ハイパフォーマンスPHV対決「メルセデスAMG E53」と「BMW M5」をスペック比較

永遠のライバル「メルセデスAMG E 53」と「BMW M5」が示す最新電動ハイパフォーマンスセダンの進化

「メルセデスAMG E 53」と「BMW M5」は、それぞれのブランドの哲学を体現したハイパフォーマンスモデルだ。2024年後半に登場した両車の最新モデルはプラグインハイブリッド(PHV)として生まれ変わった。電動化された両車のスペックを比較して進化の方向性を探ってみよう。

MERCEDES-AMG E 53 HYBRID 4MATIC+
×
BMW M5

メルセデスAMGとBMW Mを代表するハイパフォーマンスミドルセダン

最新ハイパフォーマンスサルーンの「メルセデスAMG E 53」と「BMW M5」は、両モデルともブランドの歴史あるモデルとして正常進化を遂げている。E 53のエクステリアは、AMGモデルのアイコンである縦格子のパナメリカーナグリルが備わり、メルセデス・ベンツ特有の流麗なボディとエアロデザインに身を包む。

一方のM5はひと回り大きく、125mm長く、70mm幅広く、35mm高く、ホイールベースも45mm長い。だが、車重はほぼ同等の2.4tという重量級である。フォルムはより直線的で攻撃的で、「アイコニックグロー」のイルミネーションが備わるブラック塗装のキドニーグリルが高性能ぶりを象徴する。

インテリアはどちらもベースモデルを基本としてスポーツシートの装着や専用装飾が施され、しっかりと特別モデルらしい仕上がりだ。ただし、M5がBMW車らしくドライバーとの一体感を重視しているのに対し、E 53はメルセデスAMGらしくラグジュアリー性とスポーツ性のバランスに配慮していることが、シートのサポート形状などから読み取れる。

ボディサイズ=全長4970mm×全幅1900mm×全高1475mm
ホイールベース=2960mm
車両重量=2390kg
タイヤサイズ=265/40R20(前)/ 295/35R20(後)

ボディサイズ=全長5095mm×全幅1970mm×全高1510mm
ホイールベース=3005mm
車両重量=2400kg
タイヤサイズ=285/40R20(前)/ 295/35R21(後)

E53とM5の大きな違いはモーターへの依存具合

直6とV8というエンジン型式の違いはあるが、両車とも有り余るほどの出力が備わるエンジンを搭載したプラグインハイブリッドカーである点は同じだ。またどちらもAWDであり、電子制御デフと後輪操舵機構を備えている。パワートレインやシャシーの基本構成はほぼ同じといってよいだろう。

大きく異なるのはモーターへの依存割合だ。E 53の駆動モーターのスペックは163PS/480Nm、対するM5は197PS/280Nmとなる。排気量が小さいぶんの動力性能を大トルのクモーターで補うE 53に対し、M5はエンジンに主体を置き、モーターで持ち前の運動性能を補助している。

両車のシステム出力はE 53が585PSで、ローンチコントロール「レーススタート」使用時は612PSにまで引き上がるが、M5のシステム出力である727PSには届かない。ただし、EVとしての最大航続距離はE 53が101km、M5が75kmとなっており、PHVとしての実用性はE 53のほうが高いといえそうだ。

エンジン形式=直列6気筒ガソリンターボエンジン+モーター
排気量=2996cc
最高出力=449PS/5800〜6100rpm
最大トルク=560Nm/2200〜5000rpm
トランスミッション=9速AT
駆動方式=AWD

エンジン形式=V型8気筒ガソリンターボエンジン+モーター
排気量=4394cc
最高出力=585PS/6000rpm
最大トルク=750Nm/1800〜5400rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=AWD

快適性か、圧倒的なパワーか

車両価格はE 53のほうが300万円ほど安い。AMG Eクラスは日常の使い勝手とスポーツ性能を高いレベルでバランスさせたモデルであり、価格も含めて総合力の高さはクラス随一だ。

対するM5は高価であるものの、圧倒的な動力性能と運動性能を備えている。広い後席も備わってはいるが、その本質はドライビングマシンといえるだろう。

E 53もM5もそれぞれのブランドを代表するモデルだ。最新のE 53とM5はどちらもPHVとなったが、E53はラグジュアリーカー寄り、M5はスポーツカー寄りの性格が与えられる点は歴代モデルと変わらない。電動化されても、AMGとMの特性はしっかりと引き継がれている。

車両本体価格

北海道・旭川で敢行された雪上テスト。「E 53」の本質を谷口信輝はどのように分析するか?

Mercedes-AMGの最新パフォーマンスサルーン「E 53」を谷口信輝が雪上試乗

メルセデスAMGの最新サルーン「Mercedes-AMG E 53 HYBRID 4MATIC+(PHEV)」が日本上陸を果たした。プラグインハイブリッドの電動ハイパフォーマンスサルーンを北の大地、北海道に持ち込み究極の状況下でテストを敢行。レーシングドライバー、谷口信輝がその実力を試した。

キーワードで検索する

著者プロフィール

ピーコックブルー 近影

ピーコックブルー

クルマやバイクの分野では日本最大級の記事配信数を誇るコンテンツ・プロダクション。ビギナー向けのやわ…