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Apple iPad Pro
生き残ったタブレットがiPad
2010年に登場すると、あっという間に世界中に広がった「タブレット端末」のムーブメント。しかしAndroidタブレットがあっという間に下火になる一方で、iPadはコンスタントに支持を集め続けた。主にパソコンとしての用途で購入されるWindowsタブレットを除けば、純粋なタブレット端末はiPadが主役。初代が生まれてから、かれこれ10年近く経過した。
さて、そんなiPadの中でも、文書やメディアのクリエーションにフォーカスしたシリーズがiPad Pro。およそ2年前となる先代モデル発表時にはニューヨークで発表会が催され、イラストレーターなども加わって新しいクリエイティブツールの誕生に興奮した。
今回紹介するiPad Proは、そのときに生まれたiPad Proとほぼ同じ。違いはわずかでしかない。なにしろ、搭載されるプロセッサーは同じ。厳密に言えばGPUは7基だった演算機が8基になるというから高速化されているのだろう。前モデルからの乗り換えならば、僕も敢えて勧めようとは思わない。
LiDARの搭載も見逃せないが・・・
このiPad Pro。実は数多あるモバイルコンピュータの中にあって、いまだにトップクラスのパフォーマンスを持っているのだ。ペン入力ツールのApple Pencilと組み合わせれば、他に比べる製品がないほどの品質感。未だに、この薄型・軽量のコンピュータでは最も高いパフォーマンスを持つ製品のひとつだ。
それに今回のモデルチェンジに際しては、超広角カメラの追加装備に加えて、LiDARという新しいセンサーが追加搭載されている。LiDARは瞬間的に4〜5m範囲内の物体との距離を計測し、空間全体の形状をすばやく把握できる、近年、Appleが力を入れているAR(拡張現実)体験を高めるのは間違いない。これまでならば、カメラをあちらこちらに向けながら、空間の形状を学習させてからでなければ使えなかった機能が、LiDARの搭載ですばやく実現できる。その応用は、今後出てくるアプリに期待したいが、僕がこの製品を選んだ理由は、iPad OSのアップデートが素晴らしかったからだ。
これならPCはいらない?
ほぼ同時にリリースされたiPadOS 13.4には、日本語入力にマイナーチェンジが入っている。macOSではお馴染みのライブ変換が導入され、全角スペースの入力扱いなどもmacOS用日本語入力と統一された。つまり、Macユーザーの視点では、iPadとMacの間の文字入力の違いがほとんどなくなったのだ。少なくともソフトウェア上では。さらにMagic Keyboardというオプションが追加された。この製品は最新のMacと同等のキー入力をiPadにもたらしてくれる。しかもMagic Keyboardにはパソコンなら当たり前のトラックパッドが装備されており、iPadOS 13.4とともにまるでパソコン・・・Macと同様にキーボードでの操作が可能になった。
これまでiPad Proは、その良さを理解しつつも高価な、高嶺の花といった製品だったが、その高性能はそのままに価格が下がり、一方で高性能になった。これまでiPad Proを選ぶことを迷っていた人にとっては、まさに「買い時」である。
REPORT/本田雅一(Masakazu HONDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
MAGAZINE/GENROQ 2020年 6月号
評価
未だにこのサイズ感での高性能は世界最高クラス。今春発売のMagic Keyboardとあわせれば、PCいらず。iPadの使いやすさはそのままに、PCと同等のクリエイティビティを発揮してくれる。
コストパフォーマンス:4
革新性:4
使い勝手:4
デザイン:5
可搬性:5
PRICE
8万4800円〜(税別)
【問い合わせ】
Appleサポート
TEL 0120-27753-5
https://www.apple.com/jp/