ポルシェとマセラティ! パフォーマンス自慢のSUVを比較した

ポルシェ マカンの強力なライバルはマセラティ グレカーレ! 最旬SUV徹底比較【ボディサイズ/パワートレイン編】

ポルシェ マカンとマセラティ グレカーレのフロントビュー
ポルシェ マカン(写真上)の強力なライバルと目されているのが、マセラティがレヴァンテに続く第2弾のSUVとしてリリースしたグレカーレ(写真下)。両車に共通点はあるのか、どこに違いがあるのか、性能数値や寸法、価格などを比べながら探ってみたい。
マセラティが放つ第2のSUV、グレカーレ。そしてポルシェの最量販車種、マカン。この2車は、ミドルサイズSUVというセグメントだけでなく、「妥協無きパフォーマンス」「明確なキャラクター」「上質な作り」といった多くの共通項を持っている。果たして、グレカーレとマカンは宿命のライバル同士といえるのだろうか。

Porsche Macan
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Maserati Grecale

グレカーレはマカン最強のライバルか

ポルシェは、2021年度の世界累計販売台数で30万台超えを記録。世界的な半導体不足や、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が続く中においても、史上最多セールスを打ち立てている。

その好調な販売を支えているキープレーヤーがマカンだ。2013年のデビューから常にトップランナーとして君臨してきたマカンは、ポルシェの最量販車種として揺るぎない地盤を確立している。

そのマカンの好敵手として、イタリアが放った刺客がマセラティ グレカーレ。2022年3月に登場したばかりの最新マセラティは、レヴァンテよりひと回り小さなボディを与えられたコンパクトSUV。マセラティのこれからを担う超重要な役回りを与えられたグレカーレは、マカンキラーとなり得るのか。両車の性能や仕様をつきあわせつつ、検証をしてみたい。

ボディサイズを比較する

マカンは、フォルクスワーゲングループが2012年から使ってきた百戦錬磨のプラットフォーム「MLB」がベース。一方、グレカーレはFCAグループ(現ステランティス)でアルファロメオと共有する「ジョルジョ・プラットフォーム」を採用している。こちらもジュリア、ステルヴィオ、そしえジープ・グランドチェロキーと、走りに定評のあるモデルの“土台”として活躍してきた。

まずは標準モデルのボディサイズを比較すると、

マカンのボディサイズ

全長4726×全幅1922×全高1621mm、ホイールベース2807mm

グレカーレのボディサイズ

全長4846×全幅1948×全高1670mm、ホイールベース2901mm

両者とも塊感のあるデザイン処理により、引き締まった佇まいを実現しているが、全長、ホイールベースはグレカーレの方が100mmほど長く、全高も少しだけ高い。車重はマカンが直4で1920kg、V6で2005kg、グレカーレが直4で1870kg、V6で2027kg。エンジンパワーについては次項に譲るが、パワーウェイトレシオが最も優れているのはグレカーレ トロフェオで3.82kg/psを実現している。

パワートレインを比較する

パワートレインは、マカンが2.0リッター直4ターボ/2.9リッターV6ツインターボ、グレカーレが2.0リッター直4マイルドハイブリッド/3.0リッターV6ツインターボを搭載。いずれもガソリンのみで、ディーゼル仕様はラインナップしていない。とくに注目なのがグレカーレのV6で、これは最新スーパースポーツ、MC20に初めてした約20年ぶりの自社製V6ツインターボ“ネットゥーノ(Nettuno)”の改良版である。

トランスミッションはマカンが自社製7速PDK、グレカーレは世界の名だたるプレミアムブランドがこぞって使うZF製の8速AT、8HP75を使う。

直4搭載のベーシックグレードと、V6搭載のトップグレード別にパワースペックを比べてみよう。

ベーシックグレード比較

マカンのパフォーマンス

最高出力=265ps/5000-6500rpm
最大トルク=400Nm/1800-4500rpm
0-100km/h加速=6.4秒(スポーツクロノパッケージ装着車は6.2秒)
最高速度=232km/h

グレカーレGTのパフォーマンス

最高出力=300ps/5750rpm
最大トルク=450Nm/2000-4000rpm
0-100km/h加速=5.6秒
最高速度=240km/h

トップグレード比較

マカンGTSのパフォーマンス

最高出力=440ps/5700-6600rpm
最大トルク=550Nm/1900-5600rpm
0-100km/h加速=4.5秒(スポーツクロノパッケージ装着車は4.3秒)
最高速度=272km/h

グレカーレ トロフェオのパフォーマンス

最高出力=530ps/6500rpm
最大トルク=620Nm/3000-5500rpm
0-100km/h加速=3.8秒
最高速度=285km/h

直4同士の性能数値は拮抗しているが、V6ではマセラティ肝煎りの内製エンジンのパフォーマンスに軍配があがる。出力で90ps、トルクで70Nm上回り、停止から100km/hに達する時間も0.7秒速い。また、グレカーレのV6ユニットは比較的“高回転型”であり、内燃機に官能性を求めるマセラティの思惑がこのあたりにも見え隠れする。

アスファルト以外を走る機会はあまりなさそうな2台だが、両者ともに4WDが標準であり、トラクション重視の「オフロード」モードも備える。また、トップグレード(マカンならGTS、グレカーレならトロフェオ)にはエアサスペンションを装備しており、走行条件にあわせて車高を調整する機能も搭載する。

「走れるコンパクトSUV」代表の座の行方は?

いずれにしても、SUV回で屈指のアスリート系として鳴らしてきたマカンに迫る、あるいは凌駕するほどの性能を与えられているのがグレカーレである。「走れるコンパクトSUV」として屈指の人気を誇ってきたマカンの足場を狙う刺客として、グレカーレはもっとも手強いライバルの1台といえそうだ。

なお、現在開発が進められている次期型マカンはフル電動モデルとなる模様。しばらくは内燃機関モデルも併売すると見られているが、それも2024年までというのが濃厚。グレカーレも間もなくBEVが追加される予定である。BEVならではの瞬発力を得たマカン vs グレカーレの戦いも見物となるはずだ。

マカン対グレカーレ対決の後編では、使い勝手やイチオシグレードに迫ってみる。

ポルシェマカンとマセラティ グレカーレ。フロント

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「世界で最も売れているポルシェ」の座を911から奪取したマカン。見た目はSUVでありながら、運転すればまごうことなきポルシェであり、「カイエンやパナメーラでは大きすぎる」と4枚ドアのポルシェに二の足を踏んでいたユーザー層に向けて一気に門戸を拡げた功労車である。そのマカンに対し、イタリアから放たれた刺客がマセラティ グレカーレ。レヴァンテの弟分としてデビューした最新のラテン系SUVは、どんなキャラクターに仕上がっているのか。マカンと比較することでその個性をあぶりだしてみたい。

今回発表されたマセラティ グレカーレの特別仕様車は「グレカーレ ミッション フロム マース」。イタリア語でカスタマイズを意味する「フォーリセリエ」によるものだ。

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著者プロフィール

三代やよい 近影

三代やよい

東京生まれ。青山学院女子短期大学英米文学科卒業後、自動車メーカー広報部勤務。編集プロダクション…