となるソフトトップは、先代の簡素で手間のかかるものから、手順を簡略化し耐候性を考慮したものへと変更された。その結果、車両重量は981シリーズ最軽量となる1315kgを実現している。
またシャシーには20mmローダウンされたスポーツサスペンションと、PASMを標準で装備。エンジンは911カレラS譲りの3.8リッターフラット6で、最高出力375PS、最大トルク420Nmを発生。ギヤボックスは6速MTのみの設定となり、0-100km/h加速4.5秒、最高速度290km/hを記録する。
その後981型ボクスターは2016年で生産を終了。CO2排出削減と省燃費のために2.0リッター直噴フラット4ターボを搭載する718ボクスターへとバトンタッチすることとなる。