Rolls-Royce Black Badge Spectre
正式発表を前に一部顧客向けて少量極秘製造

ブラックバッジ スペクターはロールス・ロイス史上最もパワフルで大胆なモデルとして開発された。これほどの強力なパワーを持ったフル電動モデルの製造は、ブラックバッジのカスタマーからの期待に強く後押しされて決定。さらに、その期待に応える圧倒的なエンジニアリングの対応が要求されることになった。
ロールス・ロイスの歴代ブラックバッジが受け継いできた「エフォートレスな力強さ、即応性、精度」をフル電動モデルでも実現すべく開発を実施。この理念が、車両の使用状況を正確に反映していることを確認するため、ロールス・ロイスのエンジニアは複数のオーナーの匿名化された走行データにアクセスしている。これにより、数十万マイルに及ぶ運転行動を、ドライブトレインのスペシャリストが定量的に分析することが可能になった。
分析の結果、カスタマーの多くが長時間よりも、短いパワーパルスを最大限に活用していることが明らかになった。この分析結果は、ロールス・ロイスの開発アプローチにも合致しており、これらのカスタマーグループをイメージして入念に開発が続けられた。この結果、ロールス・ロイス史上最もパワフルで、ドラマチックなブラックバッジ スペクターが完成した。
ロールス・ロイス・モーター・カーズの最高経営責任者を務めるクリス・ブラウンリッジは、ラック・バッジ スペクターについて次のようにコメントしている。
「ブラックバッジ スペクターは、細部に至るまで徹底的なこだわりをもって、最も大胆で冒険心あふれるお客様のイメージに沿って生み出されました。この特別な1台を待ち望むお客様たちは、彼らの大胆不敵な精神を分かち合うように希望しています」
「この期待に応えるべく、エンジニアはデータサイエンス、様々なフィードバック、そして私たちが持つ深い知識を融合させ、圧倒的で妥協のない個性を打ち出した、ロールス・ロイス史上最もパワフルなモデルを作り出したのです。ブラックバッジの個性を反映し、デザイナーと職人たちは鮮やかなディテールと洗練された現代のクラフトマンシップを駆使し、非常にドラマチックで挑発的なビジョンを具現化しています」
今回、ロールス・ロイスは、カスタマーからの多くの問い合わせに応えるかたちで、特別に選ばれた一部のカスタマーに対して、正式発表まで所有を極秘にすることを条件にブラックバッジ スペクターの少量製造を実施している。
「インフィニティ・モード」を新たに導入

ブラックバッジ スペクターは、「インフィニティモード(Infinity Mode)」と「スピリテッドモード(Spirited Mode)」というふたつの新技術導入により、圧倒的なパワーを瞬時に発揮することが可能になった。これらの機能はロールス・ロイスの自動車としては新機軸だが、そのルーツはブランドの歴史に深く刻まれていた。
第二次世界大戦を戦った「スーパーマリン スピットファイア」をはじめとする、ロールス・ロイス製マーリンエンジンを搭載した航空機は、パイロットがスロットル・クアドラント(スロットルレバーの基部)にあるスイッチを押すことで、瞬時に追加パワーを得ることができた。
堅牢な設計が特徴だったマーリンエンジンは一時的な出力増加にも対応可能で、パイロットは着陸時にこの機能を使用することが義務付けられていたという。今回、このマーリンエンジンの特徴をフル電動パワートレインに採り入れた2つのドライブモードが導入されている。
「インフィニティ・モード」は、ステアリング・ホイールに供えられた「インフィニティ・ボタン(∞)」を押すことで、このモードが作動。最高出力485kW(659PS)が解放され、よりダイレクトなスロットルレスポンスを実現する。また、このモードをオンにすることで、走行状況の変化に連動して計器類の表示もより鮮やかに変化する。
強烈かつ瞬時に加速体験ができるローンチコントロール機能「スピリテッド・モード」は、停止している状態でブレーキとスロットルを同時に完全に踏み込み、スタート準備が整ったことを確認し、ブレーキを解除。一時的にトルク出力が1075Nmにまで増幅され、圧倒的な推進力が解き放たれる。これにより、0-60mph加速は4.1秒(0-100km/h加速4.3秒)という強烈なスペックを実現した。
合わせて、ロールス・ロイスのシャシースペシャリストは、ブラックバッジ スペクターの強烈なパワーを、カスタマーが自信を持って使いこなせるよう、数々の変更を採り入れた。ロール安定性を調整することで、ステアリングホイール操作のフィードバックを高め、コーナリング時の車体の揺れを低減。また、強化されたダンパーにより、車体のコントロール性能が向上し、加速時や減速時の車体の傾きが軽減した。
「暗黒の美学」を徹底したエクステリア

ブラックバッジ スペクターは、新色「ヴェイパー・ヴァイオレット(Vapour Violet)」ペイント仕上げを纏って正式発表された。この深みのある黒紫色は、1980年代から1990年代のクラブカルチャーを彷彿とさせる、ネオンの雰囲気からインスピレーションを得えて調色。アイスド・ブラックペイントのボンネットを採用し、ロールス・ロイスが展開する4万4000色の「プレタポルテ」カラーパレットと組み合わせることで、より大胆なコントラストが演出されている。
既存のショルダーとフェンダーのコーチラインに加え、ブラックバッジではボディ下部に「ワフト(Waft)」コーチラインを施すことが可能になった。これにより、車体下部3分の1の位置にシャープなラインが浮かび上がり、堂々としたフォルムと、ゆとりあるプロポーションをアピールすることができる。
足元には、23インチ・5スポーク鍛造アルミニウムホイールを新たに導入。部分ポリッシュ仕上げとオールブラック仕上げの2種類が用意され、複雑な幾何学的造形がブラックバッジの技術的複雑性と力強さをさりげなく表現する。顧客層の広がりを受けて、新しいホイールセットには発売時点からウィンタータイヤのオプションも用意された。
これまでのブラックバッジと同様に、鏡面加工による光沢部分には特徴的なダーク仕上げが施され、「ノワール(暗黒)」な個性を際立たせている。パンテオン・グリル・サラウンド、スピリット・オブ・エクスタシー、ダブル「R」のバッジ・オブ・オナーに加え、ドアハンドル、サイドウィンドウ・サラウンド、バンパーアクセントにも、ダーク仕上げが施される。
ブラックバッジ スペクターのイルミネーテッド・グリルをより際立たせるユニークな機能として、新開発「イルミネーテッド・グリル・バックプレート」も導入された。バックプレートのカラーは、テーラード・パープル(Tailored Purple)、チャールズ・ブルー(Charles Blue)、シャルトリューズ(Chartreuse)、フォージ・イエロー(Forge Yellow)から選択可能。このカラーを、コーチラインやインテリアを引き立てるユニークなアクセントとして活用することもできる。
各部に配されたインフィニティ・シンボル

インテリアのイルミネーテッド・フェイシアには、ブラックバッジ・シリーズ全体で使用されているインフィニティ・シンボルが取り入れられた。無限の力を象徴するこのエンブレムは、かつて水上速度記録を示すシンボルとして使用されており、空をイメージしたピアノブラックのフェイシアに、大小異なる輝きを放つ5500個以上の星を散りばめたデザインが導入された。
最先端の工芸品を囲むように、複雑で豊かなテクニカルファイバーの表面仕上げが配された。このダイヤモンド型の織り柄は、ブラックのボリバルウッドをベースに、カーボンファイバーとメタルファイバーの組み合わせ。メタルファイバーを、カーボンファイバー層の間に手作業でダイヤモンド模様に配置することで、美しい立体感が生み出されている。ブラックバッジ専用のインフィニティ・シンボルは、リヤシートを隔てるレザー製のウォーターフォール・セクションにも配された。
ブラックバッジ スペクターは、インストルメントダイヤルを5つのテーマカラー、ビビッド・グレロー(Vivid Grellow)、ネオン・ナイツ(Neon Nights)、シアン・ファイア(Cyan Fire)、ウルトラバイオレット(Ultraviolet)、シンセ・ウェーブ(Synth Wave)から選択し、カスタマイズすることが可能。このオプションにより、「SPIRIT(スピリット)」オペレーティング・システムを介して、カスタマー自身が車内のデザインとデジタルインターフェースを調和させることが可能になった。
「ロールス・ロイス ブラックバッジ スペクター」を動画でチェック!

