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BMW Vision Driving Experience
ノイエ クラッセの搭載コンポーネントをテスト

今回、高性能テスト用プロトタイプ「ヴィジョン ドライビング エクスペリエンス(VDX)」は、厳重なカモフラージュ偽装が施された状態で公開。次世代生産車両「ノイエ クラッセ(Neue Klasse)」のために開発されたコンポーネントのテストリグとして、ドライブトレインやマネジメントシステムの機能が徹底的に検証される。
BMW VDXには、完全新規開発されたセントラルコンピューター「Heart of Joy(喜びの心)コントロールユニット」を搭載。今回の公開に先立って、米国・スパータンバーグにあるBMWパフォーマンス・ドライビング・センターにおいて、イェンス・クリングマンがステアリングを握り、厳しい負荷を掛けた耐久テストを実施している。
フル電動パワートレインを搭載したノイエ クラッセの最初のモデルは、2025年後半からハンガリーのデブレツェン工場で生産が開始される予定となっており、BMW VDXを使用したテストは各地で精力的に行われると見られている。BMW AGの開発担当取締役を務めるフランク・ウェーバーは、 BMW VDXについて次のように説明を加えた。
「BMW VDXに搭載された『Heart of Joy コントロールユニット』は、ドライビングの歓びを次のレベルに引き上げるだけでなく、もうひとつ上のレベルにまで引き上げることを可能にします。ノイエ クラッセではさらに航続距離が伸ばされる予定です。将来的にドライバーはほとんどエネルギー回生のみでブレーキをかけるようになるでしょう。これにより大幅に効率性を高めることができるのです」
10倍の速度誇る新型コントロールユニットを搭載

BMW VDXに搭載される新開発のセントラルコンピューター「Heart of Joy コントロールユニット」は、ドライブトレイン、ブレーキ、充電、回生システム、ステアリングの各コンポーネントに対応。従来のシステムよりも10倍のスピードで情報処理を行う。
BMWダイナミック・パフォーマンス・コントロールと連動し、まったく新しいレベルのスピードと精度で、すべてのドライビングダイナミクス機能を計算することが可能になった。このシステムは、BMWのエンジニアが1世紀以上にわたって蓄積してきたドライビングダイナミクス分野での経験をベースに、完全自社開発されている。
ノイエ クラッセでは走行状況や速度にかかわらず、調和のとれたノイズのないドライビングフィーリングを体験することができる。例えば、サーキットのような負荷の掛かるシーンにおいて、「Heart of Joy コントロール・ユニット」とBMWダイナミック・パフォーマンス・コントロールを組み合わせることで、従来よりも少ないインプットで極めて正確なコーナリングとパフォーマンスと安心感のある挙動を実現する。
車両はあらゆるシチュエーションにおいて、再現性の高いコーナリング挙動を示し、より直感的でスムーズなステアリング操作が可能になる。また、発進時や駐車などの低速域でも、ダイレクトな信号伝達と迅速な情報演算処理により、従来よりもスムーズな走行ができるという。
ホイールのカラーコードが走行状況を表示

「Heart of Joy コントロール・ユニット」がドライブトレイン、ブレーキ、エネルギー回生を統合制御することで、エネルギーをより効率的に使用できるようになった。
98%のドライバーは、従来の摩擦ブレーキを使用することなく、ほぼ回生ブレーキのみで日常域の走行をカバーできるようになる。摩擦ブレーキは緊急時などの激しいブレーキング時のみ介入。このシステムにより、ドライブトレイン全体の効率を最大25%も向上させることが可能になった。
テスト車両として開発されたBMW VDXは、ホイールリムのカラーコードを点灯させることで、「Heart of Joy コントロールユニット」がどのように機能しているかを表示。加速時は「グリーン」、エネルギー回生時は「ブルー」、摩擦ブレーキによる制動が入るとホイールは「オレンジ」に点灯する。