フェラーリのスペシャリストが製作したテクニカル・スケマティックが登場

存在しなかったフェラーリ 250シリーズの技術回路図。GTOエンジニアリングが独自に製作・販売を開始 【動画】

ヒストリック・フェラーリのスペシャリスト、GTOエンジニアリングが製作した技術回路図面
ヒストリック・フェラーリのスペシャリスト、GTOエンジニアリングが製作した技術回路図面。
ヒストリック・フェラーリを手掛け、オリジナルのスーパースポーツモデル「スクアーロ」の開発も進めるGTOエンジニアリング(GTO Engineering)。今回、傘下のGTOパーツと共に1959年から1964年まで製造されたフェラーリ 250シリーズのテクニカル・スケマティック(技術回路図面)を世界で初めて製作・販売すると発表した。

印刷版とダウンロード版を販売

ヒストリック・フェラーリのスペシャリスト、GTOエンジニアリングが制作した技術回路図面。
GTOエンジニアリングは傘下のGTOパーツと共に、250シリーズのブレーキ、サスペンション、エンジン、ギヤボックスなどの回路図面を新たに製作。ダウンロード版と印刷版の販売をスタートした。

GTOエンジニアリングは、英国・バークシャー州トワイフォードを拠点に、クラシック・フェラーリのレストア、整備、パーツ供給、イベントサポートなどを行う技術者集団。未だ絶大な人気を誇るフェラーリ 250シリーズも、GTOエンジニアリングが得意とするモデルだ。しかしその回路図面はフェラーリ自身によって作成されたことがなかったため、新たにGTOエンジニアリングの技術チームとパーツチームの手によって製作プロジェクトが進められてきた。そして今回、完成した回路図はデジタル版と印刷版の両フォーマットで一般に提供される。

GTOエンジニアリングのパーツ部門である「GTO パーツ」は、50車種以上のフェラーリ・モデルの技術回路図を所有しているが、250シリーズは唯一回路図が存在しないため、GTOエンジニアリングの創業者マーク・ライオンが指揮を執り、同社のCADシステムを活用してゼロから回路図面が作成された。

各回路図面は、ブレーキ、サスペンション、エンジン、ギヤボックスなど、フェラーリ 250シリーズの各部に焦点を当て、GTOパーツが製造・調達するパーツとの関連性を詳細に説明している。合計33図面・80ページにも及び、数百のパーツと関連するパーツナンバーを記載。GTOパーツのウェブサイトからのダウンロードと、印刷されたカタログ状態での販売を企画し、価格は99.95ポンドの予定だ。

オーナー自身が必要に迫られて製作を決定

ヒストリック・フェラーリのスペシャリスト、GTOエンジニアリングが制作した技術回路図面。
フェラーリのヒストリックモデルのレストアやパーツ展開を行うGTOエンジニアリングにとって、回路図面は必要不可欠な存在だったと、オーナーのマーク・ライオンは説明する。

GTOエンジニアリングの創業者であり、マネージングディレクターを務めるマーク・ライオンは、今回の試みについて次のようにコメントした。

「フェラーリ 250シリーズの完全な回路図面が完成したのを見たときは感動しました。このプロジェクトに着手する前、フェラーリ 330の回路図面に鉛筆で書きこみ、パーツナンバーを合わせていたことを思い出します。当時は本当に混乱していて、自分だけが納得していた状態でした。1980年代後半、まだパーツが出回っていた頃の話ですが、その後すぐにパーツが手に入らなくなってしまいました」

「フェラーリ 330の回路図面に注釈を入れたあの日以来、250シリーズの回路図面を自分たちでイチから作れるようになりたいと思うようになったんです。そして今回、社内のCADチーム、最新テクノロジー、エンジニアリングのノウハウ、そしてGTOパーツが展開するビジネスによって、フェラーリのスペシャリストの名に恥じぬようこの問題を解決することができました」

「その回路図面を、ウェブサイトや印刷されたカタログで紹介できるのは、私の誇りです。また、回路図面に記載されたすべてのパーツが、お客様に販売できる有効なパーツ番号と一致していることに、大きな達成感を感じています」

2022年春にイタリア・モデナに新拠点を開設

ヒストリック・フェラーリのスペシャリスト、GTOエンジニアリング。
GTOエンジニアリングは、英国の本社ファクトリーに加えて、2022年春にはヨーロッパ本土でパーツ供給を行う新拠点をイタリア・モデナに開設する。

GTOエンジニアリングでは、この1年間で250 GTO、250 LM、250 GTE、競技用の250 SWB、250 GT ルッソなどの整備・レストアを実施してきた。フェラーリのスペシャリストとして、これだけバリエーションに富んだ250シリーズを手がけてきた企業はないだろう。

またGTOパーツは、マーク・ライオンによって1996年に設立。GTOパーツのオンライン・ウェブストアでは、ヒストリックモデルから現行モデルまで、6気筒、8気筒、12気筒のフェラーリの回路図面がストックされている。GTOパーツは、GTOエンジニアリングと並び、フェラーリの主要なパーツサプライヤーとして世界で高い評価を得てきた。

GTOパーツは2022年春、英国本社ファクトリーに続き、ヨーロッパにも拠点を開設。イタリア・モデナにある新拠点では、フェラーリのオリジナルパーツやOEMパーツ、その他のイタリア車用パーツを豊富に取り揃える予定となっている。これによりヨーロッパのクライアントに向けて、供給時間の短縮化だけでなく、輸送と関税コストを踏まえたリーズナブルな価格が設定される予定だ。詳細については、近日中に発表される予定。

【関連リンク】
・GTOパーツ公式オンラインストア
https://www.gtopartsshop.com/

フェラーリの専門ショップのGTOエンジニアリングが、新たにマセラティとランボルギーニのパーツ供給をスタート

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英国・バークシャー州トワイフォードを拠点に、クラシック・フェラーリのレストア/整備/パーツ供給/イベントサポートなどを行うGTOエンジニアリング(GTO Engineering)が、そのパーツラインナップにマセラティとランボルギーニを追加した。

GTOエンジニアリングの250シリーズ回路図面を動画でチェック!

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ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…