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1977 Ferrari 512 BB
希少な右ハンドル仕様の「512 BB」

1993年に設立されたH&H クラシックスは、英国およびヨーロッパで幅広くビジネスを行う自動車専門のオークションハウス。これまで1960年型「フェラーリ 250GT SWB」、1968年型「ロータス 49B」、エリザベス女王のディムラー、フィリップ王子のラゴンダなど、希少なヒストリックカーから英国王室用車両などを手掛けてきた。過去32年間、ヒストリックカーとコレクター業界の専門知識を結集し、買い手と売り手に最高レベルのサービスを提供している。
今回、オークションに出品される1977年型「フェラーリ 512 BB」は、希少なワイドボディのワンオーナー車両であり、走行距離はわずか6000マイル(約9600km)。英国でデリバリーされた右ハンドル仕様の512 BB(101台)の中でも唯一無二の存在だと言えるだろう。ダックスフォードの帝国戦争博物館において2025年4月9日に開催されるH&Hクラシック主催の「ケンブリッジシャー・オークション(Cambridgeshire Auction)」に出品されるという。
ル・マン24時間レース仕様をオマージュ

この1977年型フェラーリ 512 BBは、フェラーリのディーラーである「マラネロ・コンセッショネアーズ(Maranello Concessionaires)」によって、ワイドホイール、エンジンの改良やボディワークの変更が施された仕様。インテリアはロッソ・キアーロとブラックのハイドとカーペットで仕上げられており、前後のアルミニウム製クラムシェル、大型化されたNACA冷却ダクトも装備されている。
新車時から現在に至るまで、入念なメンテナンスを実施。フェラーリの元従業員であり、シチリア人の祖先を持つという共通点から、オーナーと意気投合したヴィンス・メッツォーロ(Vince Mezzullo)が、マラネロ・コンセッショネアーズ在籍中だけでなく、退社後も作業を担当している。
故人の妻によって売りに出されているこの個体は、1978年のル・マン24時間レースでシャルル・ポッツィによって参戦した、ファクトリー公認の「512 BB コンペティツィオーネ」をインスパイアしたと言われている。H&H クラシックスの自動車部門スペシャリスト、ジョン・マーキーは、その希少性について次のようにコメントした。
「このワイドボディ仕様のフェラーリ 512 BBは、希少なワンオーナー仕様です。専用エクステリアに加えて、メカニカル面の改良が実施されています。新車時からひとりのオーナーが所有し続け、本当に珍しい低走行距離です。ケンブリッジシャー・オークションにおいて、じっくりとチェックする価値のある個体です」