ポルシェ 99X エレクトリック、1/87スケールの世界でモナコGPを疾走【動画】

公開日 2021/12/26
更新日 2021/12/26
トピック
著者ゲンロクWeb編集部

世界最大のジオラマ施設ハンブルクの「ミニチュア・ワンダーランド」に、ポルシェ 99X エレクトリックが登場。 — ミニチュア・ワンダーランドの世界で疾走するポルシェ 99X エレクトリック。

ドイツ・ハンブルクにある世界遺産地域シュパイヒャーシュタット（Speicherstadt）には、世界最大のジオラマ「ミニチュア・ワンダーランド（Miniatur Wunderland）」がある。精巧に作られたミニチュアの世界にあるモナコGPのサーキットに、フォーミュラEで活躍する「ポルシェ 99X エレクトリック」が登場した。

合計枚数16枚
すべての画像を見る

ミニチュアの世界でモナコGPを再現

53歳のゲリット・ブラウンは、双子の弟のフレデリック・ブラウンとともに、20年前にハンブルクのシュパイヒャーシュタット地区にミニチュア・ワンダーランドを設立した。展示スペース全体の広さは1万平方メートル以上もあり、年間約140万人もの観光客が訪れる、ドイツで最も人気のあるアトラクションのひとつだ。

「2015年から、ミニチュア・ワンダーランドにモナコを加えるプロジェクトがスタートしました。私たちにとっても、これまでで最大のチャレンジでしたね」と、ブラウン。

モンテカルロの街並み、レーシングコースを再現した箇所を指差しながら「このストレートで、ポルシェ 99X エレクトリックは最高速度に達し、カジノ前に向かう左カーブで適切にブレーキングすることが重要になります」と、説明する。

この市街地サーキットをミニチュアの世界で再現するため、ブラウンとミニチュア・ワンダーランド・チームは、まずモナコの街を縮小する必要があった。地中海沿岸のコートダジュールにある美しい小国は、ミニチュアの世界に合わせて、1/87スケール（HOスケール）で再現された。

レーシングカーの全長はわずか6センチ。最高速度は秒速85センチメートルで、現実世界では270km/h近くに相当する。徹底的にリアルを追求しなければならず、非常に難易度の高い仕事だ。

ポルシェからCADデータを提供

ミニチュア・ワンダーランドには、9250台の車両、26万9000体のフィギュア、1万5715メートルに及ぶ線路、1万両を超える鉄道列車（1040編成）、4340の建物、13万本の樹木が存在。都市、村、山のパノラマ、空港、人工のオーロラ、巨大フェリーが航行する港湾などが美しく再現されている。

300名以上のスタッフが、のべ100万時間をかけて、鉄道、船舶、飛行機、自動車が常に動き続ける“小宇宙”を作り上げた。この世界を走行する車両の多くはポルシェ製スポーツカーであり、2022年にはポルシェ 99X エレクトリックが加わる。今回、ポルシェ・モータースポーツは、ヴァイザッハ製フォーミュラEレーシングカーのCAD データを、ミニチュア・ワンダーランドに提供している。

2022年前半にミニチュア・ワンダーランド内に正式オープンするモナコを中心とした南フランスの街並みには、モナコGPのコースが入れられる。「ここではF1とフォーミュラEのレースを交互に開催する予定です。パレードラップ、セーフティカーラン、スターティンググリッドなど、すべてがオリジナルに忠実。そしてもちろん迫力のアクションも存在します」と、ブラウンは説明する。

磁力を使って毎回展開の異なるレースを開催

これだけリアルかつ小さなグランプリは、これまで存在しなかった。ミニチュア・ワンダーランドでは、すべてをゼロから作り上げた。20台のレーシングカーをコントロールするソフトウェアは、ブラウン自身が開発。それぞれのレーシングカーが50ミリ秒で反応するため、レースの展開は毎回異なるという。熾烈なバトルやオーバーテイク、時にはクラッシュもある。

「もちろん、セーフティカーが出動するとなると、多くのスタッフが動く必要がありますから、可能な限り避けたいですね（笑）」とブラウン。

レースのシミュレーションはすでにコンピューター内で行われているが、ブラウンによるとマシンに適切なタイミングで加速するよう、プログラムを加える必要があるという。

「ソフトウエアによって各マシンは常にトップをキープしようとしますが、レース中に減速する必要がある場合もあります。そのためのプログラミングが複雑なんです」

1/87スケールのミニチュアカーは磁力を動力源としている。モナコGPの全長21メートルのコースは、合計1400もの磁場セクターを持つ、24枚の特殊回路基板で構成されており、それぞれが個別に制御されて独自の磁場を発生させている。